XRP Ripple
米国企業のRipple(リップル)社との関係が深いため、XRPとRippleが混同されることがありますが、XRPとRippleは別物です。
「XRP」と表記されている場合は、暗号資産・XRP LedgerのトークンであるXRPと考えてください。
「Ripple(リップル)」と表記されている場合には、リップル社や同社が提供する金融サービスであると考えてください。
XRPの特徴
高速な取引承認: XRPは3〜5秒ごとにファイナリティをもって決済を行うことができ、ビットコインのようなProof of Work(PoW)方式と比較して承認作業が短いため、送金時間が短くなります
低いコスト: XRPの1件当たりの手数料は0.0002ドルと公称されており、他の仮想通貨と比較して非常に安価です
スケーラビリティ: XRPは1秒につき1,500件のトランザクションを決済できるスケーラビリティを有する構造を持っています
ネットワーク維持や取引承認で報酬が得られるマイニングの仕組みが存在しない。 そのため、XRP Ledgerは大きな電力消費・エネルギー消費を伴わずに稼働することができ、長期的な成長と安定につながる
XRPとXRP Legderの歴史
XRP Ledgerは2011年から開発が行われ、2012年にリリースされました。開発はDavid Schwartz氏、Jed McCaleb氏、Arthur Britto氏という3名のエンジニアが行い、リリース直後にリップル社の共同創業者・会長となるクリス・ラーセン氏が参加。2012年9月に NewCoin 社 (すぐに OpenCoin に改名され、現在はRipple Labs.という名称) が設立され、3名のエンジニアとクリス・ラーセン氏が共同創業者となります。
XRPLの創設者らは同社に、XRP Ledgerのネイティブ通貨である800億XRPを贈与。リップル社はその後、その大部分をエスクローに預けています。
このような関係から、XRPとXRP Ledgerはリップル社のものと考えられがちですが、XRP Ledgerはオープンソース技術として独立しています。リップル社は現在、クロスボーダー決済事業における流動性管理に XRPLedgerとXRPを活用するユースケースを構築する貢献者の一人に過ぎません。
2020年にXRP Ledgerの開発や企業等への採用を促進するための組織としては、XRPL Foundation(XRPL財団)という財団が設立されています。
リップル社のプロダクト
リップル社(Ripple Labs.)は「価値のインターネットの構築(Building the Internet of Value)」を掲げている米国の企業です。
リップル社は国際決済や暗号資産への流動性供給、機関投資家向け保管プラットフォーム(カストディ)サービス、CBDC(Central Bank Digital Currency・中央銀行デジタル通貨)の発行やその支援など、多くのフィンテックサービスを提供しており、一部のサービスにXRP Ledgerを活用しています。
国際決済や国際送金にかかわるプロダクトでは、「RippleNet」(現在はRipple Payments)と「ODL(On demand liquidity)」というサービスが展開されており、「ODL」でXRPが活用されています。
一般的に「ODL」国境を越えた国際送金などに使用されますが、資金の移動にあたりXRPを経由して取引を行っていることが特徴です。ODLの製品構造上、取引のために一定量のXRPを保有する必要があるため、ODLを導入する企業や金融機関が増加すると、取引に使用されるXRPの需要が高まります。これにより、XRPの準備高や流動性が向上し、結果としてXRPの価格が上昇する可能性があるという期待が持たれています。
リップル社によるCBDC推進やステーブルコインの発行
リップル社はフィンテック分野での存在感も大きく、提携企業ではタイの「サイアム商業銀行(SCB)」などが挙げられ、日本では、SBIとの合弁会社である「SBI Ripple Asia」が設立されています。
また、リップル社はCBDC(中央銀行デジタル通貨)向けのプラットフォームも提供しており、国や中央銀行を含めたCBDCの実証実験などもなどで多数実施しており、大手の金融機関や国などと連携できている実績があります。
リップル社が提供するCBDCのプラットフォームでは、XRPをブリッジ通貨として導入することを発表しており、XRPの利用が促進されることが期待されています。
投資の注意点
XRPは、他の仮想通貨と同様に、価格変動が激しいリスクがあります。投資を行う際には、十分な知識を身に着け、自己責任で行うようにしてください。
SECによるリップル(Ripple)社の訴訟
Ripple社はXRPの取り扱いを巡り、SEC(米国証券取引委員会)から訴訟を受けています。内容は、Ripple社が未登録の証券であるXRPを投資家へ販売し、連邦証券法に違反していたというものです。
この裁判について、リップル社は「(取引所などを通じた)個人投資家への間接的な販売」について一部勝訴の結果を得ていますが、「リップル社がXRPを機関投資家へ直接販売した点」についてはSECと引き続き協議を行っています。
