大事な決断は、林のように──。

決断するときに最も大切なことは、心の声を聞くことだ。そう言われても、若い頃はその本当の意味を心底体感できていなかった。心の声はどうしたら聞こえてくるのか？

こんな逸話がある。
その世界で誰もが知っているような名人のところに、ひとりの武芸家が挑戦してきた。その武芸家は凄まじい特技を持っていて、それさえ決まれば、名人にも勝てると思われたのだが、簡単に負けてしまった。 「恐れ入りました」と、武芸家が頭を下げると、名人はこう言ったそうだ。 たとえて言うならば、あなたは一本の大木だ。たしかに噂どおりすごい。だが、嵐が来れば大木は倒れる。しかし私は林だ。どんな嵐が来ても、林全体が倒れることはない。 　

何かを決断しなければならない時、自分の体を一本の大木のように固くしてしまうのか、あるいは心を何でもないただの林のように保つのか。そしてその林の合間を吹き抜ける風の流れを肌で感じるためには、どのように力を抜いて、どのような呼吸で、そしてどのような姿勢で立っていればいいのか。

大事な決断は、林のように──。 　この言葉を胸に秘めておきたい。​

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金の砂漠

生きやすい空気： 死にいく私へ：心を強くするストア派の考え方