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【vol.22】障害は人ではなく環境にある~ユニバーサルマナー検定受講記~ (3級)

なかなか日程が合わなかったり、コロナで延期になったりしていたのですが、ついに受講することができました!

ユニバーサルマナー検定


皆さん、ご存知でしょうか?

WEBサイトには下記のように紹介されています。

自分とは違う誰かの視点に立ち、行動する人を育てる
ユニバーサルマナーの実践に必要な「マインド」と「アクション」を体系的に学び、身につけるための検定です。
声がけやコミュニケーションを行うには、多様な人々の特徴や心理状況を知ることから始めます。その上で、ケースバイケースの適切なサポート方法を学ぶことができます。
https://www.universal-manners.jp/about


もともとのきっかけは、友人から「ミライロ」という会社さんのことを聞いて、社長の垣内さんの書籍「バリアバリュー 障害を価値に変える」を読んだことにあります。

まさにこの書籍のタイトルのように、ミライロさんの企業理念は「バリアバリュー

人にはそれぞれ、弱点や短所、苦手なことがあります。トラウマやコンプレックスがある人もいます。しかし、それらは克服すべきでも、取り除くべきでもありません。今まで「バリア」として捉えていたことも、考え方や周囲の向き合い方次第で「強み」や「価値」に置き換えることができます。バリア(障害)をバリュー(価値)に変え、私たちは社会を変革します。
https://www.mirairo.co.jp/company/vision


今回は、そんなミライロさんが一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会として開催されている”ユニバーサルマナー検定”を受けてきたので、自分なりに振り返りながらレポートしてみたいと思います。

検定には3級と2級があり、3級は座学メインで2級は実技メイン。どちらも受けたかったので、一日で両方とも受講できるカリキュラムを選びました。

受講時の撮影はもちろんできないために写真がないのと、順不同で印象に残った部分をピックアップして紹介していきますので、文章だけでどこまで伝わるか。。。わかりませんが、少しでも内容をイメージいただけると幸いです。

※「障害者」は「害」という漢字を避けて、「障がい者」と表記されることが多いと思います。ただ、「障がい者」と表記すると、視覚障害者が利用するソフトウェアで「さわりがいしゃ」と読み上げられてしまう場合があることから、ミライロさんでは「障害者」という表記をされているようです。私もここではそれに倣い、「障害者」と表記することにします。


【3級の受講記】

まず、講義の最初に

「ある特定の誰かと自分との違いをできるだけたくさんあげてみましょう」というワークがありました。

短い時間でしたが、皆さん10個以上は簡単に見つかっていました。

いわゆる同じ健常者であっても、「違いがあって当たり前」。むしろ、同じところを見つける方が難しいということを最初に実感させてもらいました。


「ユニバーサルマナー」とは?

《日本がもし100人の村だったら?》
LGBT 8人、高齢者 28人、子供 12人、妊婦 1人、左利き 10人、障害者 7人、外国人 2人

こういった方々はついつい”マイノリティ”だと思いがちですが、現実にこれだけのパーセンテージで考えられるのです。

そうなると、私たちにとって、“自分とは違う誰かの視点に立ち行動すること”は、特別な知識ではなく、「こころづかい」の一つになります。

このように多様な方々へ向き合うためのマインドとアクションを「ユニバーサルマナー」と名づけ、ハード(設備)を変えることができなくても、私たち一人ひとりの「ハート」を変えることで、ついつい無関心あるいは過剰になりがちな「多様な方々への向き合い方」を改めて考え実践していこう、というお話が導入として心に響きました。


「ユニバーサルデザイン」とは?

日本では、昔からよく「バリアフリー」という言葉が使われてきました。しかし、これは「特定の人(障害者)のため」という狭い表現であり、和製英語だそうです。

世界では「ユニバーサルデザイン」という言葉が主流で、これは「すべての人のため」という表現で、意味が広く捉えられています。

例えば、当日の講義で使われていたスライドもまさにユニバーサルデザインに配慮されていました。

スライドというと、「背景が白」「文字が黒」の場合が大半です。しかし、白は明るく反射するので、長時間見ていると目が疲れやすくなりがちです。

なので、敢えて「背景を黒」「文字を白」にして、通常とは色を反転させることで、講義を聞く人の目に優しいように配慮してスライドを作られていました。

また、これは後の2級受講のときに習ったことですが、視力が弱っている人には「明朝体」よりも「ゴシック体」の方が見えやすいそうです。そして、文字の大きさも「12ポイント以上」の大きさで表示すると見えやすくなるそうです。

こういった知識は今後、自分が講演等をする場合でも活用できますし、配慮していきたいと思えました。


障害は「人」ではなく、「環境」にある

例えば「左利き」であることは「障害」とは捉えられていません。

しかし、ハサミや包丁などの道具や、駅の自動改札機など、世の中の大多数である「右利き」の人に合わせて作られた「環境」がある中で、左利きの人は不便や不自由が生じ、それが一種のバリアになっています。

