マガジンのカバー画像

浅黄幻影、公開中の小説

40
noteで公開している小説のマガジンです。 文藝マガジン文戯、てきすとぽい、BFCなどで書いたものをおいています。全年齢、幅広い人を対象にした作品群です。
運営しているクリエイター

#連載小説

小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第1回)

 一.クリニック  今日も天気は曇り空、街には雪が降っている。マスクをしたぼくは小学校か…

浅黄幻影
3年前
3

小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第2回)

 二.図書館  それは今からおよそ一ヶ月前、絶対に忘れたりなんかしない一月の十八日だった…

浅黄幻影
3年前
3

小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第3回)

 三.お姉さんのプライベート、再び  五日間、ぼくは本当の風邪を引いて寝込んでしまった。…

浅黄幻影
3年前
1

小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第4回(終))

 四.プレゼント・フォー・ユー  二月十四日。世はバレンタインだ。男子がそわそわし、女子…

浅黄幻影
3年前
1

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第1回)

 その人について思い出すとき、もっとも古い記憶として、私が手を引かれて家へと招き入れられ…

浅黄幻影
3年前
2

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第2回)

 先生は私塾を開いていた。  学校が終わると多くの子供が集まり、先生の目の届くところで勉…

浅黄幻影
3年前
1

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第3回)

 兄は家の手伝いをしていたが、それより幼い私にも仕事が割り当てられるようになった。  まず兄と私の交代で、朝食の支度を任されるようになった。前の夜に炊飯器をセットし、朝に味噌汁を作る。ほとんどそれだけだった。目玉焼きを焼くという役目を任されたのはしばらく後になってからで、すべて大人ならばなんということのない仕事だった。当然、子供の私にはすべてが未知のもので、失敗も多かった。けれど、先生はどんなにしょっぱい味噌汁や消し炭の目玉焼きを見ても黙って食べるだけで、正しいやり方は教え

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第4回)

 私もごく普通の子供だったので、毎日を暮らすなかではよく喧嘩もした。遊びの延長でついやり…

浅黄幻影
3年前
2

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第5回)

 とことんまで悪心を許さない、それが私たちが見た先生の姿だった。それはもちろん、御自身に…

浅黄幻影
3年前
2

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第6回)

 兄の引っ越しを前にして一月のうちから準備が進んでいた。私もその手伝いをするつもりでいた…

浅黄幻影
3年前
1

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第7回)

「知識に裏付けされた技術」について先生は話していた。優れた技術者は皆、自分の手元で起こる…

浅黄幻影
3年前
2

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第8回)

 私は高卒での就職を考えていて、それは三年の秋頃に最終決定する。わかっていた独り立ちの重…

浅黄幻影
3年前
1

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第9回(終))

 就職面接から逃げ出した私は、二次募集ではすべての会社から見事に蹴り飛ばされた。業界では…

浅黄幻影
3年前
2

第一話 バルバラは出し抜けない

 目次ページはこちら  日射しが降り注ぎ、風は涼しく、外を走り回るにはもってこいの日だった。ぼくは友達と待ち合わせ、畑近くの小川で魚釣りをする約束をしていた。  学校から家の玄関に走り込み、階段を駆け上がって部屋に鞄を投げ捨てたぼくは、また駆け下りて外へ走り出そうとしていた。  けれど、そんなぼくをバルバラは腕を掴んで捕まえた。  なんとか引き離そうと踏ん張ってみたけれど、バルバラの方でも今度はぼくの肩まで押さえにかかってきて、いよいよ逃げ出せなくなってしまった。 「いけま