All That Meat and No Potatoes
「オール・ザ・ミート・アンド・ノー・ポテイトウ All That Meat and No Potatoes」は、1941年にファッツ・ウォーラー(Fats Waller)とかれのマネージャーであるエド・カークビー(Ed Kirkeby)によって書かれた曲。
食べ物が女性のメタファーに
肉とジャガイモが出てくるが、食べ物の歌そのものではなくて、そういった食べ物をメタファーに情欲を歌っている。大食漢なファッツ・ウォーラーらしい曲かもしれない。また、食べ物の曲といえば「フリム・フラム・ソース」や「エイント・ザット・グレイヴィー・グッド」ある。
さて「肉ばっかりでジャガイモがない all that meat and no pota」という表現は、「大きな身体だけど胸が小さな女性」を意味する。普通、ステーキなど肉料理にはジャガイモがついてくる。しかし、この料理には、あるべきはずのジャガイモが付け合わせていない。そんな矛盾を表現するためのメタファーとしてステーキとジャガイモが使われている。
このについてファッツ・ウォーラーの従兄弟でツアーの運転手をしていたハーマン・バスター・シェパードは次のように語る。
この曲は見てくれを蔑む曲では決してない。そんな「見てくれなんかどうでもいい、俺は腹が減った!肉ばっかりでジャガイモがない料理を待ってるんだ!」と歌っている。コメディ・タッチで明るく楽しい曲であることは変わりはない。
録音
Fats Waller and His Rhythm (NY March 20, 1941)
Fats Waller (Piano and Vocal); John Hamilton (Trumpet); Al Casey (Guitar); Cedric Wallace (Bass); Slick Jones (Drum) Eugene Sedric (Alto Sax)
やっぱファッツ・ウォーラーの録音。この時期のこの編成が素晴らしい。アル・ケイシー、セドリック・ウォレンスとスリック・ジョーンズがファッツ・ウォーラーが作るリズムの隙間を埋めてとても濃厚。またこの録音はノヴェルティっぽくもある。そういった意味でみんなに開かれる演奏。
New Orleans Jazz Vipers (New Orleans 2015)
Joe Braun (Alto Saxophone); Kevin Louis (Trumpet); Craig Klein (Trombone); Oliver Bonie (Bari Saxophone); Molly Reeves (Guitar, Vocals); Joshua Gouzy (Bass)
大好きNew Orleans Jazz Vipersの録音。モーリー・リーヴスのギターのボーカルもかっこいい。ファッツ・ウォーラーの録音よりもラフ。そういったラフさがありつつもリズムが芯を食っている。
Gordon Au (Asheville, December 28, 2019)
Laura Windley (vocals); Jim Ziegler (vocals); Gordon Au (trumpet); Keenan McKenzie (soprano sax); Jacob Zimmerman (clarinet); Lucian Cobb (trombone); Jonathan Stout (guitar); Chris Dawson (piano); Jen Hodge (bass); Josh Collazo (drums)
ゴードン・オーのライブでの録音。サッチモのファッツ・ウォーラー・トリビュートでの録音を下敷きというよりも、サッチモのホット・ファイヴあるいはホット・セヴンに志向しているように聴こえる。この録音でもかなりレイドバックした演奏が聴ける。また最初のトランペットでのテーマのカウンターメロディーをキーナン・マッケンジーがソプラノ・サックスで演奏しているのだが、それがとてもブルージーで素晴らしい。
参考文献
Waller, Maurice & Calabrese, Anthony. (2017). Fats Waller. Minneapolis: University of Minnesota Press.
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