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【大学編】大学生が語る、「人事」の魅力とは何か

あと数日経つと、社会人になる大学生です。

僕は大学で、「人事」に関連する学問を専門的に研究しました。

今日は、①「人事」とは何か、②なぜ勉強しようと思ったのか、③その領域を学ぶ魅力について、記事を書きます。

僕は以前まで企業でインターンとして、1年半ほど人事の業務をした経験があります。

なので、机上の学びだけでなく、実践の感覚込みで説明が可能である点は、僕がこのテーマを語る際の説得力の1つになると思います。

また、記事の意図として、ゼミや研究室を探している大学生、または今後大学受験を検討する方々に向けて、内容を作成しています。

本記事の内容は、あくまで人事を「学ぶ」ことを対象にしており、実践に関する言及はありません。


【1】 人事とは何か


はじめに、「人事」とは何かー。

人事の役割は、企業にとって重要な経営資源のひとつである、人に関する業務をすべて担うことです。

一般的なイメージとしては、社員の採用や教育、昇進や降格の決定、人事異動の発令などが知られていますが、それ以外にも人材に関する業務にはさまざまな種類の仕事があります。その中には、労務と呼ばれる仕事も含まれます。

マンパワーグループ「人事ってどんな仕事?仕事内容や向いている人の特徴までくわしく解説」


詳しくは、引用させていただいた記事をご覧ください。


友人に「人事」=「採用」ではないのか?とよく聞かれますが、実は採用の他にも、多くの領域を含むことが分かります。

上記文章にあるように、「人に関する業務をすべて」がポイントです。

そして、大学で人事を学ぶために履修する講義の名称例として(講義名は大学に依存します)、例えば以下の例が候補になると思います。

・人的資源管理論
・人材・組織マネジメント
・人事経済学
・組織行動論
・キャリアデザイン講座

など…

講義名や領域は多岐にわたるので、大学のシラバス等で一度確認した方が良いと思いますが、僕は実際、例で挙げたような講義を多く履修しました。


【2】 人事を学んだきっかけ


先に述べておきますが、僕自身最初から人事自体に関心があったわけではなく、きっかけと言っても全く高尚なものではありません。

理由は2つほどで、

(1) 真面目なゼミ(研究室)に入りたかったから


巷には「何をするかより誰とするか」という言葉が存在するほど、物事を一緒に取り組む「メンバー」は非常に重要です。

ゼミや研究室は特に、所属するメリットの1つが、「他者と学ぶことにより相乗効果を得ること」と考えていたので、環境の要素は特に大切になります。

僕の学部には、各ゼミの情報をまとめたパンフレットがあります。

僕のゼミはこのパンフレットの情報量が多く、必然的にそのゼミに集まる先輩や同期は熱量の高い人が多いだろう、と予想し意思決定をしました。

今思えば、何と単純な選択。


(2) 「リーダーシップ」や「チームビルディング」に関心があったから


勿論「誰とするか」だけでなく「何をするか」も重要です。

僕は、世の中のニーズが高い領域を選択することも1つの選択肢だと思いますが、せっかくであれば、自分が関心のある領域を学びたいと考えていました。

僕自身、それまでリーダーの経験が多く、チームビルディング、ひいては「ヒト」の難しさを感じることが多かった(単純に僕が下手だった)ので、関連性の高いこの領域を選択したのです。

再度になりますが、僕は今改めて「人事」を学んで本当に良かったなと思います。

だからこそ、次の「今僕が思う、人事を学ぶ魅力」は、数年前の自分に向けてのメッセージでもあります。


【3】 人事を学ぶ魅力


(1) 内容が比較的イメージし易い


大学で学ぶ過程において、教授が説明する内容は何となく分かるけれど、内容の具体的なイメージがあまり浮かばない、と思うことはありませんか?

僕は正直、結構あったんです。

現場に足を運ばない限り、やはり理論のみでイメージをすることには限界があり、きっと欧米でインターンが盛んな理由はここにあるでしょう。

一方で、人事は学生にとっても比較的イメージがしやすい領域だと思います。

例えば、「チームビルディング」は、中高で部長を経験したり、文化祭や体育祭などイベントを通してクラスをまとめる難しさを感じた経験があれば、内容はある程度スッと入ってくるはずです。

他にも、「採用」は就職活動を通して関わる機会があったり、「評価」においても、自分が当事者になった時どのように感じるか、など1人の学生として想像が比較的しやすいのです。

一番イメージを鮮明にする方法は勿論、実際に人事の業務を体験することですが、理論ベースの場合も、他の領域と比較してイメージがしやすいと感じます。


(2) 学問の裾野が広い


人事の領域は、裾野が広いことも、特徴の1つだと思います。

例えば、「ヒト」が中心の領域なので、「心理学」と強い関連性があります。

他にも、採用は「マーケティング」と関連があり、育成は「教育」と関連があります。

したがって、人事を勉強する過程で、様々な領域を横断的に学ぶことができるので、知的好奇心が強い方には特にお勧めです。

例えば、僕は人事を学ぶ過程で「キャリア論」や「心理学」を学び、その延長線上として「国家資格キャリアコンサルタント」と、「心理カウンセラー」2種類の、計3つの資格を取得することになります。

