憲兵

緋には百合
憲兵の花攫みをりしゆゑ
憎憎し、

厩より東へ馬籠
ふるきは木蓮華
そを毀しつつ窕たる第七庭へと到りぬ

きさま、たが尖兵なるか!

折しも
手折る梅が枝へ、
しろきはなたつにほのかそけし

たれよばふかいのちあるかなきかのをさなきはなへ
秋霜降つて涌きぬれど
いつしらに
冬立ちゆかば
青年の醒めき襟頸
軍のごといとど昏かるを

一瞥の目にし見離きぬ

汝がながながし敵は汝がまなかひにこそをりき

そが仇敵なるや、臣君

はつと醒めにし蚊帳ぬちへ、
散らばりやまじ、百合のはなかはうつつならずに 
 
 
 
  



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