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【vol.33】ビーチクリーンを主催してみて

2021年は京丹後青年会議所という団体の一員として、京丹後市内でSDGsを推進する活動をしていました。

そこで、今回の記事では2021年にSDGs推進の取り組みの一貫として行った「ビーチクリーン(海岸清掃活動)」について書いてみます。

皆さんは、海岸清掃活動に参加したことはあるでしょうか?

・・・と言っても、そもそも海のない地域に住まれている方は、川の清掃活動なら地域で参加したことがあるという方も多いかもしれませんね。

そういう私も、2015年から京丹後で暮らしていますが、海岸清掃活動に参加したことは2回ほどしかなく、2021年に「青年会議所として主催しよう」となったときに初めて本腰を入れたのが正直なところです。

4月と6月の2回開催しようということになりましたが、せっかくならコンセプトを決めてやろうということで、いずれも公の海水浴場ではない(海水浴場ならシーズン前に市や観光関係の団体を中心として清掃が行われるため)、普段から市の手が届きにくいところを清掃場所として選定しました。


まずやってみて感じたのが、当日までの段取りがなかなか大変だということ。

市の担当課に、いつ、何時から何時頃まで、何名ぐらいで清掃を行うかなどの情報を記載した後援申請書を提出し、指定のゴミ袋をもらったり、集めたゴミを処分するための許可書(これをもらっておくと処分場への持ち込みが無料になります。どれぐらいのゴミを運ぶ予定かも書かないといけないため、おおよそのゴミの量を予め現地で確認して把握しておく必要があります)をもらったりします。

また、集めたゴミの運搬を業者さんに頼むと多額の費用がかかるので、自分たちでゴミを処分場に運搬するためのトラックの手配を青年会議所メンバーやその知り合い等にお願いしてやっておく必要もあります。

そして、一般の参加者を募集する場合はその段取りと軍手、火箸などの清掃道具や飲み物などの準備、清掃場所と駐車場のアナウンスなど・・・様々な準備が必要となり、なかなかの時間を取られます。

さらに、当日来てもらった参加者に指示をさせてもらうために、誰が、どこを、どれぐらい清掃するかというざっくりとした計画も立てておく必要があります。


・・・そんなこんなで慣れない準備をした後、いよいよ4月に第1回のビーチクリーンを行いました。

ここの海岸は他の場所に比べても地形等の関係から漂着ゴミがものすごく流れ着きやすいのですが、市の手が入らないために普段は地区の住民が中心となって清掃をされているようです。

しかし、地区の住民も高齢化しているためになかなか頻繁に清掃をすることができないという悩みを持っておられました。しかも、この海岸は駐車場から長く細い下り坂を降りた先にあるため、たどり着くためには結構な距離を歩くことになります。

もちろん、集めたゴミを歩いて駐車場まで毎回運ぶことも難しいため、軽トラで細い一本道を降りて行き、ゴミを積み込んで少し広い場所で軽トラをUターンさせ、来た道をまた登って駐車場にある2トントラックに積み込み、空になった軽トラでまた下に降りて行く、という地道な作業を繰り返しました。

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※写真上部の一本道が上の駐車場までたどり着く道ですが、片道で徒歩10分ほどかかり、しかも結構な急勾配です。軽トラの台数があまり用意できなかったため、常時3台ぐらいを鉢合わせしないように連絡を取り合いながら走らせ、登り降りを繰り返しました。


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※清掃を行ったのは丹後町袖志にある「岩田海岸」。普段から人の出入りは多くないですが、ハイキングコースにもなっていて景色がとても良く、「隠れ観光スポット」のようなところです。

当日は予想を超えて100名ぐらいの方が集まってくださり、海岸を綺麗にするのに2時間以上はかかると思っていましたが、想定より1時間ほど早く終えることができたことは幸いでした。

しかし、想定外だったことは集まったゴミの量の多さ。
2トントラック2台と軽トラ3台を用意していましたが、全てのゴミを積み込むことはできず、また、処分場までの距離も遠いため、一日で往復して運ぶことはあきらめ、その日は集めたゴミをその場に固めて置いておき、後日に改めて運搬だけを行うことになりました。

やはりゴミの量は多めに想定しておき、運搬用のトラック等の手配を余裕を持って考えておかないといけないという教訓を得た、初めてのビーチクリーン主催日でした。


次に、2回目のビーチクリーンを6月に行いました。場所は網野町三津にある「ゆぎの浜」という海岸。三津漁港というところを駐車場にして、遊歩道を15分ほど歩いてたどり着ける場所です。

この三津漁港には、もともと漁師さんの物置だった建物を改装して2020年に新しく珈琲店を開店された女性がおられ、その方がマリンアクティビティのインストラクターや貝殻を使ったボールペンづくりなどを普段からされており、ゆぎの浜の海岸清掃もされているということでしたので、連携させてもらうことになりました。

今回の目玉は「シーカヤックに乗りながらゴミを運搬する」という試み。
ゆぎの浜には大きく二つのプライベートビーチがあり、そのうち一つは少し離れた場所にあるのですが、そこにも結構な漂着ゴミが溜まっています。

