【ショートショート】特別な人間なんていないという不都合
あなたの大きなお腹を見た時、恐ろしさで言葉を失った。
壊れちゃう、と思った。
人間には耐えきれないほど、異常ほど大きく膨らんだお腹は、子供が健やかに育つことが優先で、正直母親の体なんてどうでもいい、と言っているようだった。
皮膚は極限まで伸びてパンパンに張り詰め、爪楊枝でも刺したらそこから大量の血が吹き出て貴方が死んでしまうんじゃないか。
わずかな段差で躓いたら破水してしまうんじゃないか。
そう思って、私はあなたをただじっと座らせておこうと、動き回った。
でも、私の努力も虚し