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青春短編声劇台本集

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ポッドキャスト配信中 https://anchor.fm/story-office オリジナルの短編声劇台本(短編ラジオドラマ・ボイスドラマ)作品集です。 想定尺は140秒を基本… もっと読む
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#声劇

【声劇台本】079「真夜中テレパシー」

「真夜中テレパシー」 《人物》 少女 少年 《本編》 少女のMO「ただいま真夜中通信中。ビビビ、ビビビ。真夜中のつぶやきは誰も見ていないから自由に書ける。私のつぶやきタイムラインは静かだ」 少女「自由になりたい」 少女のMO「そうなのだ。私は自由に憧れていた」 少年のMO「知らないどこかの誰かの言葉が流れてきた。『自由になりたい』。それは、狭い世界に閉じ込められている今の僕の気持ちを表しているようで。僕は思わず言葉を返していた」 少年「自由はどこに行けばありますか

【声劇台本】078「宇宙を見上げて星を見つめて」

「宇宙を見上げて星を見つめて」 《人物》 瀬戸愛(17)高校2年生。 来島哲也(17)高校2年生。 《本編》 愛のMO「今日は、来島君に大事な話をする。私の人生がかかってる! 放課後の帰り道、河川敷に来島君を呼び出した」 来島「瀬戸。人生相談って何?」 愛「来島君って彼女いる?」 来島「は? いねーよ」 愛「来島君は、私、信用できる人間だと思って正直に話すね。……好きな人できた」 来島「ん? で……?」 愛「私に、好きな人ができたんだよ?」 来島「よかったじゃん。告白す

【声劇台本】075「メロディー・メモリー」

「メロディー・メモリー」 《人物》 星川俊(17)高校2年生。 天野奏(17)高校2年生。 《本編》 奏「タン、タン、タ、タ、タン!」 俊のMO「高校の帰り道。奏はいつものように歌っていた」 奏「タタ、タタ、タン」 俊「奏。それ何の曲?」 奏「当ててみ」 俊「んー。難し」 奏「俊は聴いたことはある。よく知ってる曲だよ」 俊「確かに、奏、よく歌ってるような……」 奏「早く。当てて」 俊「うーん。なんの曲だろ……」 奏「タン、タン、タ、タ、タン。タタ、タタ、タン」 俊「ダメ

【声劇台本】073「渦巻ユア・ネーム」

「渦巻きユア・ネーム」 《人物》 井上みちる(17)高校2年生。 大森久志(17高校2年生。 《本編》 みちるのMO「ボールペンで好きな人の名前をひたすらノートに書いていく。そしてインクが切れたら想いが届く。そんな都市伝説、私は信じない!」 久志「みちる。またノートに渦巻き。勉強会なんだから、集中しろよ」 みちる「気分転換してたの」 久志「混乱してるんじゃねーの?」 みちる「私流の、思考の整理術、なの」 久志「わかんない問題あったら言えよな。せっかくの勉強会なんだから」

【声劇台本】072「争奪メロンパン」

ときめきをあなたへ!届け! 青春短編声劇! 「争奪メロンパン」 《人物》 丸山南(17)高校2年生。 西野義昭(17)高校2年生。 《本編》 南のMO「5月の憂鬱な昼下がり、私は高校の購買で大好きなメロンパンを買おうとした。これが最後の一個だ」 義昭「南! ちょっと待ったあああああ!」 南のMO「クラスメイトの義昭が私の前に割り込んできた」 義昭「それ、俺のメロンパン!」 南「はあ!?」 義昭「悪いな」 南「いやいやいや。義昭。横入りですから」 義昭「これが俺のメ

【声劇台本】071「涙なんかじゃない!」

「涙なんかじゃない!」 《人物》 日比谷純くん(17)高校2年生。 三田円花さん(17)高校2年生。 《本編》 日比谷のMO「俺は、見てはならないモノを見てしまったようだ……!」 円花のMO「放課後、誰もいない教室で私は超クールタイプの目薬をさした。くうーっ! 勉強疲れにはこれが一番だ!」 日比谷「三田さん? な、泣いてる?」 円花「え。誰?」 日比谷「日比谷だけど」 円花「ひ、日比谷君!?」 日比谷「忘れ物、取りに来て……」 円花のMO「私はあわてて目をハンカチで隠

【声劇台本】070「グチグチ・ジャグリング」

「グチグチ・ジャグリング」 《人物》 志賀晴海(17) 大原夏彦(17) 《本編》 夏彦のMO「ジャグリングの自主練をする。ワザの名前はカスケード。3つのボールをくるくる回す、基本中の基本の手品だ。だけど、俺はまだ一度も成功したことがない、くそう……」 晴海のMO「高校の中庭で夏彦を見つけた、また例の手品を練習しているようだ。これは絶好の一眼レフ・ターゲット! 私は彼をフレームに納めて連写した」 夏彦「っちょ! 晴海、撮るな。寄るな。近づくな!」 晴海「成功したら、か

