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《24》林業業界の事例(㈲本郷林業)~地域の自然を有効活用~

業界別のSDGs事例紹介。

今回ご紹介するのは林業。
北海道池田町の㈲本郷林業です。

※このホームページのタイトルでは本郷林業「株式会社」となっていますが、ホームページ内では「有限会社」本郷林業とも書かれているため、敢えて「有限会社」にしています。


木材の伐採・販売会社として創業した後、炭焼きを始めて50年以上にわたり高品質な炭をつくり続けています。

代表者である炭職人の本郷孝雄氏は、道内初の白炭窯の導入、備長炭の生産成功等、北海道の製炭に大きな役割を果たしたとして、

公益社団法人国土緑化推進機構の「森の名手・名人100人」に選定され
ています。


同社の炭は、北海道十勝の厳しい自然が育てた良質なミズナラだけを選び抜き、名人が焼き上げたものとして「十勝木炭」と呼ばれています。

北海道十勝の冬の寒さはミズナラを硬く締まったものにするため、十勝木炭は燃焼時間、香り、全てが他と違い、

暖房燃料、バーベキューやお茶炭などに使われるほか、消臭や水を奇麗にする効果もあります。
 

また、この十勝木炭が生み出す木酢液(※)は、

日本木酢液協会による厳しい認証審査を経て、その適合性が判断された安全な製品であり、

主に農産物を生産するための土壌改良資材や植物活性剤等として利用されています。


木材の伐採」というと自然環境にとってあまり良くないイメージがあるかもしれませんが、

同社は山を健康にして、持続可能性を高めるためにこそ木を切り、炭を焼くのであり、

実際に木を切り出すことで風と光が入るスペースをつくり出しています

本郷林業は山林という地域の自然を有効活用することで、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」を体現しており、

それを用いて伝統的な炭焼きの技術を継承していることから、ゴール4「質の高い教育をみんなに」にも貢献している会社であると言えます。


このように、その土地の自然を生かし、技術をつないでいくことは他地域にはまねできない唯一無二のSDGsへの取り組みとなり得ます

この事例から、自分たちが住む地域でこれまで「当たり前」と思っていたコトやモノの「有り難さ」を改めて見直し、

さらにその価値を高め、つないでいくにはどうすれば良いのかを考えることの大切さを実感させられます。

(※注釈)木酢液・・・炭焼きで木材を炭化する際に出る水蒸気や煙を冷やした液体の上澄み部分で、有機農産物の日本農林規格における「肥料及び土壌改良資材」として認められ、消臭や虫・動物の忌避などさまざまな用途に用いられる。


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