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浅黄幻影、公開中の小説

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noteで公開している小説のマガジンです。 文藝マガジン文戯、てきすとぽい、BFCなどで書いたものをおいています。全年齢、幅広い人を対象にした作品群です。
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記事一覧

INDEX:浅黄幻影、公開中の作品

マガジン「浅黄幻影、公開中の作品」のINDEXです。 マガジン本体からも辿れます。 SS いろ…

浅黄幻影
1年前
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小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第1回)

 一.クリニック  今日も天気は曇り空、街には雪が降っている。マスクをしたぼくは小学校か…

浅黄幻影
3年前
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小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第2回)

 二.図書館  それは今からおよそ一ヶ月前、絶対に忘れたりなんかしない一月の十八日だった…

浅黄幻影
3年前
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小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第3回)

 三.お姉さんのプライベート、再び  五日間、ぼくは本当の風邪を引いて寝込んでしまった。…

浅黄幻影
3年前
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小説「嘘つきなぼくとチョコレート」(連載第4回(終))

 四.プレゼント・フォー・ユー  二月十四日。世はバレンタインだ。男子がそわそわし、女子…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第1回)

 その人について思い出すとき、もっとも古い記憶として、私が手を引かれて家へと招き入れられ…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第2回)

 先生は私塾を開いていた。  学校が終わると多くの子供が集まり、先生の目の届くところで勉強したり遊んだりをする。自らの家を集会の場として提供しながら、子供らの面倒全般を見るのを仕事にしていた。  先生のやり方は、年齢が離れた子供たちをまとめ上げる……のではなく、自分たちでそれぞれ役割を持って生活をするよう指導するものだった。場を仕切るような先生ではなかった。基本的には宿題の面倒を見て、望む子には自主的な課題を出していた。  先生は一度に十数人を相手に指導をしていたけれど、い

小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第3回)

 兄は家の手伝いをしていたが、それより幼い私にも仕事が割り当てられるようになった。  ま…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第4回)

 私もごく普通の子供だったので、毎日を暮らすなかではよく喧嘩もした。遊びの延長でついやり…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第5回)

 とことんまで悪心を許さない、それが私たちが見た先生の姿だった。それはもちろん、御自身に…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第6回)

 兄の引っ越しを前にして一月のうちから準備が進んでいた。私もその手伝いをするつもりでいた…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第7回)

「知識に裏付けされた技術」について先生は話していた。優れた技術者は皆、自分の手元で起こる…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第8回)

 私は高卒での就職を考えていて、それは三年の秋頃に最終決定する。わかっていた独り立ちの重…

浅黄幻影
3年前
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小説「大地に落ちる汐の思い出」(連載第9回(終))

 就職面接から逃げ出した私は、二次募集ではすべての会社から見事に蹴り飛ばされた。業界では私の話は隅々まで行き渡っていて、卒業後に職安へ行ったとしても入り込む余地はないだろう、と進路指導の先生を曇らせた。  最終的にはずっと離れた場所にある鋳鉄工場に就職することができた。体力はほどほどにはあると自負していたけれど、職場を見学に行ったときには男たちの腕の太いことに驚いた。もちろん、私自身が背負った罪に対する責任なので、これから待っている苦労も受け入れることにした。  先生はいくら