短編のご紹介
1. Call my name
それは、新たな命
2208年、人為的ウイルスが蔓延して人口の八割が死滅した地球では、人間のパートナーであったロボットたちだけが生き残っていた。
そこへある日、その街の疫学研究所から、一体の壊れかけの警備ロボットが、臓器運搬用の無菌ボックスを持って市中に現れる。
使用人ロボットであるパランが託されたそのボックスの中には、赤ん坊が入っていた。
2.木霊の声
林は黙っている
十年ぶりに再会した同級生に、どうしても聞きたいことがあった。
——もしかして樹の声が、聴こえてるの?
秋の足音が聞こえ始めた雑木林で、ぼくはじっと耳をすます。
3. 繋ぐもの
何が起こっても世界は繋がっていく
雑木林で飼い犬とともに人探しをするみちるは、植樹するヒューマノイドに出会った。
隔絶されたような緑の中で生活する彼と、暮らしを追われたみちるの、ほんのひとときの話。
4.下等転生
輪り廻る、転じてただ生きる
虫注意
胸糞かも
ストーリーもなにもない、あえて言うならナンセンス
5.プラズマと残光
光れ。コンマ一秒でいいから、長く。
人工流星を流すために宇宙ステーションで働く伊緒は、いつものように流星衛星の準備を進めていた。
その日の流星の材料は、人間の骨。
夏の迎え火の晩、一夜の天文ショーは、故人の命の火を燃やす。
6.水降る星の、ひとつぶの
「きみは、水が降るより星が降るほうが珍しいと思うかい?」
ぼくは、そんなことを言うやつに出会った。そいつは自分を、「きみたちが言うところの宇宙人だ」と言う。
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