SDK

短編小説なりなんなりなりを書いて参ります。 好きなゲームのキャラはメタルギアシリーズの…

SDK

短編小説なりなんなりなりを書いて参ります。 好きなゲームのキャラはメタルギアシリーズのネイキッド・スネークです。 DEATH STRANDINGのダイ・ハードマンも。 好きな食べ物はマグノリアベーカリーのカップケーキです。 https://lit.link/enjoyoshiri

マガジン

  • 一話完結

    ショートショート的なものを書いていきます。 これは物語として、文章に残したいと思った人間の生き様を書いています。 人生を楽しもう!

最近の記事

【1話完結】世の中に合格のハンコをもらうことの引き換えに自分らしさを捨てる

「うちには無いです」 ぶっきらぼうに店員が言い放つ。 えっ、という私のリアクションが虚しく無視されて、レジ前にひとり取り残された。 普通のカフェに、アメリカンコーヒーが無いことってあるのか。 店員は忙しそうに他の客のオーダーを用意しながら、 まだ何か用があるのかよ、 と言いたげにちらっとこちらを見る。 私はなんだかカフェでくつろぎたい気持ちをすっかり削がれてしまって、 何も言わずにそのまま店を後にした。 誰でもこういうこと、経験すると思う。 特別私が変なわけじゃない。 特

    • 【一話完結】私とストレスと傷つけ合いと明日の私がどう生きるか

      皆疲れている。 世の中皆疲れている。 誰もが皆働いている。 誰もが皆、明日を生きるために、より良く生きるために、働いている。 もし、全ての仕事がもっと簡単で、傷つくこともなく、ストレスも感じず、心身の健康に影響もしなければ、 人の感性はもっと違っていただろうし、文化も変わっていただろうと思う。 私は目の前のPCを反対側に折り曲げて思い切り投げ飛ばしてやりたい衝動に駆られたが、目の前のティッシュのゴミを放り投げるにとどめた。 人を傷つけるのは人だ。 「仕事やだな」とか「会社行

      • 【一話完結】人の承認欲求を笑うな

        セックスは承認欲求を満たしてくれる。 だから私には絶対に無くてはならない。 もし誰からも求められなくなる日が来たらなんて、考えただけでゾッとする。 「まこちゃんも、いつまでもそんなことしてないで、ちゃんと良い人見つけなよ〜」 土曜日の午後、ホテルのレストランで突然頭から冷水をかけられたような気分になった。 ティーカップを上げ下げする左手の薬指にはこれみよがしの指輪が輝き、その顔には長年の椅子取りゲームから解放されたような安堵の表情がへばりついている。 「まだとっかえひっかえ

        • 【ショートショート】死人に口無し

          鏡の向こうから、ぎょっとするくらい醜い女がこちらを見ていた。 血色の悪い唇には吹き出物が膨れ上がり、顔は全体的にむくんでいる。 髪がボサボサどころか決して誰にも言えないことだが一部分抜けて落ちている。いわゆる10円ハゲというやつだ。(これに関しては本当にどうしたら良いのか分からない) 上を向けば、顎下の皮膚の中を通るリンパが痛む。 一体体内から何をそんなに排出したいのか、とりとめもなく水のような体液が鼻の奥から出続けている。 一言で言って、私はボロボロなのだ。 ふとガサガサの

        【1話完結】世の中に合格のハンコをもらうことの引き換えに自分らしさを捨てる

        • 【一話完結】私とストレスと傷つけ合いと明日の私がどう生きるか

        • 【一話完結】人の承認欲求を笑うな

        • 【ショートショート】死人に口無し

        マガジン

        • 一話完結
          8本

        記事

          【ショートショート】みっともないと陰で笑われても、私は私でいることにした。

          自分の意思とは裏腹に、じんわりとパンツが湿るのを感じた。 ああ、また今月も来たんだな、と思うと同時に、嫌な予感がして恐る恐る立ち上がると、椅子に間抜けな血の跡がついている。 ため息をつきながら、ということは、パンツを通り越してスカートも汚れているってことで… それがどれだけ面倒なことかは女性の体を持ったことのある人なら分かってくれることを私は期待する。 それにしても、この血の跡の形、女性器みたいでますます恥ずかしいなあ。私の形みたいやん、みっともないわ。 「藤崎さん、さっき言

          【ショートショート】みっともないと陰で笑われても、私は私でいることにした。

          【ショートショート】僕だけの真実は僕にしか見えないという孤独

          真夏の熱帯夜、僕はトイレで歯をがたがた言わせながら震えていた。 もちろん、寒いわけではない。具合が悪いのでもない。 ただ、なぜだか体が自分の制御出来ない部分で激しく何かに反応を示しているのだった。 僕は自分の体が震える通りに尿も同じ方向に飛んでいくのを眺めて不思議に思いながらも、この時はまだ睡眠欲の方が勝っていた。 トイレを済ませ、ドアを開けると、漆黒の闇が広がっていた。 夜の月明かりや、街灯の灯りまで消えてしまったかのようだ。 まるでこの家だけが、もう二度と明けない、別の夜

          【ショートショート】僕だけの真実は僕にしか見えないという孤独

          【ショートショート】特別な人間なんていないという不都合

          あなたの大きなお腹を見た時、恐ろしさで言葉を失った。 壊れちゃう、と思った。 人間には耐えきれないほど、異常ほど大きく膨らんだお腹は、子供が健やかに育つことが優先で、正直母親の体なんてどうでもいい、と言っているようだった。 皮膚は極限まで伸びてパンパンに張り詰め、爪楊枝でも刺したらそこから大量の血が吹き出て貴方が死んでしまうんじゃないか。 わずかな段差で躓いたら破水してしまうんじゃないか。 そう思って、私はあなたをただじっと座らせておこうと、動き回った。 でも、私の努力も虚し

          【ショートショート】特別な人間なんていないという不都合

          【ショートショート】一寸先にはお前がいてほしかった私ではなく私がいてほしかった私がいてほしい

          目覚めたら、固いベッドの上にいた。 天井は無数の黒い穴が開いてるタイプで、眺めていたら段々気分が悪くなって、私は視線をそらした。 気持ち悪いな。 って思うってことは、私は生きているんだろうな。 地獄にも天国にも行けなかったんだな。 結局お前、大したことねえじゃん、意気地なし。 悔しさからなのか、絶望からなのか、なぜだか分からないが自然と涙が出た。目尻からこぼれて、髪の間を通って、耳の穴の中に入っていく。 気持ち悪いな。 私の願いは叶わなかった。いつだってそうだ。後何度やっても

          【ショートショート】一寸先にはお前がいてほしかった私ではなく私がいてほしかった私がいてほしい