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aizulover
【声劇台本】023「ごめんの代わり」
<配役>
まいちゃん(17)高校2年生。
梶くん(17)高校2年生。
ーーー本編ーーー
まいのMO「夏休み。君と約束した花火大会は思ったよりも混んでいて、君と手が触れたりするけど、そのたびに私たちは『ごめん』って謝って、距離を取り直していた」
梶「人多いな」
まい「そ、そうだね」
梶「あっ、ごめん」
まいのMO「別になんていうことはない。いつもと変わらない距離を保てばいいのだ。学校と同じ。そう自分に言い聞かせて私は会場まで歩いた」
梶「どこにする?」
まい「見晴らしのいいところがいいな」
梶「人気スポット」
まい「二人なら、大丈夫じゃない?」
梶「あ、あそこ空いてる!」
まい「やった! いい場所ゲット!」
梶「これで準備万端だな」
まい「うん」
梶「あのさ……」
まい「なに?」
梶「その、ごめん、っていうのやめにしない?」
まい「えっ?」
梶「手がぶつかったくらいで、別に悪いことしているわけじゃないし」
まい「そうだね」
梶「別な言葉にしよう」
まい「例えば?」
梶「こんにちは、とか、ありがとう、とか」
まい「挨拶?」
梶「今なら、こんばんは、とか?」
まい「じゃあ、こんばんは、にしよ。私たちの合言葉」
まいのMO「そのとき、夜空に花火が打ち上がった。君と並んで夜空に輝く花火を見つめる。花火が夜空に弾けて輝いて、消えていく。私は思い切って、君の手に触れる距離にそっと手を伸ばす。私たちの最初の『こんばんは』になあれ!」
今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。