しゅみお

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しゅみお

noteでは音楽に関連した社会や文化について書いています。ジャズ、ソウル、ファンク、ヒップホップ、ブルースが好きです。テクノやエレクトロニカも好きです。最近はブルーグラスに凝っています。ジャズは新譜旧譜を含めトラッドジャズやマヌーシュ・ジャズをよく聴きます。

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トラッドジャズ・スタンダード目次

いろいろジャズを聴いていると探究心が芽生えてくる。ジャズは黎明期からどこでだれが録音に参加したのかが明確なものが多いのでとても探しやすく、また曲は時代をあらわしていて、そういったものを調べるのも面白い。とくに日本では『ジャズ詩大全』などすばらしいシリーズも多い。またジャズは英語でも日本語でもさまざまな分野から学術的に研究されている。それに日本語でも英語でもジャズにかんするサイトやブログが本当に豊富。調べてると面白いので続けていたら結構溜まってきたので、noteに残したいなあと

    • Echoes of Spring/Echo of Spring

      「エコーズ・オブ・スプリング Echoes of Spring」あるいは「エコー・オブ・スプリング Echo of Spring」は1935年にウィリー・ザ・ライオン・スミス Willie "The Lion" Smith が作曲したジャズ・ナンバー。 資料によってはクラレンス・ウィアムズClarence Williamsとトーシャ・ハモンド TaushaHammed も作曲者に加えられることがあるが、これはコピーライトの申請をしたときに連名になったためであって、二人が作曲

      • Candlelights

        「キャンドルライツ Candlelights」は1930年にビックス・バイダーベック Bix Beiderbecke が作曲した4つあるピアノ作品のうちの一つ。ビックス自身は録音をすることがなかった。ジャズともクラシックとも言い難い抽象度の高い楽曲。印象派から影響を受けており、現代音楽や現代ジャズの文脈でも十分に魅力的な楽曲だと思う。が、どうしても知名度からか、モダン・ジャズではなかなか演奏されず、トラッド・ジャズでもビックス・トリビュートで録音されることが圧倒的に多い。

        • Dixie Jamboree

          「ディキシー・ジャンボリー Dixie Jamboree」はライル・グリフィンLyle Griffinとチャールズ・カレンダーCharles Callenderによって作詞作曲されたジャズ・ナンバー。同名の曲があるが、いずれにせよまったくスタンダードではないし、なんならナット・コール以外の録音を知らないし、資料も探しても見当たらない。が、とても刺さるジャイヴの名曲。 「イット・ドント・ミーン・ア・シング It Don't Mean a Thing」を踏まえたような歌詞。「ス

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        マガジン

        • トラッド・ジャズ&スイング・スタンダード
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        • 音楽について:ジャンル、ムーブメント、プレイリスト
          7本

        記事

          Do What Ory Say

          「ドゥー・ワット・オーリー・セイDo What Ory Say」はキッド・オリー Kid Oryが作曲した作曲年不詳のジャズ・ナンバー。キング・オリヴァー King Oliverもメロディの作成に携わっている。ジャズ・スタンダードとまで有名ではないがとてもよい曲。 負かせた相手に送る言葉アレックス・ベルハージ Alex Belhajiのアルバムのライナーノーツにおもしろいエピソードがあった。これをもとに補足を交えつつエピソードを概観していきたい。 この曲はニューオーリンズ

          Do What Ory Say

          Fair and Square in Love

          「フェア・アンド・スクエア Fair and Square」あるいは「フェア・アンド・スクエア・イン・ラヴ Fair and Square in Love」は1938年にアンディ・ラザフAndy Razafが作詞し、クィーニー・エイダ・ルービンQueenie Ada Rubinが作曲したジャズ・ナンバー。そこまで録音が多くないし有名でもないのでスタンダードではない。 「フェア・アンド・スクエア Fair and Square」とは日本語で「不正のない」「誠実な」という意味。

          Fair and Square in Love

          Every Evening (I Miss You)

          「エヴリ・イヴニング(アイ・ミス・ユー) Every Evening (I Miss You)」は1927年にジミー・マクヒュー Jimmy McHughが作曲し、ビリー・ローズ Billy Rose が作詞したポピュラーソング。録音は少ないのだけれど、とても美しい曲。そんなわけでスタンダードではまったくない。 インストで録音されることの方が多いけど歌詞もある。が、わたしが持っているCDやレコード、書籍、インターネットには歌詞が載っていない。なので、聴き取ったところ次のよう

          Every Evening (I Miss You)

          Diga Diga Doo

          「ディガ・ディガ・ドゥー Diga Diga Doo」は1928年位 ジミー・マクヒュー Jimmy McHugh が作曲し ドロシー・フィールズ Dorothy Fields が作詞したフォックス・トロットのポピュラーソング。 ズールー人と呪文ニューオーリンズ/ディキシーランド・ジャズから影響を受けた曲で、1928年初演のオールブラック(出演者のすべてが黒人)のミュージカル『1928年のブラックバーズ Blackbirds of 1928』のために書かれた。アデレード・ホ

