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安城市の介護改革!!

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、要介護の方たちが居宅介護サービスの利用を自粛する動きが高まっています。
その結果、経営状況が悪化し、倒産せざるを得ない介護事業所が100ヵ所以上と深刻な状況です。

「老人福祉・介護事業」は、食材や光熱費、介護用品などが値上がりする一方、価格転嫁が難しいうえに、慢性的な人手不足に加え、顧客の減少で経営の危機に瀕しています。

介護業界全体を健全化の方向に立て直すための唯一で最大の施策は、思い切って安城市行政予算を投入し、介護従事者の手取り月収を1人10万円ずつ上げること。これ以外、有効な施策は今のところ思い当たりません。

介護従事者は看護師や消防士と同じく、私たちの社会の安全を支える重要なエッセンシャルワーカーです。今こそ、市を挙げて業界を支えていく必要があります。

2021年度の介護職の平均年齢は43.8歳。平均月収は約25万円。平均年収は360万円でした。

昨今、介護業界が立ちゆかなくなっている最大の要因は、介護従事者の慢性的な人手不足です。とにかく、介護の担い手がまったく増えていかない。なぜかといえば、介護の仕事は肉体的にも精神的にもハードであるのに、それに見合うだけの給料が支払われていないからです。

給料が安ければ、仕事に対するモチベーションも上がらないし、必死にしがみつきたくなる職場でもないから、多くの人がちょっとしたことですぐに辞めてしまいます。

すると、介護事業者側は人員を補充するために、決して安くはない広告費をかけてスタッフを募集する。運良く採用できたとしても、新人教育に多くの手間と時間がかかり、その分要介護者に提供するサービスが低下するという連鎖が延々と続くわけです。これを断ち切る有効な方法が、介護従事者の給料を思い切って上げることです。

本当に介護従事者の給料を引き上げれば、介護ビジネスを取り巻く環境は大きく変わるのでしょうか。
変わります。ただし、毎月少しずつ昇給しても状況はさほど変わりません。一人当たり月10万円、年収にして120万円程度上げることが重要です。

介護事業に携わっている人は、市内全体で1000人弱。その全員の年収を一律120万円アップさせるために必要な予算は約12億円です。この金額であれば安城市も捻出できるはずです。家計を支えるために十分な収入を見込むことができれば、「介護の仕事をやってみたい」と思う人ももっと増えてくるのではないでしょうか。

12億円の予算が毎年必要となれば、安城市にとってかなりの負担になることは間違いありません。

しかし安城市は、「財政的に厳しいからもう予算を出せません」とは言えない状況であることも確かです。「財政的に厳しいから看護師を減らします」と言うのと同じことです。介護従事者はそれだけ日本社会にとって、安城市民にとって必要不可欠な人たちなのです。行政もこの事実を直視すべきでしょう。

 冒頭で、「介護事業所が100ヵ所以上倒産した」という話をしましたが、そこがお世話をしていた高齢者の人たちはどうなったのでしょうか。仮に1ヵ所でお世話していた人が30人の場合、100ヵ所となれば最大で3,000人の高齢者が介護サービスを受けられなくなります。こういった場合に、ご家庭が代わってお世話をすることになります。

そうなると介護離職の問題が浮き彫りになっていますが、仕事や育児と両立して介護をすることは容易ではないはずです。一家族3~4人として、9,000~12,000人の日々の暮らしが危うくなります。

高齢者介護で破綻を来すと、ドミノ倒しのように家庭や経済生活を崩壊させてしまう。この点に、私たち日本社会はもっと危機感を持つ必要があると考えています

先ほど、看護師の話が出ました。今では看護師も憧れる職業と変化しましたが、以前は待遇がかなり劣悪でした。2006年度の診療報酬改定以降、看護師の数を従来の1.4倍に増やせば、病院側は儲かるようになったわけです。

これをきっかけに看護師にとっては売り手市場になりました。優秀な看護師を獲得したい病院側はより高額な給料を約束するなど福利厚生を充実させ、結果として看護師の平均収入が高まりました。

看護師側から見ても、給料が増える一方で、自分がお世話すべき患者数が減って負担が軽くなるわけですから、労働環境が大きく改善することになります。だから政策的に、介護従事者の給料を税金で看護師並みくらいまで補填してあげることは、これからの社会ニーズを考えると必要不可欠な政策テーマなのです。
 
 看護師も介護福祉士も、世のため人のために奉仕する「エッセンシャルワーカー」だという点では変わりません。どちらもこの社会に欠かせない公共インフラです。介護福祉士も看護師同様、社会的にもっとリスペクトされるべき仕事だといえます。

「介護」という仕事の重要性を、政治家はもちろん、市民一人ひとりがしっかり理解することから始めて頂きたい。例えば、文科省の『2020年度学校基本調査』によれば、全国の小学生の数は約630万1,000人だそうです。

対して、65歳以上が3,617万人。高齢者数は小学生のおよそ6倍となっています。しかもこれから、高齢者の数はさらに増えていくわけで、彼らをどう支えるのかは喫緊の課題です。

 安城市内に目を向ければ、75歳以上の後期高齢者人口は19,459人。2045年には30,527人と予想されます。これは市民6人に1人が後期高齢者となる予想です。約20年で1.5倍以上に増加します。安城市内の介護福祉関連の事業所は現在188施設。そこに約1,000人以上の職員が働いています。

今後、高齢者の数は1.5倍以上増えていくわけですから、施設や職員の数も同等に増えなければ、現在の50代半ばの方々を、20年後にどのように支えることができるのでしょうか。

 介護は、誰もがみな平等に、順番に巡ってきます。そして、今日、明日、急に介護の世界は変わりません。2025年までにも介護を変える力もないです。ただ、諦めたら現在の厳しい状況は変わらない。さらに劣悪になっていくでしょう。だから、2040年までには、介護を変えるんです。

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