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金田アツ子の温室

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清廉な抒情を少女と花に託す画家・金田アツ子の小部屋。馨しい植物画を中心に、やさしい視線で描かれた作品を発表します。
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#絵画

金田アツ子|名曲喫茶のブーケ

 東京にはまだ、訪れたことのない名曲喫茶がたくさんある。うっかりしているうちになくなってしまった場所もある。さみしい。  けれども金田アツ子さんの出してくれる昔ながらのデザート菓子は、いつまでたってもなくならない。遅くなってもいつも出迎えてくれる、わたしが来るより少し前の街の記憶。 *  まるで塔のようにそびえ立つ色とりどりの花々。しかしそれは花器ではなく、デザートプレートに載せられてやってきた。  終わりもなく始まりもない純白の円形に、いつまでも褪せることのない菫色

スクリプトリウムvol.3|金田アツ子《2》|聖なる名前の植物

Text|ヨネヤマヤヤコ  マドンナリリー。月あかりを受けて花弁はいっそう白く輝き、静謐な美しさをたたえています。 クレルヴォーの聖ベルナルドゥスは「マリアは謙譲のスミレ、純潔の百合、慈愛の薔薇」となぞらえました。  葉に白い斑模様があり、それが聖母マリアのミルクがこぼれたように見えることからマリアの名前が付けられたアザミ。幼子イエスに授乳する聖母の高潔な魂が宿っています。  ちいさな花たちの囁きを聞き逃すまいと繊細に描かれたアンジェリカ。守護天使ミカエルの記念日に

スクリプトリウムvol.3|金田アツ子《1》|修道院の薬草

Text|ヨネヤマヤヤコ  こじんまりとしたガラス張りの温室には煌々と月明かりが差し込んでいます。金田アツ子さまの温室のこちらの一角では、主に薬効を持つ植物と聖なる名前を持つ植物が育てられています。馨しき植物療法へと参りましょう。  蜂蜜色と菫色が鮮やかな三色菫。凛と顔をあげたアツ子さまが描かれる清冽な少女たちの佇まいを宿しているよう。  甘く濃厚な香りを辿ってみればハート型の葉の間から花のシャンデリア。菩提樹の花のお茶は悪夢を払い安眠を誘います。  アツ子様が映

レース模様の図書室、再訪|金田アツ子《2》|Rosa damascena

TextKIRI to RIBBON  図書室の終幕が近づいてきました。  名残惜しい気持ちで書架の間に佇んでいると、少女たちがひとりまたひとりと、閲覧室の方に集まってゆくのが見えました。図書室の少女たちに、贈り物が届いたようです。    また会う日までのはなむけとして、植物を愛するこころやさしき温室の主が届けてくれたもの——  薔薇色の薄紙をそっと開封してみましょう。 * * *  レースを編むように、少女たちとの美しい思い出を花びら一枚一枚に編み込んだ金田アツ

レース模様の図書室、再訪|金田アツ子《1》|夕ぐれの色、薔薇の色

 新しい緑の眩しさが落ち着きを見せる晩春の夕暮れ——図書室の菫色もうっすらと翳りを帯びてきました。暖かだった室内にも冷気が少しずつ流れ込み、昼から夜へと移ろうはざまの刻が訪れます。  何度も読み返してきた書物が、ふと哀音を奏でる時間帯。時のはざまで揺れる少女のこころに寄り添うことができますように・・・ * * *  レースブラウスを折り目正しく纏い、髪をきっちりと結い上げたひとりの少女。熱心に紐解いていた書物からふと目を上げ、夕暮れの諧調が差し込む窓辺に近づいていき

金田アツ子|真正ラベンダーとニガヨモギ

TextKIRI to RIBBON  春のモーヴ街の散策を楽しみながら、修道院の廻廊を抜けて、馨しい花々が格別な丁寧さで育てられている「金田アツ子の温室」に着きました。菫、勿忘草——こじんまりとしたガラス張りの温室に、ひっそりと、そして気高く、可憐な春の花々が咲いています。  密やかな佇まいを邪魔しないように、花々の息遣いに心を寄せながら、ゆっくり見て回ります。——ふと、どこからともなく、ハーバルな芳香が漂ってきました。香りを追って歩みを進めると、奥の方に、ちいさな

金田アツ子|エミリーの温室のティタオル

TextKIRI to RIBBON  ここ7番地・スクリプトリウムに新しく扉を開いた「金田アツ子の温室」。昨日は、温室にはじめて咲いた春のお花「菫」と「勿忘草」をお届けしました。  今日お披露目するのは、昨年の発売時またたく間に完売した、金田アツ子 & 霧とリボン & レミーのアトリエによる「エミリーの温室のティタオル」。  Belle des Poupee様との二人展にて発表されたコラボ商品です。  以来、再販希望のお声をたくさん頂き、春の到来と共に、ようやく

