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Disneyの魔法の裏側で。vol.1

魔法の始まり。

Family Entertainment から、TDLのポスター
そして、Disny Storeの商品開発へ

 Disneyのクリエイティブに関わり出したのは、1995〜6年頃だったろうか。当時、カンプライティングの仕事をしていた大手の広告制作プロダクションの仕事の中で、「現場描き」と呼ばれるサムネールカンプの素材をその場でデザイナーと考えて、どんどん描いて提供するという仕事をやってみてくれないかと、ご依頼をいただき、オリエンタルランドの会報誌「Family Entertainment」(当時)のカンプを描かせてもらうようになったのが、僕にとっての最初のDisneyとの仕事だった。それを続けるうちに、徐々に、中面の見開きページのイラストや、各種イラストパーツなどを描かせてもらうようになっていく。(当時のFEは今も綺麗に保存してある)
 ある日、その広告制作プロダクションで、代理店のディレクターの方々の相談で描いた落書きが、大きなキャンペーンポスターのコンペで勝ち抜くアイデアの元となり、(Club Disneyというイベントのキャンペーン用のミッキーのスピーカーの落書き)東京ディズニーランドのポスター制作と公式カレンダーの仕事には、その後10年以上、深く関わることとなる。時には、ポスターの中のモデルとして、後ろでジャンプしてる何十人のうちの一人とかに、グラフィック素材としてなったのも、今となっては素敵な思い出だ。アニバーサリー広告は、特にたくさん関わらせていただいた。TDLの20周年のティンカーベルを描かせていただいたり、エレクトリカルパレードのグラフィック制作をさせていただいたり、毎日が夢の裏側で、街を歩けば、僕が制作に関わっている広告が町中に溢れている状況だった。少し誇らしくもあったが、Disneyの制作に自分が貢献できた、という感覚はなく、まだまだ、チームに加えてもらっていたに過ぎないとは感じている毎日でもあった。

 ちょうどその頃あたりから、並行して、Disneyのライセンスで、様々な商品を制作しているメーカからもお声をかけていただき、商品開発にも加わることになる。僕の当時の自己紹介は、誕生日がミッキーマウスと同じ日であったことから、「ミッキー描くためにこの時代に戻ってきました」という、今考えると、よくも臆面もなく言えたなと思うような冗談めかした話だったのだが、いつしか、本当に縁で描く運命かもしれないと思うようになる。それはまた別の機会に話そう。当時、玩具メーカーのトミー(現タカラトミー)のポストカード専門の子会社があったのだが、そこからの依頼で作った、Disney Storeで販売されるポストカードが、評判になり、その会社で、いろいろな、キャラクターのスタイルシートを学ぶとともに、そこからの商品開発を覚えていく。広告とは違い、自分のアイデアを前面に出して形にして、それが有名店舗に並ぶ、というのは、嬉しいものだ。最初にお世話になった、ポストカードの会社は、なくなってしまったのだが、その後、その時のご縁が元で、Disney Storeから、直接のご依頼をいただいて、商品開発を何年か続けた。試行錯誤が続く中での商品デザインの制作は、毎日がトライの連続で満足のいく作品が作れたのか?と問われたら、当時できることはしたつもりではあったが、実力が追いついていない中、日々、何かを探しまくって制作していたような暗中模索感もあった。また、覚えることは絵にとどまらない中、時間の使い方も非常に苦労し続けていたように思う。にも関わらず、Disney Storeの10周年記念のグラフィックは全てプロデュースさせていただいて、その時、商品になったものは今もお気に入りで自宅で使っている。ようやく、キャリアが積み重なってくる頃、あちこちから、Disneyの商品開発の話が入るようになる。当時、日本ではまだデジタルの学習教材に進出し始めの頃のDisneyで、キャラクターアニメーションを使ったゲームでの英語教材の制作の話がやってきて、Disneyは映画がルーツで本当に動くキャラクターが本質であることを体験することとなる。毎日、何十枚というキャラクターを描き、動かし、の繰り返しで、ゲーム教材を作ったのだが、これも何年か取り組んで、スタイルシートの出来のすごさを体で覚えこんだ体験になった。(続く)

さて、前段が長くなったけれど、本日の資料本は、これ。
【アニメーション/ディズニー】[010]
Disneyナインオールドメンの二人の共著。日本語監修がスタジオジブリ。
アニメーション表現の日米の巨人が実現した豪華本。アニメーター必携の一冊。イラストレーターも必読かも。
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ディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法 ― The Illusion of Life ― (日本語) 大型本 – 2002/4/23
Amazon販売リンク
以下、Amazonの解説より。
 本書は1981年にアメリカで初版が発行されて以来、版を重ね、20年来読み継がれてきた「アニメーションのバイブル」と呼ばれているアニメーションの「技法」と「精神」を語る大著の、待望の日本版です。
 著者のフランクとオーリーは、ディズニー映画の全盛期を築いた「ナイン・オールド・マン(9人の侍)」と呼ばれる優れたアニメーターたちである。彼らは『ピノキオ』『白雪姫』『ピーター・パン』など数多くのディズニー映画に携わり、ディズニー・スタジオならではのいきいきとした表現と技法を開発、追求した。
 本書では、それらの技術が豊富な図版や写真とともに丁寧に解説されている。その技術が何回も試行錯誤を重ねて生み出された過程や、実際に映画の中ではどう表現されたのかも書かれていて興味深い。さらに、彼らのボスでもあり、仲間でもあった、ウォルト・ディズニー自身の映画制作にかける情熱や、その熱意のもとスタッフたちが映画作りに真剣にとりくんだ様子もユーモラスに、かついきいきと描き出している。
 アニメーション映画を「漫画」から「芸術」にまで高めたウォルト・ディズニー。彼は、作り手の意図を観客に伝えることを何よりも重視し、そのためにキャラクターに「生命を吹き込む魔法」(illusion of life)をかけることに全力を注いだ。それは、キャラクターが自らの意志で動いているかのような絵を完成させることに他な らならなかった。ウォルトは、著者たちとともに、そのことに日々努力した。ウォルトの映画作りにかける姿勢こそが、フランクとオーリーをはじめとする、スタッフたちの原動力だったのだ。
 アニメーション制作に携わる人々、そしてアニメーションの世界を目指そうとしている若者たちにとって、単なるアニメーション技術書ではなく、映画作りのダイナミズムが凝縮された読み物としても格好の書となるだろう。
 日本での刊行にあたり、日本語版監修を三人の方にお願いした。著者の二人とも親交の深いアニメーション監督の高畑勲氏(『火垂るの墓』『平成狸合戦ぽんぽこ』などの映画監督)とアニメーター大塚康生氏(『ルパン三世』『未来少年コナン』などの作画監督)、そしてドキュメントビデオ『Frank&Ollie』のプロデューサーで、フランク氏の義理の娘でもある邦子・大久保・トーマス氏である。また、図版はもっとも美しいと定評のある初版時の図版を使用して再現した。
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