鷹枕可

短歌集団「かばん」に参加、疾病の為退会。 詩誌「金澤詩人」創刊号より第4号迄へと参加。…

鷹枕可

短歌集団「かばん」に参加、疾病の為退会。 詩誌「金澤詩人」創刊号より第4号迄へと参加。 爾後、ネット詩界隈を輾転とし、 自由詩投稿掲示板「文学極道」に西暦2015年より投稿。 摂食障害、精神分裂病を発症後、今に至る。

最近の記事

明治皇帝盛衰記:三,「日清戦争」

  民と官紛糾すも伊藤内閣再編され「万事御委任あらせられたし」 皇帝に聖断ありき宮廷縮小せるとも海軍艦隊は必需とか 宮殿の装飾剥がされて軍艦の甲板へとなりなむ 園遊夕つ方 英仏國殖民地ひろげるために対立す極東日本へとにじり寄る 不平等条約反故を 民権は國粋を愛すゆゑにくしみき異人も 日英通商航海条約妥結の裏に戦禍の機運 昂ぶれる民、官 未だ十一時零分 銀婚の天皇皇后両陛下鳳凰の間にて勲章を佩き  観兵式臨御の皇帝 「君が代」に銃・剣楯てるにむかふ洋馬車 月次歌

    • 2024/09/18シュルレアリスム短歌十首,

      口三味線つと止む舌先三寸にひとよぎりせり秋黄の揚羽 歌のための嘘とはいひきびつしよりと蚊帳吊の褥仲秋の日明り 寝屋川市中央広場大噴水へ濡ち佇つ雄鶏の鶏冠の兜なし 動植物図鑑薔薇型録遠近図蜜蝋造花蝶標本室 一杯のするめいかはかわきて畳まれき鹽充てる乾物屋 聖櫃へ吹入り霙くらやみのなかなる碑に緋文字、藍文字 鳥籠のなかつるされき都市模型にさかだちたりしは鐘楼群、塔 明暗一室へわかたれり徴税吏召命のあるじひかりそびらへ 埋葬礼は中央納骨室へ下さるもパリ市へとどきしは

      • 2024/09/16,凡句フルネルソン,

        靑草かずしれず無名なす名月 夜半きこゆ万歳秋明菊死者は たたかひにそよぐ菊襟許割るる ふきいらむおまへこそ同期の櫻 万国博へ鶏頭図ありしは悲劇 滑稽をなぐさみ芒へとうつほ ヴァティカンに真菰舟棹差すはをとこ 地図帖へ安宅國あらず写実画 嘘の歌百年経つたらば伯耆

        • 玉衣剥奪

          世は忌憚へとなづめども ふるはなわびしき 忘却の調べを 手繰れるは青年 ピアノ臺へ倚り掛りゐつ 春の別離の窓閉ぢしをとめ 名をマリー・テレーズといふも 勲章ふるき額縁の 尊影に 嬰児ふたりいだきては かたへは娼婦 かたへは后妃となりなむに 宮殿ふかき鏡の間 炎にくづれゆらめくは 戴冠式の画のなかなりし 太陽王の嫡子と嫡子か 諸侯、揃ひて 兆す光芒へ玉冠の剥奪図はあらむ 革命よ 死を呼べ! 傾れ込む民兵らおよそ百名 緋色の銃挺提げて 喚びぬ こなる国家の主権はたれか

        明治皇帝盛衰記:三,「日清戦争」

          2024/09/14,発句即興五句(推敲後)

          いまだ白露の荻入相へありき 般若湯へ一抹の銀さびし葛 葛の花蹂躙すなづきからつぽ 箱のなかへをみなへしの二十重 をとこへしわかきに柩細工の市

          2024/09/14,発句即興五句(推敲後)

          明治皇帝盛衰記:二,

             さまざまの國旗交差しある夜夜を走れり海底電線のつな 國王午餐會中止さるのちに服喪アレクサンドル二世暗殺の爆弾 北海道葡萄園行幸みちすがら伯母薨去、米大統領暗殺の報  政変の噂飛び交ふ市場へと兌換紙幣はかけがへなき銀、金へ 「事変を煽し國安を害する者あらば」処するに國議会を以て検せり 軍人勅諭なまよみにして陸軍卿大山巌某拝受す 「わが國の軍隊は世々天皇の統率し給ふ」「わが」おきどころとは 不平等条約解消ならず苛苛と指机たたくも打電「朝鮮へ反乱あり」 朝鮮日

          明治皇帝盛衰記:二,

          小曲譜・デューラハーン

          いつはりて 著し しるしく 七莢へひとつたらざる 六鞘の燭臺もちて靑き少年の、 襯衣にとどむる 木の綿の花実つきにける     : 牧羊神の晩餐へ、 ひきしぼらるる弓弦の秘めし一室より西方へ 緋の銅の風見鶏立てり そは噴かず 炎の舌 鐡の口 真鍮の貌ふちどらる ジャンヌ・ダルクの忌日にこそ啼け 忌忌し、白百合の萼ひらきけり 死の今際にしてたちすくみをりし 百の騎兵よ とくと聞け! われらが天堂攻入りぬ、 叛-天使群こそうちくだしては 救世に誉こそあれ おろかし、

          小曲譜・デューラハーン

          憲兵

          緋には百合 憲兵の花攫みをりしゆゑ 憎憎し、 厩より東へ馬籠 ふるきは木蓮華 そを毀しつつ窕たる第七庭へと到りぬ きさま、たが尖兵なるか! 折しも 手折る梅が枝へ、 しろきはなたつにほのかそけし たれよばふかいのちあるかなきかのをさなきはなへ 秋霜降つて涌きぬれど いつしらに 冬立ちゆかば 青年の醒めき襟頸 軍のごといとど昏かるを 一瞥の目にし見離きぬ 汝がながながし敵は汝がまなかひにこそをりき そが仇敵なるや、臣君 はつと醒めにし蚊帳ぬちへ、 散らばりやまじ