金田アツ子|菫と勿忘草

Text|KIRI to RIBBON  アブサン色が健やかに流れる春のモーヴ街——  このほど、7番地に位置するここ「スクリプトリウム」に、清廉な抒情を少女と花に託す画家・金田アツ子さまをお迎えすることとなりました。  「金田アツ子の温室」として、馨しい植物画を中心に、やさしい視線で描かれた作品を発表します。モーヴ街をお散歩される際は、ぜひ温室を訪れて、美しい草花たちをゆっくり眺めて下さいね。 *  アツ子さまは昨年、2番地のオンライン・ギャラリー「MAUVE C

温室の別扉《2》|新訳付作品集『Emily’s Herbarium』

 温室の馨しい風景を植物標本のように綴じた箱入アートブック、新訳付作品集『Emily’s Herbarium』を限定刊行いたします。  ウィリアム・モリスのケルムスコット・プレスに憧れて、1999年プライベート・プレス「Club Noohl」を設立、これまで限定版アートブックや蔵書票を制作発表してきました。今回は2018年以来、久しぶりの刊行となります。    アンティークの植物標本をイメージして、全ページ手切り紙を使用。別刷り作品ページは押し花をするように一枚一枚手貼りし

温室の別扉《1》|エミリーの温室のティタオル

* * * * *  毎回ご好評を頂いている霧とリボン & レミーのアトリエのティタオル・コレクション。この度、画家・金田アツ子さまとのコラボレーションが実現しました。  金田アツ子 & Belle des Poupee二人展《エミリー・ディキンソンの温室》にて発表された植物画とエミリーの詩の一節を配した馨しいコレクションを発表致します。  ティタオルは英国ティウェアの定番アイテム。渡英のたびに老舗紅茶店や博物館・歴史的建造物のショップなどで買い求め、私自身、

金田アツ子&Belle des Poupee二人展|DAY 6

 アメリカの詩人・園芸家、エミリー・ディキンソンにオマージュを捧げ、六日間に渡りお届けした金田アツ子 & Belle des Poupee二人展《エミリー・ディキンソンの温室》は、本日無事閉幕致しました。  オンライン上にひととき花ひらいた馨しい温室へ、訪れて下さいました皆様に心より深く感謝申し上げます。  菫色の小部屋を2015年にオープンして以来、折々の展覧会でご活躍頂いてきた二人の敬愛する霧とリボン常設作家、画家の金田アツ子さまとアクセサリーブランドBelle

金田アツ子&Belle des Poupee二人展|作品集より《520番》

 本展にて同時刊行される新訳付作品集『Emily’s Herbarium』には、翻訳家・維月楓さまによるエミリー・ディキンソンの詩六篇の新訳と、各詩を題材に制作された金田アツ子さまの絵画、Belle des Poupee様の布花アクセサリーが掲載されています。*作品集の詳細は11/1〜2に発表します  本コーナーでは、六日間に渡り、それらを一篇ずつご紹介していきます。エミリー・ディキンソンの詩にはタイトルがありません。通常タイトル扱いとして、詩番号(本展ではフランクリン版)と

金田アツ子&Belle des Poupee二人展|温室の風景|DAY 6

 ディキンソンの織りなした詩はアメリカ詩の中で永遠に生き続け、彼女が語った言葉や強い信念に基づいた独特な生き方もまた何度も復活を繰り返し、わたしたちに生死や孤独について考える新しい種を与えてくれています。 .....維月 楓(新訳付き作品集『Emily’s Herbarium』収録エッセイより抜粋)  初冬の足音が聞こえてくる頃、ひととき扉を開いた美しい温室。  一冊の詩集に眠る花々を、ひとりは絵画に、ひとりはアクセサリーに、そしてひとりは訳詩として摘み、新しい生命を吹き

金田アツ子&Belle des Poupee二人展|DAY 5

 晩秋の美しさが降り注ぎ、内側から輝きを増しゆく温室の風景——  金田アツ子 & Belle des Poupee二人展《エミリー・ディキンソンの温室》DAY 5に訪れて下さいました皆様に深く感謝申し上げます。

   早いもので明日最終日。  美しい花々が咲き乱れる温室の終幕の時間が近づいてきました。 ★温室の別扉のお知らせ★  終幕を前に、秘密の小部屋へと続く温室の別扉が見つかりました♪  ご案内しておりました新訳付作品集『Emily’s Herbarium』と