【声劇台本】069「左側の雨、右側の恋」

「左側の雨、右側の恋」 《人物》 立花保乃(17)高校2年生。 山田昇(17)高校2年生。 《本編》 保乃のMO「真冬の大雨はイヤだ。冷たくて、凍える。昇降口で私は雨空を見上げた。今日って雪の予報だったのに! なんで!?」 山田「(寒そうに)立花……」 保乃のMO「その声に驚いて私は隣を見た。山田君が屈んで震えていた」 保乃「や、山田君。なにしてるの?」 山田「傘忘れたんだよ、さみぃー!」 保乃「今日雪って予報だったじゃん」 山田「雪ならさ、別にぬれないからいいかな

【声劇台本】066「声にしていく」

声劇、久しぶりの更新となりました。 140秒で収まる、青春胸キュンドラマをお届けします。 今日の台本は、先日開催された《戯曲本舗のワークショップ》で書いた短編戯曲を声劇版に直したものになります。 戯曲版と比較してみても面白いかもしれません。 *(最後にリンクを付けます) ーーー 声劇 「声にしていく」《登場人物》 男子:高校生 女子:高校生 《本編》 男子のMO「冬の新宿。騒がしい喧噪の中。僕たちはスマホで声を届け合う」 女子のMO「お互いの居場所を探すゲーム

【声劇台本】065「水たまりフィロソフィー」

「水たまりフィロソフィー」 ■人物 森下計くん(16)高校1年生。 安達未来ちゃん(16)高校1年生。 ■本編 森下のMO「雨上がりの下校時刻。校庭で水たまりをじっと見つめる君がいた。また不思議なことを考えているのだろうか……」 森下「安達、今日は何してるんだ?」 未来「森下君。お疲れー」 森下「お疲れー」 未来「水たまり見てたんだよ」 森下「へえ。水たまり? 何か発見あった?」 未来「うん。水たまりって不思議なの!」 森下「え? なにが?」 未来「だって……水が平面的

【声劇台本】064「フライング・クッキー」

「フライング・クッキー」 ■人物 鈴ちゃん(16)高校1年生。 衛藤くん(16)高校1年生。 ■本編 鈴のMO「秘かな恋心に火を灯す2月。クッキーを焼いた。手作りだ。本命の彼に渡す前に、私は幼馴染みの衛藤を呼び出した」 衛藤「鈴。俺に頼みって何?」 鈴「あのさ、衛藤。毒味係やってくれない?」 衛藤「毒味係って?」 鈴「クッキーの味見!」 衛藤「何? 作ったの?」 鈴「まあ……。2月だし」 衛藤「不器用なお前がお菓子作りねえ」 鈴「だから。味見して」 衛藤「無理!」 鈴「

【声劇台本】063「世界の片隅ワンダーランド」

「世界の片隅ワンダーランド」 ■人物 井上くん(17)高校2年生。 尚子さん(17)高校2年生。 ■本編 尚子のMO「地学準備室が私たちの集合場所。扇風機が回る暑い夏の午後。今日も君は地球儀を回して。その回転を止めるのが私の役目だ!」 尚子「次! アメリカ!」 井上「え? アメリカ? 広すぎるよ。もっと正確に言うと?」 尚子「ええと、指差した場所は、アメリカの……カルフォルニアかな?」 井上「カルフォルニアかあ……カ行……カ行」 尚子のMO「君は百科事典を開いて。カル

【声劇台本】062「ポストイット関係論」

「ポストイット関係論」 ■人物 亜希子ちゃん(17)高校2年生。 野木くん(17)高校2年生。 ■本編 亜希子のMO「あなたと私の関係に名前はまだない。教室の隅っこで机を並べて、私たちのキーワードをポストイットに書き出して分類整理してみた」 野木「手軽」 亜希子「気軽」 野木「身近」 亜希子「距離感」 野木「最適」 亜希子「居心地」 野木「親近感!」 亜希子「意地悪」 野木「ゆったり」 亜希子「のんびり」 野木「すっきり」 亜希子あ「さっぱり」 野木「ピッタリ?」 亜希

【声劇台本】061「ラブレター」

ラブレター書いた事ってありますか? 私は……秘密です。(笑) 「ラブレター」 ■ 宮藤君(16)高校1年生。 北川さん(16)高校1年生。 ■本編 宮藤君のMO「高校1年生だった僕たちに隠し事があったとすれば、それはお互いに本当の気持ちを言わないことだったと思う。それはお互いの関係維持のための必要絶対条件のようなもので、暗黙の了解だった」 北川さんのMO「宮藤君へ。一学期の最後、転校してしまう私に手紙の交換をしようって言ってくれたこと。とても嬉しかったです。私なんかで