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HOPE! .WE Leagueの成功の先にある世界

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いつもnoteをご覧いただきありがとうございます。S.C.P. Japanの野口です。週1コラムを何とか継続しています。

ついに、2020年6月3日、日本の女子プロサッカーリーグが2021年秋に開催することが発表されました。
元なでしこリーガーと元海外プロサッカー選手で構成されているS.C.P. Japanとしては、この話題に触れないわけにはいかない!と思い、今回はこちらの話題に触れてみたいと思います。

発表されたWEリーグは非常にユニークな規定が設けられています。それはクラブスタッフの50%を女性にすること。クラブ役員に最低1名は女性を入れることです。WEリーグ発表記者会見では、女子サッカーの強化だけではなく、ジェンダー平等社会の達成を女子サッカーから目指すものであると強調されていました。JFAの女子委員長から、WEリーグの3つのビジョンである①世界一の女子サッカー、②世界一アクティブな女性コミュニティー、③世界一のリーグ価値を。が発表されました。

この日本の女子サッカープロ化の動きは、様々な外的要因が働いて実現に向かっていることだと推察されます。

まず、女子サッカーの強化の観点からみると、ヨーロッパで女子サッカーが盛り上がり、競技レベルが上がる中で「なでしこジャパン」の国際競争力の低下や、優秀な日本人選手が海外チームに移籍することによる、国内トップリーグの競技力の低下が懸念されているでしょう。

日本サッカー協会という大きな組織のポリティックスの視点で見ると、2023年の女子サッカーW杯招致に立候補しているJFAとしては、日本の女子サッカーがプロ化されたというトピックは招致レースを力強く後押ししてくれるはずです。

国内の政策的な視点で見てみると、女性活躍の推進が政府全体として強化されています。第2期スポーツ基本計画でもスポーツを通じた女性の活躍促進やスポーツ産業の拡大が掲げられている中で、女性スポーツでプロリーグを実現させるということは、政策的意向に沿った先駆的な取り組みになります。

更に、スポンサーであるアディダスジャパンは、2020年に女性をターゲットとしてマーケットの拡大を図っています。NIKEも2019年から女性をターゲットとしたマーケティングに力を入れています。スポーツメーカーによる女性マーケットの攻略が激化している中で、長年JFAのスポンサーとなっているアディダスジャパンのマーケティング戦略が、JFAの女子サッカー戦略の方向性と合致していたことが推測されます。

このように、様々な外的要因が重なり、今回の日本の女子サッカープロ化が実現に向けて動き出しているのだと感じています。

その中で、「女性スタッフ50%」や「女性役員最低1名」という、数字として定められた基準について、おそらく意見を持つ方も多いと思います。正直私自身も若干のちぐはぐ感を感じています。それは、この定められた数字に対してではなく、女子サッカーのプロ化における外的要因に政治的にも商業的にも様々な思惑が見え隠れするにも関わらず、現状の日本のサッカー界ではハードルが高いと思われる目標値を定めることで、ジェンダー平等を目指そうとしているちぐはぐさです。

しかし、多様な思惑が交錯しながら進んでいることが推測されるプロ化計画において、なおさら、そのちぐはぐ感から、このチャンスを逃すまいと長年女子サッカーの発展に尽力してきた方々や女子サッカーの発展を本気で願う方々の想いを感じずにはいられません。

ジェンダー平等社会とは数字で語れるものではありません。女性スポーツに投資した金額や、スタッフや役員の数値目標を達成したからと言って、ジェンダー規範が変わるとも言い切れません。

先日、九州の女性活躍を推進する団体の関係者と打ち合わせをしました。地方ではまだまだ性別役割分業が明確で家庭内での女性の役割を女性自身が果たそうとする傾向が強く、地域や家庭内の性別による役割期待は根強いと伺いました。

日本のジェンダー課題は根深いです。スポーツを通じてジェンダー平等社会に貢献することは(私自身も目指しているものではありますが)そんなに簡単なことではありません。スポーツそのものがジェンダー不平等な構造を持っているのに、そのスポーツを活用してジェンダー平等を実現しよう!ということ自体がそもそも矛盾しているんです。

だからこそ、この女子サッカーのプロ化が本当の意味でのジェンダー平等社会実現の一助になるように、女子サッカーを一時的な消費コンテンツとして利用するのではなく、時間は多少かかるかもしれないけど、女子サッカーが日本の文化として、世界一アクティブな女性コミュニティーとして根付いていくことを切に願います。その為には、女性はもちろん、本物の男性アライと手を組みジェンダー不平等な社会とスポーツ文化を変えていかなければいけないのだと思います。

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