見出し画像

遂にこの時が来たので思いを書いてみる

 色んな場所に旅へ出るので、その時に
「自分は京都出身の京都育ちです」
と言う機会が増えた。そして、その際には
「嵯峨野の人です(追加で渡月橋・映画村が最寄りと表現した経験があり)」
と言うと、更に高評価なというか羨望の御言葉を頂く。…そんなに嵯峨野って良い場所なんですかね?もう20年近く住んでいて、そこまで良さを感じた経験がないのが自分の鈍感さ。
 という事で。自分は嵯峨野を支える路面電車、嵐電に育てられてここまで生きてきた。
 嵐電といえば、最近でこそ京紫になったもののかつてはベージュ+グリーンの塗装で京都の街に素晴らしく馴染んだものだった。かくいう自分も、この塗装を幼少期から見て育っている。現在でもこのベージュ+グリーンの旧塗装は301形のみが纏っており、今でもその姿を確認する事が出来る。
 とそんな嵐電。自分でも観光客の目線を浴びる他は全く注目を浴びない私鉄だしそこまで旧塗装・301号車に動きがあった際ないしイベント開催の折しか注目されない鉄道だったのだが…
 この度衝撃の発表で世間を騒がせる事になった。

京福電鉄公式プレス様より画像引用

 新型車両を導入する事になったのである。車両は2024年度に1両を導入し、順次両数を増やして既存の車両との交代を行っていくという。
 主に戦前生まれの電車を置き換える…と発表され、コレにより「モボ101・301形」の旧型電車は事実上の引退宣告を突き付けられたのだ。
 この電車の側面を眺めてみると、「丸みを帯びた形状」がモボ101形からの「マルダイ」と呼ばれた車体の丸みを継承していて実に良い。
 そして、側面を見ているとこの車両にはロゴがある。「KYOTRAM」との商標登録愛称を冠しているとの事であり、車両側面にもそのロゴが配置された。個人的にはこの側面に配置されたさり気ない車両愛称のロゴが何気に1番の推しポイントなのである。
 モボ101形・301形を撮影した事があるまたは乗車経験がある方なら理解が早いかもしれないが、モボ101形・301形には側面上部に「京 福 電 鉄」とロゴ打ちされた銘板が方向幕のように記されているのだ。この部分を、「車両愛称を側面配置して継承」というのが非常に嬉しいポイントである。こうした部分の意匠が引き継がれてゆくとは考えてもいなかった。

京福電鉄公式プレス様より画像引用

 車両前面を見ていく事にしよう。
 車両のデザインは、側面の塗装が前面のブラックフェイスギリギリまで侵食しているに近い状態となっており、かなり車両が丸みを帯びている状態なのが感じ取れる。
 そして前照灯のデザインが欧州の路面電車・小型電車を彷彿させるデザインだ。登場したプレスを眺めても、全国の人々からは
「異国情緒のある電車だ」
との呼び声が高く、この時点で相当な変化が感じられた。
 気になるのは「KYOTRAM」ロゴ上の白い線だが、この部分については何か隆起した飾りのようなモノになってくるのだろうか。その部分も非常に興味を唆らせてくる。
 しかしかなり細身に纏まったのではないだろうか。この時点で衝撃を与えた電車である事は間違いなく、プレスがネットに溢れ出た瞬間に様々な方面からの反響。コラ画像の制作、または類似電車の感想…などがあったが、やはり多かったのは
「緑調の従来型について」
の意見だった。この点の感想について、沿線民から思う感覚を記しておこう。

 嵐電の電車は、創業100周年を迎えた2008年以降から順次車両の色を京紫色と呼ばれる紫系の塗装に改めていった。現在ではこの「京紫」の占める比重の方が強く、従来の緑色の電車については事業用の電動貨車を含めて3両しか存在していない。
 とこんな状況で従来の嵐電の電車の画像を掲載した。
 個人的には通学の時からこの京紫が目に染みており、既にどんな感情を抱く事はなくなっているもののやはりあの緑系の塗装への憧れや緑系の電車が再来する事は非常に恋しいものを感じてならない。
 家族もこの紫になってしまった嵐電の存在をそこまで良く…とは思っていないものの、自分の中では会社内のプレスや会社内のイメージカラー、そして会社が発揮する一定の個性へと成長してしまった分、
「あぁもう仕方ないのかな」
という気持ちのほうが勝ってしまう。コレはもうメンタルの問題のような気がするのだが。

 事実、この塗装になってから1回だけこの塗装の電車をモチーフ?主人公?にした映画「嵐電」が公開され再上映ながらも上映を観に行った事がある。
 その際には非常に京紫の電車が作中、または沿線に上手く落とし込まれており
「京紫の電車が新しい市民権を得たのだな」
という何故か時代の父親のような目線になってしまった。あの映画の中で京紫の引き出す力は「妖艶」というか「不思議」というか「沿線の新たな主役」というか、幾つもの感想が登場し自分の中で嵐電の現在を受け入れるキッカケになった作品でもある。
 そして、高校生の頃にはある大学の鉄研で
「和を連想する色は何か」
という色については何かという話を聞いた経験があり、その色の解答が「紫」だったオチを聞いた事がある。
 そうして嵐電には現在の環境が投じられており、京紫の電車は街を飾っているのだった。

 やはり住み慣れし人間たる者、特別な感情と思い入れは持ってしまう…ものだろう。
 最後に、嵐電の古くから馴染みある緑系の塗装を掲載しておこう。
 今回の新型車両にもこの塗装が逆転の発想で採用されてくると非常に嬉しいものを感じるがそうなる事はあるのだろうか。なってくれると非常に嬉しい事だし、京都を意識する序でに何か「クラシック」な電車を1両は送り出してほしいものだ。
 今回は自分の嵐電観を記した、路地裏寄り道の記事だと思ってくだされば非常に嬉しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?