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スナップという名の無許可撮影

富士フィルムの公式youtubeに対して世間の目は冷ややかです。

それは当然の結果だと思うのです。

無断で撮った人物写真をアートだ!

なんて言っているカメラマンたちのエゴは

一般人にとっては恐怖でしかないのです。

今までは反対の声をあげる事が出来なかった一般の人たちが、SNSを中心に悪しき写真界隈の伝統にNoを突きつけています。こんな動画をオフィシャルにアップする富士フィルムのセンスは本当に意味不明なのです。

大炎上した後、フジはオフィシャル動画だけではなく、ネットに漂うコピー映像や拡散しているユーザーアカウントをもぐら叩きのようにして削除して、起きた事実を隠蔽している訳ですが、なんだか卑怯だなぁ、って感じています。

そして世間の注目が他の話題に変わった頃合いを見計らって、著作権を名目に、静かに静かに胡散臭い過去を消し去っている。

巧みに無かった事にしているのです。

後発のカメラメーカーである富士フィルムは、契約プロカメラマンの数が多くは無いので、自社生産のカメラ発売時からプロカメラマンの囲い込みに躍起でした。

ほとんど実績の無いアマチュアカメラマンにまでプロ契約の勧誘をしているほど実は困窮していたのです。今回富士フィルムに選ばれたカメラマンだけでは無いのですがストリートスナップ系のカメラマンが多いのが富士フィルムだったりします。

望遠系レンズの開発が遅かった関係もあり、標準域のレンズを会社のメインとしていた中で、スナップ系カメラマンを多く囲い込み、その作品を自社の宣伝としてフューチャーしていた訳なのですが、写真という結果だけを評価し、その撮影行程を知らんぷりを決め込んでいたのですから、今回の炎上は起こるべくして起きた結果だったりします。

ちなみに今回みたいな撮影をしているのは、あのカメラマンだけではありません。

SNS全盛の時代に「写真好き」をターゲットに動画広告を作成した訳ですが「写真界隈以外の一般の人たち」の感情を無視した今回の広告に関しては恐ろしい速度で世間の拒否反応が連鎖しました

世間の怒りと批難が集中し富士フィルムは大慌てで、その日のうちに動画をオフィシャルサイトから削除した訳ですが、全く誠意の無い定型謝罪文を掲載し、臭いものにフタをして逃げてしまっただけでした。

カメラマンの釈明や弁明の機会も与えず、会社として何故、あの動画を公開する事になったのかの経緯説明もありません。写真文化をフィルム時代から背負って来たメーカーとしてのプライドや責任感は微塵も感じない形で幕引きをしたのが見ていて怖くなりました。

無許可スナップ撮影に対して会社として

肯定なのか否定なのか?

その答えすら出さずに逃げるのは卑怯としか言えません

アートとして彼らの写真を推奨したのなら最後まで守るべきだと思います。無許可のスナップ撮影を否定するなら最初から彼らを選ぶべきでは無かったのです。

富士フィルムの体質から察するに、ダンマリを決め込んで時が過ぎるのを待ち、何事も無かったように振る舞うのだと思います。

カメラブームは既に終焉しているのにカメラメーカーとカメラマン達は、一体いつまで昭和体質のままなのでしょうか?

ちなみに2019年の年末はリコー社員がGRで無許可スナップ撮影で炎上、本当に懲りない人たちが多いのが写真界隈です。

法律とか持ち出す人もいるけど、道徳の問題だと思います。性善説に基づいて日本の法律は整備されているのに一般道徳を飛び越えた理論を振りかざす人に現状の法律適用は難しいのが現実なのです。

事実今回の富士フィルムの動画でカメラマンは警察官に職務質問されているシーンがあります。でも警察官にはカメラマンを止める事ができなかったのです。しかし世間は、あの撮影スタイルにNoを示したのです。それが答えなのです。

法律で取り締まれないからOKではありません、世間は無許可スナップにNoなのです。

国内のスナップカメラマンは、写真界隈の人だけではなく、もっと一般の人の意見に耳を傾けるべき時が来ているのに、それを選択しないのは何故なのか?僕には理解できません。

国によってスナップ写真への考え方は違うのかもしれません。

「海外では見知らぬ人をスナップするのはOKだから日本でNGなのが変だ。」

なんて言ってるカメラマンもいるようですが、その論法を唱えるなら、そのカメラマンは海外で無許可スナップ撮影をするべきなのです。でも、あの撮影方法だと海外でもトラブルになるでしょうね。

