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心理的安全性と学級4タイプ

学級4タイプ

突然ですが、皆さんの学級はどのタイプですか?

目標も心理的安全性も高い「理想の学級」でしょうか。
それとも、目標が低く心理的安全性だけが高い「ぬるま湯学級」でしょうか?
それとも、どちらも低い「無気力な学級」?
はたまた、心理的安全性が無いにも関わらず求める基準、目標だけが高い「きつい学級」でしょうか。

学校教育において、多くの生徒は、学業スポーツ課外活動、何かしらの高い目標に挑む。それには、高いストレスや緊張感、不安、恐れが伴う。高い目標への挑戦には、心理的安全性が必要不可欠です。

心理的安全性の高さは、探究的な学びや学級運営の根幹です。最近「心理的安全性」が流行り言葉のように使われるため、何だか胡散臭いというか価値が損なわれている気がするが、やはり大事な概念だと思う。

心理的安全性が低い学級では、失敗すること、目立つことを恐れ、誰も手を挙げたがらない。学級委員などの責任ある立場に誰もなろうとしない。新しいことにチャレンジし、頑張ろうとするメンバーを冷ややかな目で見るなんてことも。もっと酷い場合には、馬鹿にしたり足を引っ張たりする。

私の研究テーマの核であるエージェンシー『主体的に行動して、責任を持って社会を変えていく資質能力』の育成にも負の影響を与えます。そもそも、エージェンシーには、個人的な思いだけではなくて、自分の社会的役割を考え、自分だけのためではなく、社会のためにも行動する、という責任の意識が含まれています。しかしながら、心理的安全性が低ければ、集団や社会のために責任を持って変革しようなんて思うはずもなく、他者に無関心で、目立たずやり過ごそうと思うでしょう。自分中心の他責思考の人が増えますよね。

一人ひとりにどんなに素晴らしい才能や情熱があっても、こういった無気力な学級では、それらは全くもって開花しません。私は、自分の持てる力を発揮できない、自身のよさをよさとしてだせない学級にだけはしたくないと常々思います。同様にそういった職員室、職場の雰囲気にはしたくない。。学級の心理的安全性は、職員室の心理的安全性からもたらされるのだが、この点はまた今度。

逆に、心理的安全性の高い学級では、喜んで責任ある立場に挑戦しようとする生徒が増えます。間違ってもいいから発言したいという熱気に溢れ、活発な議論がおこなわれます。問題点を指摘する鋭い意見や新規性のあるアイデアがどんどんでてきます。斬新な考えであってもみんなが受け止めてくれるという安心感が常にある。心理的安全性こそ、創造力(新たな価値を創造する力)や協働力(対立やジレンマを乗り越える力)を育む学級に通底する鍵だと考えます。

改めて、心理的安全性とは何かを説明すると、

※心理的安全性・・・集団の中で対人的な恐れがなく、安心して発言・行動できる状態。

高いと.... 一人ひとりの生徒が多様な考えや意見を健全に衝突させるからこそ、チームの思考と活動が 豊かになり、集団として深い学びに繋がる。

低いと.... 対人的な不安が蔓延し、マイナスな反応が返ってくるリスクを避けるため、何も発言、行動、挑戦しない集団となる。

(過去の記事でも引用させていただいたもの)


ちなみに、高校で物理を教えている私にとって、こういった雰囲気は重要です。物理では、一見当たり前に思えること(現象)の中に、未知の深い構造が潜んでいることを学ぶ。実験中に常識にとらわれずに突拍子の無い意見を言えたり、斬新な考えを提示したり、勇気をもって実際にやってみることが本質的な理解につながることが多い。間違っても別に良いじゃん!という安心感があるだけで授業の理解度が変わってくる。

また、高校の学級運営において避けては通れないのが大学受験である。大学合格のために高いプレッシャーをかけ、徹底的に勉強させる。他校では、厳しい指導に耐え切れず不登校になったり、「うつ病」になってしまったりした例もある。強豪校の部活も同様、進学校の大学受験クラスを簡単にやめることはできない。「それなりに手を抜いて受験勉強すればいい」という単純な話でもない。もがき苦しみながら本気で何かに打ち込んだその先に、本当の喜びや成長がまっている。確かにそうだが、もがき苦しんでいるその最中はやっぱり苦しいものです。。

私は、学級運営コンセプトを「一人ひとりがその人らしくいられる関係性を大切に 安心して学び続けられる、安心して挑戦できる学級」としています。別の表現として「立場や学力に関わらず 率直に意見を言い合える、疑問を聞きあえる学級」とも。

「あいつそんなことも知らないんだ」「あいつこんなこともできないんだ」「あいつが話すと授業が止まって邪魔だなあ」「あいつまた批判的なこと言ってるよ」 とクラスメイトに思われたらどうしよう。 そういった不安が解消されるだけで、以下のような結果につながっていくと推察されます。

・自分の意見や考えを言えるようになる
(空気感に流されず、ファクトや論理で主張)

・協働、共創して問題発見・問題解決できるようになる

・失敗を恐れず、責任をもって挑戦するようになる

・新規アイデア、現状改善などの意見がでるようになる
(活発な議論により、授業や行事が盛り上がる)

参考:心理的安全性(4つの不安)

4つの不安を取り除き、求める基準や目標が高く、かつ心理的安全性の高い「理想の学級」を皆さんと一緒に創っていきたいです。

今日はこんなところで。拙い文章を読んでくださり、どうも有難うございます。

※参考文献

エイミー.C.エドモンドソン,野津智子(翻訳).(2014).チームが機能するとはどういうことか.英治出版

石井遼介.(2020).心理的安全性のつくりかた.JMAM出版

おまけ。



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