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嫉妬のからくり

マット・デイモンはその爽やかな誠実さが魅力で、俳優ズレしていないところが人気の源のようだ。好印象ランキングの上位俳優に選ばれるのもうなづける。そのマット・デイモンの結婚の裏話というのが興味深い。

映画俳優として人気が出た頃、撮影ロケのあったフロリダ州マイアミで(わたしの住んでる街だ)彼は仲間と一緒にバーへ打上げに行った。そこで知り合ったバーテンダーの女性と意気投合して付き合うことになり、その後結婚して娘たちをもうけ、幸せにくらしている、らしい。

らしい、というのは、それを話してくれたのがマイアミにいるアルゼンチン系の友人だったからだ。そしてそのバーテンダーの女性も、同じくアルゼンチン系。マット・デイモンと初めて出会って意気投合した夜、彼にもう一軒他の店で飲みなおそうよ、と誘ったマット・デイモンを断ったという。

その理由は彼女が4歳の娘をもつシングルマザーで、どこへも寄らずに子供のいる家に帰りたいと言ったからだ。おお、まるで舞踏会の夜のシンデレラのようだ。引き止める王子の手を振り払って、カボチャの馬車に乗るシンデレラそのものだ。

その予想外な言葉にマット・デイモンは感動した。なんて素敵な母親なんだろう!そう思ってますます恋心を募らせたという。

二人は結婚して今や三人の娘の親となり、マット・デイモンは俳優としてますます成功して、その地位をゆるぎないものにしている。

それを語ってくれた友人の言葉の端々に嫉妬の感情が見え隠れして、興味深いなあと思った。だってハリウッドの大スターが誰と結婚しようと、ふつうなら関係ないと思うはずだ。それなのに、結婚した相手が一般人で、自分と同じアルゼンチン移民であるとわかると、途端に嫉妬心がわき起こる。

つまり自分とは関係のない遠い出来事であれば嫉妬心は起こるはずもないのに、その対象が自分と近い立場であれば、それが嫉妬心になる。

嫉妬のカラクリを垣間見たような気がした。




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