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asanopoet
生きてりゃいいさ
ずっと昔『浮浪雲』という漫画の中で、人生に意味を見いだせない籠引きのエピソードがあった。毎日毎日籠をかついで走り、一生懸命働いても、ただ虚しい。心にポッカリと穴が開いたようで辛いと青年は感じている。
対する『浮浪雲』の主人公は型破りな雲介の頭領で、何にも縛られずはぐれた雲のように生きている。ふだんはふわふわしていて、それでも何か事があった時にはその哲学的な見方考え方で、事を解決してしまうという設定だ。いつも『浮浪雲』のダンナ、とか雲さん、と呼ばれている。
『浮浪雲』には様々な叡智がエピソードの中に盛り込まれている。作者のジョージ秋山氏は恐らく仏教に傾倒していたらしく、その智慧も仏教の教えによるものが多い。
さてその人生に迷った籠引きの青年に、『浮浪雲』の雲さんは、地面に長い筒のような絵を描いて、こう言う。「人間なんてさ、こんな筒みたいなもんです。食べて出すだけです。それ以上でもそれ以下でもないんですよ」。
むずかしく考えないで、ただ生きていけばいいということを、言っているのだろうけれど、子供の時に読んだ漫画のこのエピソードが、なんだかずっと心に残っている。
社会的にピカピカ光るものを手に入れないとしても、涼しい顔とこころで生きていく。基準の針をちょっと変えてみるだけで、生きていくのもなかなかいい。
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