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【vol.26】このままいくと地球はどうなる!?データから知る「トレード・オフ」(その1)

最近、少しずつSDGsに関する講演のご依頼が復活してきまして、さらに熱が入ってきました今日この頃です。

今回は、世界の現状についてデータを見ながら「トレード・オフ」について考えてみたいと思います。

トレード・オフとは、簡単に言うと、

何かを得ようと思うと、何かを失うということ

SDGsの「経済・環境・社会」の3つの要素で考えると、

「経済」活動のために「環境」を破壊してしまう

まさにこれはトレード・オフの最たるものですよね。

もっと身近な例でいくと、

仕事が忙しくなると、夫婦の時間がなくなる

ん、これは時間の使い方とか心持ちの問題かもしれません。。。汗

さて、それではいくつかのデータをご紹介します。

◆2050年時点では、気候変動などの影響を受け、世界人口の約52%(約50億人)は、何らかの水不足(=水ストレス)に直面することになるという。
(マサチューセッツ工科大学の研究チームより)

国と国との戦争の際に、「核を持つ国、持たざる国」という分けられ方をすることがありますが、将来的には「水を持つ国、持たざる国」という分けられ方をされ、水をめぐる戦争が勃発する可能性もあるということです。

◆気候変動による海面上昇、干ばつ、農業生産地の荒廃化などにより、「国内難民」は、南アジア・サハラ以南のアフリカ・ラテンアメリカで急増する。2050年までに、このような「気候変動難民」は、現在より1.43億人増える可能性があるとしている。
(世界銀行より)

直近のニュースでいうと、アフリカや中東、インド、欧州の一部などでのバッタの大量発生による穀物被害がありますので、この予測もよりリアルに感じられますね。

気候変動の影響により穀物が育たない

食べるものが極端になくなる

食べものがあるところへ移民するしか選択肢がない

という、如何ともし難いことが現実(簡略化して書いてますが)に起こっているようです。

◆メコン川、黄河、ガンジス川などアジアの多くの大河の源流となっているヒマラヤの氷河は急速に減少しており、今世紀中にアジア全般において、20億人前後の水の供給に甚大な被害が及び可能性があるという。
(アジアの研究者グループより)

またしても「」問題ですね。
また、氷河といえば、南極の氷が溶けて白くまが死んでしまう、という話もありますね。さらに、それによって海面が上昇すると、かの有名な”モルディブ”が沈んでしまうかもしれない、という悲しい予測もあります。

あと2つ、データをご紹介します。

◆1970年から2014年までに、人間の活動によって魚類、鳥類、両生類、爬虫類、哺乳類などの脊椎動物の個体数は60%減少したという。主な原因は、農業と工業化による生物多様性の喪失、汚染などとしている。
(世界自然保護基金(WWF)より)

魚でいうと、クロマグロとかウナギとかが将来的には食べられなくなるかも?という話もありますね。
原因としては、やはり人間の経済活動が大きいようですので、しっかりと現実を受け止める必要がありそうです。

◆2050年時点で、海洋におけるプラスチックの重量は、魚介類の重量を上回ることが予想される。
(2016年世界経済フォーラム:英国エレン・マッカーサー財団の報告より)

7月からの「レジ袋有料化」を受けて、「海洋プラスチックごみ問題」に関心を向けた人は多いかもしれませんね。
ただ、プラスチックごみ全体の中でレジ袋は「わずか2%」のようですので、たとえレジ袋を完全に廃止したとしても、プラスチック問題が解決しないのは明らかです。

小泉環境大臣も発信されていますが、レジ袋有料化をきっかけに一人でも多くの人が「プラスチック問題について考えるきっかけにする」ことが何よりも大切ということです。

この「海洋プラスチックごみ問題」は別の記事でも書いてみたいな~と思っています。

何とも、恐ろしいデータをいろいろと紹介してしまいました。。。

これはほんの一部のデータに過ぎませんが、これまでの人類の歴史でたくさんのトレード・オフが発生してしまっているということです。

なかには、良かれと思って問題解決に取り組んだことが、意図せずして別の大きな問題を引き起こしてしまった、ということもたくさんあるでしょう。

そこで、SDGsを「トレード・オフを考えるときのヒントとして活用する」ということができると思います。

例えば、ゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」があります。

このゴールへの取り組みの一つとして、ロボットの開発など、AI技術への積極的な投資によるテクノロジーの推進というものがあります。

ただ、いくらロボットは有望で便利だからといって、会社としてそれにばかり投資をしてしまうと、そこで働く「人」はどうなるでしょうか?

従業員としては、自分たちへの給与アップや福利厚生の充実がなされず、「収入が上がらず、働きがいも失われてしまう」ということにもなり兼ねないでしょう。

これは、ゴール8「働きがいも経済成長も」にむしろ「逆行」することになります。

これは一つのシンプルな例ですが、こんな風に、

あるゴールに向かって取り組んだことが、別のゴールにとってはむしろマイナスになる

いわゆる「SDGsのゴール間のトレード・オフ」なるものが起こらないように、取り組み方を考えることが必要になりそうです。

僕自身も、これからさらに「様々な課題の集合体」とも言えるSDGsをよ~く眺め、よ~く考えてみることで、トレード・オフにならないためのヒントとして役立てていきたいと思います。

さて、トレード・オフには他にも(悲しいかな)データがたくさんあるので。。。また次回以降に続けます!

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