          明治皇帝盛衰記:一,

            皇帝こころみき罪を百年の秘密もて贖へり家督図 開廷へ鐘は鳴る靖国地獄より召集されし民、臣、軍、帝 雄鶏は三度鳴けるも聖帝の否認さる橄欖園の臣下へ キデロンを越えしとか 膏浮かべて偽基督の從徒十余人 裁かるる爲には裁け 靑桃の園つのぐめるをちぎり黑衣は  聖約翰教会。複製画のなかのふたごへ熟るる瓜しらじらと 焼落ちし旧伽藍より西へ千万の軍のかばね埋めてたつ塚 戦争の起源を問へば 祀ろふはすめろぎの辺に下に きみ 誰が歴史を決する 殖民宗主ならむとし殖民國家打

          明治皇帝盛衰記:一,

          花筐

          狂女ありけり、 都鳥 汝 なきそ なきそ なかざれば わが咽つたふすぢいぞや 雁衣わびし、 鄙にも 花ぞあらまほしくは 君のいみじうおろかなりし 夷心ならめや 口惜し、 そがおもざしこそわすれをらざれば 紅葉葉みつる しろたへの秋別れがれにわかちぬ袂こそをは憂ふるものを なくかは なかず なかざれば なが憎々しきほほゑみこそ討たむと思ふに なくや おとろへはてたる をみなは 寂しきは道行、 女男がおちゆきに 黑き紅葉がふたひらほどをとどむるに 落ちしは水蔭 梢

          思想論:「一般平和宣言と天皇制」

          戦争回避に、平和宣言に何故、天皇制が必要か。 今日の文学の力では、限られた読者(=部分集合)にしかイデオロギーは関与をできない。 天皇陛下とは乃ち国民の長であり、代表であり、象徴である訳であるから、 実動的宣言ということをなされれば部分集合の全体への通告、通達(つまりメッセージ)を隈なく行き届かせる事ができましょう。 勿論、弊害もありましょう。 具体的には 第一:平和宣言そのものが戦争への呼び水ともなりうる場合(極東アジア地域に於ける国家‐相互不信の増幅が極まった場合) 第

          思想論:「一般平和宣言と天皇制」

          苅萱

          昔、高野に西行ありき 庵にていみじうおそろしき蛇いづれば、 母こそ 蜿蜒たるみぐしより火を吐きて御たまはりける、 ちちうへ、 ははうへ、 乞ひしかりけるへ 珠の緒に 攀ぢりて零れる 姥捨の櫻の枝折こそを手向とぞおもふ、 僧都、数珠手繰りつつ寒念佛唱へて払ふ淡雪の、 碑こそ観ゆる 見ゆれども、 ははうへは先立ちたまふなり、 ちちうへいづこ 苧環のしがらみからむわがゆびへ 柄杓星こそかけてはおもへ 星読は告げり ながかたきこそは なれ履みし幾月歳の影にこそをりぬ

          水葬人夫

          薔薇の刺靑のある右腕が 錨の縄を投げる 少年は 喉元まで癩病に愛されていた 水底に沈む嬰児の様な石達――或はサイレンのこだまたちは 排水路へと續く濁流の中 銅錆色の、 緑靑の涙をしたたらせていた 呼ぶ声――水門へと身を乗り出して狂った女が叫ぶ ――マリオ、マリオ!あなたはどこ、マリオ!! 濁流の底は、 その目を渦巻かせて 叫びさえをもかき消してしまうだろう ――復、復だ、今日も復一人、消えたって――、 朽ちた部屋へ遺された 自動仕掛けの時計人形より、 次の聖水曜

          思想,

          今日の、 偽物の自称右翼、保守主義者達を一掃しなければならない。 求められ得る眞の右翼とは―― 恒久的に軍事力を放棄し、非核三原則を再批准し。 一切の侵略能力を保持しない、 唯一の非武装国家としての矜持を新たにすることに拠ってのみ、 承認され得るだろう。 そして その恒久‐平和‐宣言の主体とは、 過去の罪科の象徴である天皇であり、われわれ自身である。 時には、上記非武装国家主義を守り遂せる為には、 われわれはリベラリストとも共闘をし得るであろう。

          2024/08/23,文語・口語試験作品十首,

          文語: 君孤独なる暗殺者たるべし人力機関銃堤て見む 神ならず 精霊は煉獄へ。修道長は地獄へとひきしぼりをりし両翼 宇宙飛行服の古代劇場の気息未來にはたゆまざるきのふ 誰が昨日を切開くのか暗紅の鞄へ隠し持つ 汝抵抗家 血腥き七月の火事にヴェルサイユ鏡像の間へ立ちて后、君 口語: 機械計算室へ棺はならぶ黒白の点文字を呑み吐き出しては 目的は火星の砂へ鉄の骨の足ひろげて着地する試験塔 希臘の砂オリュンポス山へ 母のつめたき午睡のひとみ 東洋魔術劇のシナ人の博士復

          2024/08/23,文語・口語試験作品十首,

          敗戦忌

          自決を遂げた少年の 血が蟠っていた 没落へつづく青年の 愛が充ち渇いていた 夕――死者がさわがしくなる刻限だ 誰も俺の名前を知らない 俺を 捜している輩は五万といる 夏草・秋草・冬草・春草 花鳥風月・宿命不在 わが身をいづる闇いづれ 白七草のなきがらとも見ゆ 誓言――汝、刃を打ち交し われを吾すべし 深間へ到る途上へと転がりいでたる 貴様の貌を ゆめ忘るべからず、