          Diane - Tropical Moon Rhumba

          「ダイアン - トロピカル・ムーン・ルンバ Diane - Tropical Moon Rhumba」は1939年にシドニー・ベシェ Sidney Bechetが作曲したダンス・ナンバー。タイトルからもわかるようにラテンのリズムを使った曲。ルンバとあるがハードバップとかで聴かれるルンバのパターンとは違う。アーノウ・ラピーが作曲した同名の曲があるが、まったく別の曲。 録音Haitian Orchestra (New York, November 22, 1939) Sidne

          Diane - Tropical Moon Rhumba

          Dear Old Southland

          「ディア・オールド・サウスランド Dear Old Southland」は1921年にターナー・レイトン Turner Laytonが作曲し、ヘンリー・クリーマー Henry Creamerが作詞したポピュラー・ソング。黒人霊歌の「ディープ・リヴァー Deep River」のメロディを下敷き、というかそのまま流用した曲 (Graham, 2013)。 「ディープ・リヴァー」自体は「おそらく、一般的にもっとも慕われ愛された黒人霊歌」で (Shirley, 1997, p. 4

          Dear Old Southland

          Embraceable You

          「エンブレイサブル・ユー Embraceable You」は1928年にジョージ・ガーシュウィン George Gershwin が作曲し、アイラ・ガーシュウィン Ira Gershwin が作詞したポピュラー・ソング。1930年のブロードウェイ・ミュージカル『ガール・クレイジー Girl Crazy』にて使用されたラブ・ソング。 この曲は一般的には『ガール・クレイジー』の曲と思われているが、じつは1928年に遡る。もともとフローレンツ・ジーグフェルドの舞台である『イース

          Embraceable You

          Ella Speed

          「エラ・スピード Ella Speed」は作曲年・作詞作曲者不詳のブルース。レッド・ベリー Lead Bellyの録音が有名で、1960年代後半のジャグバンドのリヴァイヴァルにおいてしばしば録音/演奏された。 娼婦エラ・スピード「エラ・スピード」とは当時28歳だったニューオーリンズのベイジン・ストリートで働いていた娼婦を指す (SecondHandSongs)。歌詞においては、1894年9月3日にエラ・スピードが、同じく28歳で地元の不良バーテンダーだったイタリア系白人のル

          Down Home Rag

          「ダウン・ホーム・ラグ Down Home Rag」は 1911年に ウィルバー・スウェットマン Wilbur C. S. Sweatman が作曲したラグタイム・ナンバー。牧歌的な曲で、しばしばニューオーリンズ・ジャズやディキシーランド・リヴァイヴァルで演奏された曲。いわゆる「スリー・オーヴァー・フォー three over four」を使った曲で、この曲以外にはBlack and White RagやTwelfth Street Ragが同じパターンを使っている。 ウィ

          I Ain't Gonna Give Nobody None of my Jelly Roll

          「アイ・エイント・ゴナ・ギヴ・ノーバディ・ノン・オブ・マイ・ジェリー・ロール I Ain't Gonna Give Nobody None of my Jelly Roll」は1919年にクラレンス・ウィリアムズ Clarence Williams とスペンサー・ウィリアムズ Spencer Willaimsが作詞作曲したジャズ・ナンバー。タイトルは長いので「ノン・オブ・マイ・ジェリー・ロール None of my Jelly Roll」とも呼ばれる。トラッドジャズのスタンダ

          I Ain't Gonna Give Nobody None of my Jelly Roll

          Eccentric

          「エキセントリック Eccentric」は1922年にジョセフ・ラッセル・ロビンソンJoseph Russel Robinson によって作曲されたジャズ・ナンバー。しばしば「エキセントリック・ラグ Eccentric Rag」とも呼ばれる。 ここでいう「エキセントリック」は1920年代のジャズを形容する表現でもともとはヴォードヴィルで使用されていたことば。「風変わりな」が転じて「驚くような」という形容詞。こうした表現は60年代後半〜70年代のグラムロックでもしばしば使用さ

          Down At The Old Village Store

          「ダウン・アット・ザ・オールド・ヴィレッジ・ストア Down At The Old Village Store」は、おそらく1936年にリル・ジョンソン Lil Johnson が作詞作曲したジャズ・ナンバー。作者にかんしては、ウォッシュボード・サム Washboard Sam(資料によってはロバート・ブラウンRobert Brown名義)が作詞作曲との資料があるがどれが正しいのかいまいちわからない。まったくスタンダードではない。ゴスペルから影響を受けたブルース形式のヴォード

          Down At The Old Village Store