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【Look back at that day10】

父親になって、特に、子供が大人になって分かったことの一つに「父の愛は伝わりづらい」という事がある。だが、所詮、愛は伝わらないものか。著名な作家も、愛は惜しみなく奪うと言っていた 気がする。

 父親のことは好きだった。いや、大好きだった。もしかしたら伝わっていたのか。自信が持てない。

 比較的(反感を恐れずに言うならば かなり)裕福な家庭だったので長期の休みには必ず旅行に行った。ただ、母親の好みが偏っていたために旅行先は2,3に限定されていた。

 旅行が楽しかったか否かはあまり記憶にない。道中、酷い乗り物酔いをした記憶の方が鮮烈である。

 泊まる旅館は毎年同じだったような。勿論、家族〇人が一つの部屋に寝るわけである。そこで最大の問題になったのは父親の【いびき】である。別に肥満でもなく、筋肉質でまあ、カッコ良い体形だったはず。それなのにいびきは絶望的というか破壊的にすごかった。

 〇人で床を延べるときに父はいつも私を隣にした。嫌ではないが寝れないのだ。その上、父は私を抱えるように寝ようとし、変な意味ではないが足を絡めてくるのである。

 暑い、煩い、鬱陶しい 完璧に揃ってしまう。散々文句も言っただろう。

 ですが、今なら分かります。あれは父親の愛情だったのです。我が家は父親がやさしく母親が鬼でしたので、呼称は「パパ」と「おかあさん」でした。バランス悪いですね。

 パパ、ごめんなさい。あの時もっと甘えればよかった。パパもそれを望んでいたのかもしれない。私にとって【パパ】はあなたしかいません。

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