臨床心理士の私が子どもに勉強を教える理由
スクールカウンセラーの私のもとにやってくる子たちは、たぶん全員、自分に自信がない。
ちょっぴり怖がりで、
人との付き合いに苦手意識を持っていて、
すぐに自分と他の人を比べてしまいがちで、
本当は泣きたいのに強がって、
いつもいつも全力を出し過ぎて、
決して器用とは言えない子どもたち。
色んなところにエネルギーを注ぎ過ぎて、それで他人より疲れてしまっている。そして、そんな自分に、ますます自信を無くしてしまう…
彼らの相談を聞きながら、いつもいつも『もっと自信を持って良いのに…!』と心から思います。あなたの良いところ、今から100個言うから、正座してちゃんと聞いてなさい!って思います。
でも、実際、彼らは色んな失敗を日々繰り返している。
苦手なことが多いし、そこから上手く逃げるすべを知らない。
そんな彼らに対して、私はよく、カウンセリングが終わってから少しだけ勉強を教えています。
基本的に、思春期真っただ中の子どもたちはみんな「勉強」に対する不安は多かれ少なかれ持っている。だから私が「勉強、一緒にする?」と提案するとたいてい目をキラキラさせる。可愛いかよ。
「先生じゃないから、一緒に悩むことしかできないよ」と言って、一緒に辞書を調べたり、一緒に悩んだり、時には一緒に先生に質問に行ったりもします。
そうするとみんな、生き生きとした表情をする。ちょっと得意げな顔もする。さっきまであんなに自信なさげに私の前に座っていたのに…!(笑)
そんな変化を見て、私は「勉強」の本当のチカラを感じたような気がしたんです。子どもにとって、「勉強」って、こんなチカラを持ってる。
勉強で分からないことを粘り強く理解しようとするように、人生での悩みごとも根気強く解決しようともがく。
勉強することと、人生を歩むことは、どこか似ている。
そんなことをほんのちょっとでも体感してほしいなと思いながら、今日も私は、臨床心理士としてカウンセリングを行いながら、勉強も教える。
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