ただ、そこには船またはカヤックに乗らないとたどり着けないため、事前に大まかなチーム編成を考え、チームでカヤックに乗って離れたプライベートビーチまで行き、ゴミをカヤックに積んで帰ってくるという作業を繰り返しました。

カヤックを一人で操縦するとして、乗せられるゴミは多くても2袋ぐらいなので、何往復もしてもらう必要があり、結構な労力だったと思います。
それでも皆さんだんだんカヤックの操縦に慣れてきて、楽しそうに運搬をしてくださっていました。このように清掃活動をしながらマリンスポーツも楽しめるというのは新しい試みとして面白いものだなと感じました。

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※シーカヤックに乗ってのゴミ運び。子どもたちにも一緒に乗って楽しんでもらいました。

さて、だいたい1時間半ぐらいプライベートビーチのゴミ集めを行い、次はいよいよ駐車場にあるトラックまでの運び出しの時間です。
前述したように、ゆぎの浜から駐車場までは遊歩道で15分ぐらいかかるので、ゴミを集めた後の運び出しもなかなか大変です。

ここでは、一人ひとりがゴミ袋を持って駐車場まで歩くのではなく、予め参加者が所定の位置につき、ゴミ袋を順番に前に渡していくといういわゆる「バケツリレー」を行うことで、なるべく一人ひとりの負担を減らすように工夫しました。

このバケツリレー自体は淡々とした作業の繰り返しではありますが、ゴミを渡すときに「これは重いです」とか「袋が破れかけてるので気をつけて」などと声を掛け合ったり、先頭の方から「もうすぐゴールなので頑張って」と後ろに伝言をしたりして、初めて会った人ともコミュニケーションが密に取れ、参加者の皆さんは疲れていても楽しそうに会話しながらゴミを運んでおられました。

この2回目のビーチクリーンは70名ぐらいに参加いただきましたが、また1回目とは違う趣向を凝らしたこともでき、1回目の反省を活かして楽しく進めることができたと思います。

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※総勢70名のバケツリレーでしたが、全部で5回以上は繰り返さないとゴールまでたどり着けず、結果的に運び出しだけで1時間以上かかりました。ゴールした後の参加者の達成感に満ちた笑顔が印象的でした。


さて、これで2回とも何とか無事にビーチクリーンを主催し終えたわけですが、主催側だからこそ気付いたことを最後に一つ紹介したいと思います。

それは、「最終処分場」の問題です。京丹後市では、網野町にある「網野最終処分場」というところに主にビーチクリーンで集めたゴミを持って行くわけですが、実際に持って行ったときに、ものすごい量のゴミがそのままの状態で積み上がっている光景を見て唖然としました。

運んできたゴミは「海岸清掃で集めたゴミ」という区分で所定のスペースに出しますが、既にそのスペースもゴミが溢れんばかりに積み上がっていて、とりあえずその周辺にトラックからゴミを放り出すような形で置いていくことになります。

その作業をしている間は、「何だか海から山にゴミを移動させているだけだな・・・」といった暗い気持ちになりました。
最終処分場には普段から燃えるゴミの焼却灰や、燃やしたりリサイクルするのが難しい粗大ゴミ、そして海岸清掃で集められたゴミなどが捨てられていくわけですが、長年の積み重ねで埋め立ての限界を超え、ゴミが高く積み上がっているのです。

網野最終処分場も耐用年数は残り2年ほどと言われており、京丹後市内には他に空いている処分場がないため、現在新しい処分場の建設が進行中(もう既に他の自治体にお金を払って引き取ってもらっているゴミもあるとのこと)ということです。

これまでビーチクリーンに参加する側としては、海岸を綺麗にして「綺麗になって良かった。今日は良いことしたな~」みたいに満足感を得ていましたが、集めたゴミがどこに運搬されて処分され、その場所がどうなっているかまでは考えたことがなかったので、衝撃的な体験でした。

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※網野最終処分場の光景。このようなゴミの山が至るところにできており、あと2年ほどでこれ以上は埋め立てできなくなると言われています。


この処分場の問題は決して京丹後市だけの問題ではありません。
日本は他の国に比べて国土が狭いため、ゴミを埋め立てる場所が圧倒的に不足しており、およそ20年後には日本全国の処分場がゴミでいっぱいになる(日本中の山がゴミだらけになる!?)という話もあります。

私たちは誰でも普段の生活でゴミを出しますが、分別をしっかりしてリサイクルに出せるものは出すこと、使い捨てゴミをなるべく減らすことなど、ゴミ出しのマナーを守るのはもちろんのこと、少しでもゴミを減らせないか普段から工夫することがこれからますます求められると思います。

ビーチクリーンを実際に主催してみて、「ゴミの清掃も大切であるが、そもそもゴミを減らすことも大切」ということに気付けました。

もちろん、一朝一夕にできることではありませんが、それでも一人ひとりが意識することで少しずつ改善していくこともあると思いますので、これからも一市民として意識して行動していきます。

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