24年8月7日に公開された情報により、米国の判事がリップル社に対し、XRPを機関投資家に直接販売したことに関して、1億2500万ドルの罰金を支払うよう命じたことが明らかになりました。また、今後の証券法違反を防ぐための措置も講じられています。
SEC(米国証券取引委員会)は当初、20億ドルの罰金を求めていましたが、最終的にその額は94%削減されました。リップル社の法務責任者であるスチュアート・アルデロティ氏は、この1億2500万ドルの罰金を支払うことに同意したと述べています。トーレス判事は、リップル社が取引所を通じて個人向けにXRPを自動販売したことについて、連邦証券法には違反しないとの見解を再確認しました。
さらに、判事はリップル社が提供する「オンデマンド流動性」サービスに言及し、リップル社の今後の販売が法律に違反する可能性があるため、差し止め命令を出す理由があると判断しました。しかし、現在のところリップル社の活動が法律を越えているとは見なしていないとしています。
SECは当初、リップル社がXRPの販売を通じて13億ドルを調達したとして訴えましたが、2023年7月にトーレス判事が個人向け販売に関してXRPが証券には該当しないと判断しました。
SECとの裁判は引き続き行われており、裁判の内容は暗号資産業界全体に影響があるものも含んでいるため、動向が注視されています。裁判が進むにつれ、XRPやリップル社の活動の合法的な部分が明確化されるため、ETFなどにつながるという見方もあり、裁判や規制の動向はXRPの将来性や今後を予測するうえで、欠かせない要素といえるでしょう。
2023
11/8 リップルネットの進化版「Ripple Payments (リップルペイメント)」発表
Ripple Paymentsの主要な更新点
グローバルネットワークを拡張し、クリプトと従来のペイアウト市場を含む70以上の市場へアクセスを可能にする。これにより、一つのプロセスで世界的に展開できるようになった。
規制への深い理解を反映した決済システムであり、企業レベルのセキュリティを確保している。シンガポールの金融規制当局である「MPI」や、アメリカ国内で30を超える「MTL」など、広範囲のライセンスを取得し、多様な顧客層にサービスを提供している。
XRP Ledgerの分散型取引所(XRPL DEX)との統合を実現し、製品のパフォーマンスを高め、新たな市場への参入障壁を下げた。
通貨や目的地に依存しない、24時間365日のオンデマンド流動性オプションを提供し、決済製品のスケールに応じた最適化されたエクスペリエンスを継続的に提供する。
2024
4/5 リップル社、米ドルステーブルコイン発行へ
リップル社は、米ドルペッグの暗号資産(仮想通貨)ステーブルコインをローンチする計画を発表した。このステーブルコインは、XRPレジャー(XRPL)とイーサリアムのブロックチェーンで発行されるもので、今年後半にローンチされる予定。
6/12 リップル社、スタンダード・カストディの買収完了 米ドルステーブルコイン発行へ
スタンダード・カストディは、機関グレードの保管およびエスクロープラットフォームを提供している企業。米ニューヨーク州の金融サービス局(NYDFS)から信託会社としての認可や送金ライセンスを得ている。
10/2 仮想通貨XRPのETF、米国でBitwiseが申請へ
暗号資産(仮想通貨)運用企業Bitwise
10/8 XRP現物ETF、米SECに仮想通貨投資企業Canary Capitalが申請
10/10 Ripple Custodyを拡充 RWAトークン化機能導入
10/10 米SECを交差上訴
10/16 リップル、独自ステーブルコイン「RLUSD」の上場取引所を発表
Uphold、Bitstamp、Bitso、MoonPay、Independent Reserve、CoinMENA、Bullishの7つの取引所・交換業者がRLUSDを上場し、B2C2とKeyrock社は流動性を提供する。
10/16 XRPやアバランチ含む複合型ETFを申請、米グレースケール
10/18 米SECが正式に上訴、仮想通貨XRPをめぐるリップル裁判に新展開
SECは、リップル社のプログラム的暗号資産のXRP 販売や、ブラッド・ガーリングハウスCEOとクリス・ラーセン共同創業者の個人的なXRP販売などについて、地裁の判断を再検討するよう要請。
リップル社のスチュアート・アルデロティ最高法務責任者は、「XRPは証券ではない」という地裁判断は上訴されておらず、その決定は「法律として確立している」と強調。
10/26 リップル社、仮想通貨XRPめぐる対SEC控訴裁判で4つの論点を提出
11/2 XRP現物ETF、21Sharesが米国で申請 3社目に
11/14 MiCA 準拠のステーブルコイン EURCV をXRP Ledger (XRPL)に展開して採用を増やす意向を発表
11/22 SOLやXRPが上昇、ゲンスラーSEC委員長の退任確定を受け
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