「手」（【男と女のエチュード】003）

【ワークショップ用台本】 「男と女のエチュード」シリーズ003
登場人物は男と女。 2分尺のワンシチュエーション芝居です。

「手」

○部屋・内
　　　テーブルを挟んで向かい合って座る男と女。
女「もういい。出てく」
男「いや」
女「なに？」
男「いやだから……」
女「なに？」
男「……」
女「ホントもういいからそういうの」
男「待って」
女「……」
男「待って」
女「正直言って、もう信じられない」
男「……」
女「許せない」
男「未遂」
女「は？」
男「未遂なんだ。浮気未遂！」
女「未遂？」
男「そう。未遂」
女「……どこまで？」
男「え？」
女「どこまでした？」
男「……」
女「手？　唇？　それとも……」
男「手と唇の中間です！」
女「は？」
男「だから、未遂」
女「いや。全然アウトでしょ。ってか中間ってなに？」
男「自然と触れることあるじゃん。手とかさ」
女「それ以上には、フツーならない」
男「なることも」
　　　男、女に手を伸ばす。
女「さわんな」
男「……ごめん」
　　　手を引っ込める男。
女「そういうとこ。完璧アウトだから」
　　　女、去る。
　　　男、自分の手を見つめる。
男「アウト、か……」
　　　　　　　　　　　　　　　　（終）

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