これは左利きの僕からすると、いつも以上にすんなりと理解することができました(思い返すと、電車の駅の改札を通るとき、いつも左手でカードを持ちながら右側にあるICカードの表示にタッチしていたなと。笑)

また、最近ではお店の入り口に消毒液が置かれていることが多いですが、車椅子の目線の高さはおよそ110cmなので、車椅子ユーザーの方からすると、立っている人の目線に合わせて置いてある消毒液は使いにくいという話があるそうです。(これは子どもにも当てはまりそうですね)

こういった例を聞くにつれ、やはり障害というのは「環境」にあるものであり、障害のある人が社会に合わせるのではなく、「社会が障害に合わせるように環境を変えていく」ことで、多様な方々が今よりもずっと住みやすい社会になっていくのでは?という学びを得ることができました。


コミュニケーションの誤解!?

障害のある人とのコミュニケーションについても教わることが多くありました。

私は、聴覚・言語障害の方々はほとんどが手話が使えるという「イメージ」を勝手に持っていました。しかし、実際は85%の方は手話が「使えない」そうです。

なので、ジェスチャーを交えてゆっくり話しながら、口の動きを読み取ってもらえるようにする。また、筆談を積極的に使うなどの方法でも十分にコミュニケーションが取れるそうです。

また、こういった障害のある方がお店に行ったとき、家族や友人などと一緒に行くと、店員さんが本人のこともその家族や友人に尋ねるように話しかけることが多く、「店員さんはほぼ自分には話しかけてもらえないのが悲しい」という当事者の声がよくあるそうです。

「コミュニケーションできない」と最初から諦めるのではなく、どうやったらコミュニケーションが取れるのか、まずは自分が心を開いて向き合うことが大切ということを教えていただきました。


「そのときあなたならどうする?」という想像力を働かせる

後半には演習問題を使いながら、実際に起こり得るシチュエーションを想定して、そのときに「誰がどのようなことに困るか?」そして、「どうすればその不便を解消できるか?」を考えるワークがありました。

例えば、「ドアノブのついた開き戸」

ドアノブを回して自分の体の方にドアを引き寄せ、手で支えながら部屋に入るというタイプのドアです。

このドアだと、例えば杖をついた高齢者が片手でドアノブを回しながら中に入るのに不便ですし、自分の体の方にドアが来ることから、車椅子ユーザーは開けたまま通るのに苦労する、また、視覚障害者も自分とドアとの間隔を把握しづらいなどといった問題点があります。

そこで、例えば、ドアをある程度まで開けたら止まるようにしたり、近くにいる人がいたらドアを開けるお手伝いをする、あるいはドアノブをレバー式にするといった方法で不便が少しでも解消できます。

ただ、そもそも開き戸ではなく、「自動ドア」にするとか、「引き戸」にするなど、そもそものハード面をしっかりと整えておくとより多くの人が不便なく使えることになります。もちろんコストの問題はあると思いますが、これから設備などを整える場合はこういった意識が必要だと思います。

その他、

◆車椅子使用者が車椅子に乗ったままで階段から降りるためのサポートをするときは、使用者に前向きではなく後ろ向きになってもらい、「背面から」降りるようにサポートをする

◆視覚障害者の移動をサポートする場合、自分の肘や肩をつかんでもらうようにして、斜め前を先導して歩くようにする

◆聴覚障害者と筆談によるコミュニケーションをする場合、話し言葉そのままを書くのではなく、なるべく簡素な文章にして、横書きで、数字はアラビア数字を使う

などなど。。。

何となく知っていたようなことですが、改めて聞くと「そうだった!」と思うようなことが多く、モヤモヤしていたものがしっかりと知識として自分の中に入ったように思います。

これらの演習問題を通して、正確な知識を持っておくことはもちろん大切ですが、それよりも大切だと感じたのはやはり「想像すること

ハード面においてもソフト面においても、まずは「想像力を広げる」ことで多様な方々への適切なサポートにつながり、ビジネスにおいても多様な方々に配慮したサービスや商品を提供できるヒントが得られるのではないか、と感じました。

ということで。。。3級のレポートは以上になります!

受講から少し時間が経っているので、また何か思い出したら追記したいと思います(汗)

それでは次回、より深い知識や実技を学んだ「2級」のレポートを書いていきます。

【補足】
講義でまず驚いたのが、講師の方自身が”全盲”(視力がまったくない状態)であること。音で会場の雰囲気を感じながらお話を進めていかれ、また障害のある当事者の方のエピソードも交えながらのお話は、ものすごく説得力がありました。

そして、スライドを表示しながら講義されていくのですが、スライドとお話が全くずれることがなく、「どうなっているんだろう?」とずっと不思議に思っていたら、イヤホンを補助として「現在のスライドが何ページ目で、どの部分について表示しているのか」を把握した上でお話されているとのこと。

それにしても、これは相当な練習をしないと為せる業ではないと思います。人前に立って話すことが少なくない私自身もとても刺激を受けました。


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