また、非常に個人的な話にはなりますが、「ヒト」を中心とするエンターテインメント「アイドル」により興味を持つきっかけにもなりました。


(3) エンプロイアビリティを高めることができる


人事とは、上記の定義に沿えば、「職種」の1つと考えることができます。

業種と職種の違いは何かー。

エン転職によれば、

「業種」とは、それぞれの企業が属している業界の種類を指します。たとえば「製造業」「金融業」です。

一方、「職種」とは、業務内容によって分けた仕事の種類を指します。個々人の仕事の分類ということですね。たとえば「営業」「事務」です。

エン転職「「業種」と「職種」の違いとは?」


職種は、一般的にどこの会社にも存在します。

特にコーポレート機能(僕はバックオフィスという言葉が少し苦手です)の「人事」や「経理」、「法務」は、いずれの企業においても必要不可欠な存在です。

したがって、1つの職種のスペシャリストとなることで、「エンプロイアビリティ」を高めることができます。

エンプロイアビリティとは、

「エンプロイアビリティ(employability)」とは、雇用され得る能力のことで、Employ(雇用する)とAbility(能力)を組み合わせた言葉です。

一般に転職できるための能力を示し、エンプロイアビリティが高いと、転職や再就職の際に有利になるといわれています。

HRプロ「 エンプロイアビリティとは|人事用語集・辞典」


(4) 掛け合わせの要素の1つになる


毎日新聞の記事によれば、2022年入試で人気になりそうな学部として、1位は情報系、次いで看護、医療技術系が予想されています。


また、DIMEの記事によれば、

高校卒業後の進路希望は、女子高生が、1位が「文学部」、次いで「人文・教養・人間科学部」、「教育・教員養成系学部」です。

一方の男子高生は、1位が「工学・情報工学部」、次いで「経済・経営・商学部」、3位が「理学部」です。


人事領域が一般的に含まれるのは「経営学」系や「商学」系ですが、経営学や商学の内容は多岐にわたり、その中で「人事」を1つ選択して、専門的に学ぶ学生が非常に多いとは言えないでしょう。

実際、僕自身これまで多くの人事担当者とお話をしましたが、学生の頃に人事を専門的に学んだ経験のある方は、正直あまりお会いしたことがないです。

加えて、僕が「大学で人事を研究しています」と自己紹介すると、珍しいと言われることが多いです。

僕は高校生の頃から、常に「オンリーワン=ナンバーワン」の状態にあることを意識しています。

オンリーワンになるための理論として、教育改革実践家の藤原和博さんに関する記事を以前紹介しました。


人事を専門的に学ぶ学生は現状あまり多くないと予測できるので、他の要素と掛け合わせることにより、アイデンティティの確立の一助になると思います。


(5) デジタルの時代だからこそ、ヒトの力を信じる


昨今のニュースのほとんどが、テクノロジーと関連しています。

それも、そのはず。

今日の僕たちは、半身どころか、もはや首元くらいまで、デジタルの世界に浸かっています。

スマホの携帯は常態化していますが、テレワークやオンライン授業の普及によって、時代の変化とオンラインとリアルがシームレスになっている現実に改めて気付いた学生も多いと思います。

だからと言って、「情報系」を自分の専門にするのか?という点については、再考の余地があると思っています。

僕はむしろ、情報分野は今後、もはや基礎教育になり、それを土台として、自分の専門を模索・確立していく時代になると考えています。

その上で、テクノロジーが発展し、生活水準が上昇する現代だからこそ、僕は「ヒト」に注目しています。

昨今、「ワークライフバランス」や「ウェルビーイング」などのキーワードをメディアで見聞きすることが多くなりました。

それらの共通点は、テクノロジーが発達する現代において、「人が人らしく生きること」を大切にしています。

そして、SDGsの普及に伴い、この潮流はビジネスと密接に関わりを持ち始めています。

したがって、「ヒト」を中心に据えた学問・仕事は、正に今後注目度が更に上昇していく領域であると予想できます。


【4】 人事のイメージが湧く、おすすめの本


人事に関する記述が多い本を、幾つか紹介します。

いずれの本も内容は非常に興味深いですが、並び順を上から僕が個人的に読みやすいと感じる順番にしています。

■ ワーク・ルールズ! 君の生き方とリーダーシップを変える

■ NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX

■ 人事こそ最強の経営戦略

■ 人事と組織の経済学


最後に


ここまで、①「人事」とは何か、②なぜ勉強しようと思ったのか、③その領域を学ぶ魅力、について一通り書いてきました。

ポジティヴな側面を多く述べたので、ネガティヴな側面、特に僕が学ぶ過程で感じた違和感を1点共有したいと思います。

それは、特に「リーダーシップ」や「チームビルディング」などの領域において、人の性質や感情に着目する傾向があり、因果関係における科学的なエビデンスが不足していて「それは、主観の域を出ない(客観性が足りていない)のでは?」と疑問に思うことが何度かあったことです。

同時に、「ヒト」を中心に据える領域なので、定性的な理論が多少連続することは、仕方がないのかなとも思います。

なので、より科学的な学びをしたい方は、大学のシラバスや講義要項を確認して、理論より実証研究を重視する講義を履修すると良いと思います。

何にせよ、理論が分からない状態で実証研究を理解することは難しいので、先に理論を学ぶことをお勧めします。


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