実際、国内で問題を起こしたり、注意されたカメラマンたちが海外でスナップ撮影を続けています。

ここで問題なのは、海外ではOKな無許可スナップをした写真を

日本国内の写真ファンたちに向け、

彼ら無許可スナップ推奨派はSNSなどを中心に

「負けるなFUJIFILM スナップ写真って楽しいよね」

などと海外で撮ったスナップ写真を得意げに発信し続けている点でしょう。これらの写真を見た日本国内のアマチュア写真愛好家たちが、

日本国内でもスナップはOKだよね。

許可なんていらないよ。

という風に間違って解釈している流れが続いている点が、今後も無許可スナップ問題の長期化を予感させます。

既に日本国内の一般の人たちが抱く無許可スナップへの嫌悪感は相当な熱量を持っているのに、カメラ界隈の人たちの温度差には驚かされるばかりです。

撮る人、撮られる人、そして写真を見る人がいるのです。

一部の法律家が法律や過去の判例とか振り回しても、世間の人たちに理解されないのなら、そんな芸術や作風が続く事は無いでしょう。

無許可撮影はアンダーグランドなフェティッシュな世界に近いのかもしれません。

街を歩く見ず知らずの女性や子供の写真を無断で撮影してネットにアップしたり、写真集を出して販売する事を違法では無い。

とするtweetやブログ、

そして最強の対応策はアヘ顔でダブルピースをする

なんて記事が紹介されるなど混迷の様相を極めるカメラマン界隈

読んでいて悲しい気持ちで一杯になります

見知らぬ人にいきなり撮影された人の恐怖を考えると、僕には考えられないアクションだったりします。

京都では舞妓さんを無断で撮る事が禁止されています。同じように勝手に撮影される事にNoと言う人に対して、無断で撮影を続ける行為が正しいとは言えないと思うのです。

日本の写真文化は、どこへ向かっていくのでしょうか?

多くのアマチュアカメラマンが肖像権などについて独自解釈を発表していますが、そんな記事よりも法律家、中でも芸術に携わる法律家の意見を聞くべきだと僕は考えています。

二科会広報誌web版で弁護士 味岡良行さんが執筆した「写真撮影における肖像権を考える」という記事が素晴らしいのでオススメしたいです。法律家にも色々いますが専門ジャンルがあります。専門分野以外の法律家の話が随分と炎上騒動に乗じて発信されていますが、信憑性、信頼のある法律家の話を参考にすべきだと思います。

写真を撮る人は自分たちの主観、主張だけではなく、一般の人の感性に基準をおいて撮影したり作品を発表すべきなのだと思います。

芸術は何者にも縛られない!

なんて事を言っている人もいますが、

カメラを持った瞬間、その人は

法律や世論を飛び越えた特別な存在になれる。

とでも思っているのなら嘆かわしいです

note内でもスナップに関しての記事がいくつか執筆されていましたのでご紹介します。

社会は評価経済なのでフォロワーの数が非常に重要撮影方法ネタがバレないようにする事が重要っていう意見もあるようです。

フォロワーの数が正義になるとは僕は思えないというのが正直な感想です。撮影方法がバレないように撮影するってのも違う気がするのです。無名のうちは大丈夫かも知れませんが多くの人の目に触れる時が来たら、そんな身勝手な理屈は崩壊するような気がするのです。

内容的にかなり過激に無許可スナップを肯定した記事で驚かされました。法律に関しては法整備が整っていなければ、取り締まれない事件って実際多いですし、弁護士の意見っていうのも様々なので、声高に違法じゃないから撮っても良いんだ!と主張しても一般の方々からの了承は得られないと思うのです。

不特定多数の人に見てもらうのが撮影者の目的であり、見知らぬ人を無許可で写真を撮るという行動の結果は、写真を見た不特定多数の人たちが不快感を感じた瞬間に、非難の対象になるのだと思います。

数少ない閲覧数であればスルーされていた無許可スナップも、多くの人が見る事になると不快感を感じる人が増えて行くと思います。

無許可スナップは「撮る人と撮られた人の当人同士の問題だ」としている論点も的外れかなと思います見る人あっての写真です。公開している時点で公の視点が必要になってくると思います。写真を見る人が不快になったり、撮っている人に問題を感じる写真って、ど〜なんでしょ?。撮る人と撮られる人と写真を見る人、みんなが幸せになれる写真であって欲しいと僕は思うのです。

ストリートスナップに関しての記事ですが、fujifilmへの思い入れが強いためか色々と葛藤してらっしゃるカメラマンさんの心情が印象深いです。fujifilmの問題の動画に関しては「一度見て見ると面白いと思います。」という残念な表現で紹介されています。写真表現、撮影方法を変えて行く事でストリートスナップは一般の方々に理解され、生き続ける事が出来ると思うのですが、なぜか多くのカメラマンさんが「撮影が怖くなった」という事を仰っているのが不思議です。撮る人、撮られる人、見る人、この3者の気持ちや関係を忘れると駄目なんじゃ無いかな?なんて僕は思ってます。撮影者側のエゴが色濃くなると、身勝手な話になってしまう傾向が強くなるようで、もはやストリートスナップという枠を超えて、それって無許可ポートレートというジャンルかな?なんて感じました。

そしてご本人さん、noteで記事を書いています。

炎上したフジFILMのCMに関して、ご本人から経緯を説明する記事が、いつの日か掲載される日を期待しています。会社の規模からしても、CMムービーの撮影内容など、事前に会議や打ち合わせがあったと思うのですが、そこでもNGは出ず、出来上がった動画に対してもフジFILMはNGは出さなかったので世界公開された筈です、が、フジFILMも世間も、個人に責任を負わせて満足してしまった今回の件、僕は今後に注目しています。

2019年に作成した記事です。お時間あればお読みいただければ幸いです。

こちらは僕が大好きなストリートフォトグラファー ルイス・メンデスさんの記事です。彼みたいなフォトグラファーが日本にいて欲しい。


「売れないカメラマンにコーヒーを一杯飲ませてやるよ」っていう心優しい方、サポートおまちしております。コーヒーは我慢して交通費や制作費に充てさせていただきます。