試用期間について実務上における注意点
この記事を読んでわかること
・試用期間とは
・試用期間を延長する時の注意点
・本採用拒否をする時の注意点
はじめに
今回は試用期間をテーマによく実務上で相談頂くような内容を中心にまとめました。
試用期間とは
従業員としての適正を判断するためのいわばテスト期間です。
また法的には「解約権留保付労働契約」とされています。
試用期間はどのくらいの期間が適正か
・法令で定めはないが3ヶ月から6ヶ月が妥当なライン。
・最長でも1年を目安に設定。それ以上長いと公序良俗に反し無効とされる可能性がある。
・紹介予定派遣労働者を直接雇う場合は試用期間を設けるのはNG
試用期間を延長をする時の注意点
まず延長できる前提としては以下になります。
延長できる前提
①就業規則に延長についての記載がある
②延長する理由が合理的である
③採用時に事前に通知や合意がある
延長期間については長くても最初の試用期間と同期間が限度の目安。
また、こちらも不当に長いと公序良俗に反する場合があるので最初の試用期間が6ヶ月の場合は延長でも3ヶ月程度が望ましいです。
合理的な理由としては以下が挙げられます。
合理的な理由
・仕事への成果や勤務態度が著しく悪く、それについて指導をしており現在改善を試みている段階のため、もう少し様子を見たい
・やむを得ない理由(病気、休業など)で出勤日数が少なく判断ができない
また延長する際は書面合意や指導履歴をとっておくべきです。
合意については上記の延長できる前提③の条件を満たすために必要であり、指導履歴を取っておくことで②の延長に対する合理的な理由の根拠とすることができるためです。
試用期間満了時に本採用拒否する時の注意点
本採用拒否も法的には「解雇」に該当しますが、通常の解雇よりもハードルは低く、判例でも広い範囲で本採用拒否が認められるとは考えられています。
ただ本採用を拒否する場合は上記で述べた試用期間の延長と同様に客観的かつ合理的な理由である必要があります。
具体的に能力不足や勤務態度が悪い場合はどの程度であれば解雇権濫用に当たるかについては個々での話になるので判断が難しいですが、判例でも試用期間中の問題行為について、再三の注意や指導、労働者側への挽回の機会を与えていたことがポイントになっていることもあるため、やはり指導履歴は客観的なエビデンスとして記録しておくことをお勧めします。
そして入社から14日を経過している場合は通常の解雇と同様に解雇予告が必要になります。また実際に本採用拒否を行う場合は具体的な理由や就業規則の根拠条文と合わせて書面にて通知する方法が良いかと思います。
さいごに
文中でも書きましたが本採用拒否などにおける合理的理由の内容についてはかなり個々の状況にもよるため判断は難しいです。
通常の解雇よりも多少緩和されているとはいえ、トラブル防止のためにも慎重に対応していくことをお勧めします。
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