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【五感の科学】Vol.01 コーヒーの香りは人を親切にする

「少し気分が変わることがあったとしても、行動にまで結びつくのだろうか?」-そう思われた方も多いかもしれない。


しかし実際に、「よい香りが人を親切にする」ということが、過去の実験にて示唆されたことが知られている。アメリカのとあるショッピングモールでおこなわれた行動実験では、菓子屋やパン屋の前などのよい香りがする場所では、通行人が親切になることが確認されているのだ。


では、コーヒーの香りの場合はどうだろうか?食後や昼下がり、スイッチを入れて集中したいときなど、色々な場面で飲むコーヒーが単なる眠気覚ましに限られなければ、よりコーヒーを楽しむ機会が増えることだろう。


この点について東北大学とネスレ日本が共同でおこなった興味深い実験があるのでご紹介したい。実験の結果、コーヒーの香りによって、人が親切になることが確認されたという。


では、さっそくその実験の詳しい内容をみていくことにしよう。


実験は、2017年10月10日(火)に、実験の内容を知らされていない男女100名を、実験会場に集めておこなわれた。実験に参加したのは、1都3県在住の10代から40代の男女、100名だ。


用意されたシチュエーションは2つ。「木に引っかかった物が取れない状況」と「落としたものが転がってしまう状況」だ。


そして、コーヒーの香りがある状態で50名、コーヒーの香りがない状態で50名に、それぞれこのような2つのシチュエーションで困っている人の横を、順次、通ってもらった。


すると、次のような興味深い結果が得られた。


コーヒーの香りがない状態で困っている人を助けた人の割合は14%で、コーヒーの香りがある状態で困っている人を助けた人の割合は46%であった。実に、コーヒーの香りがある状態で困っている人を助けた人の割合は、コーヒーの香りがない状態で困っている人を助けた人の割合の3倍以上にもなった。



また、コーヒーの香りがある状態では、助けた側と助けられた側で感謝の気持ちを伝え合うなどのコミュニケーションも生まれたという。


東北大学 坂井教授は、このような結果について、「コーヒーの香りが、嗅いでいる人をよい気分にさせ、その結果、他人に対して親切な行動を取らせるように働いたのではないか」と分析している。


皆様も、雑談などのちょっとしたコミュニケーションから、抱えている仕事上の課題の解決につながるようなヒントや閃きを得た経験があるのではないだろうか?


コーヒーの香りを楽しみながら、小さな親切によって、このようなコミュニケーションの輪を広げれば、そこから、今、抱えている仕事上の課題の解決につながるようなヒントや閃きが得られるかもしれない。


[参考文献]

東北大学とネスレが「コーヒーの香りが人の行動にもた… | プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-

【研究成果】ネスレ日本と共同 香りが人の行動を変える!? ~においの与える効果を実験~ | 東北大学新聞 (ton-press.blogspot.com)

2017年11月9日 ネスレ日本株式会社プレスリリース

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