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【声劇台本】078「宇宙を見上げて星を見つめて」

「宇宙を見上げて星を見つめて」

《人物》
瀬戸愛(17)高校2年生。
来島哲也(17)高校2年生。

《本編》
愛のMO「今日は、来島君に大事な話をする。私の人生がかかってる! 放課後の帰り道、河川敷に来島君を呼び出した」

来島「瀬戸。人生相談って何?」
愛「来島君って彼女いる?」
来島「は? いねーよ」
愛「来島君は、私、信用できる人間だと思って正直に話すね。……好きな人できた」
来島「ん? で……?」
愛「私に、好きな人ができたんだよ?」
来島「よかったじゃん。告白すれば?」
愛「それが、できないから、相談しようと思って……」
来島「え。できない相手って、誰? 彼氏いるとか? そういうの?」
愛「先生……」
来島「は?」
愛「物理の山本先生なの」
来島「山本って……堅物眼鏡の山本!? マジで? 瀬戸のタイプわかんねえ……」
愛「授業でね、宇宙旅行の話してくれたの。私、未来を想像するの、好きだから」
来島「ますますわかんねえ……」
愛「とにかくどうしたらいいと思う? 山本先生、まだ結婚してないっていうし」
来島「本気、なのか……?」
愛「本気じゃなかったら、来島君に相談しない。物理部の部長でしょ、山本先生とも仲いいんでしょ?」
来島「山本はどっちかっていうとオタクっていうか。子供みたいな大人っていうか」
愛「私、告白したら、うまくいかないかな?」
来島「そもそも、先生と生徒の恋愛って犯罪だろ」
愛「来島君も協力してよ」
来島「は? 俺に共犯にでもなれっていうのか?」
愛「これ、物理部の入部届になります」
来島「瀬戸、本気かよ……」
愛「来島君。お願いします」
来島「……お前の気持ちは尊重するけど。これは受け取れない……」
愛「なんで?」
来島「俺じゃダメか?」
愛「え……?」
来島「宇宙旅行の話をする相手」
愛「なにその告白みたいなの……」
来島「もう一度考え直してみろってこと。だ」

愛のMO「来島君は、そういって、空を見上げた。私も空を見上げた。藍色に変わった夕焼け空には星たちが輝き始めていた」

              (おわり)

今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。