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写真集:まぼろし博覧会(静岡・伊東)

 少し前にNHKの番組で紹介されていて、近くに寄ることがあればぜひ行きたいと思っていた「パラダイス」が静岡県 伊東にあります。その名も「まぼろし博覧会」。熱海周辺は秘宝館に代表される怪しい展示施設がいくつかありますが、ここはその筆頭と言っても過言ではありません。北関東から静岡はびっくりするくらい遠かったですが、お盆休みに行ってきました。

 統一感のある様で無い様な展示に圧倒的な色と情報量。展示はしてあるものの手入れは行き届いておらず、退廃的な美しさすら感じさせるその施設は、探偵ナイトスクープ的な「パラダイス」と呼ぶに相応しい場所です。廃墟感はあるものの毳毳けばけばしい色味は活かしたいので、最近X-T5に追加されたReala Aceにグレインエフェクトを少し足して撮り歩いてきました。2時間くらいかかりました。

 いきなりこれですよ。鯉のぼりが彩り要員としてとにかく多用されているのにも驚きですが、本来目を背けるべきモノをキレイに装飾して目の当たりにされる気分で、谷崎潤一郎の変態小説を読んでいる時の感覚に近いものを感じます。もしくは「ミッドサマー」の終盤。
(最後の写真、Daft Punkで見たことある気がする?)

 展示の退廃感とは対称的に、展示されている人形やマネキンが美形なのがまた異様に映ります。鉱山跡の展示に超絶イケメンな蝋人形が使われていることがよくありますが、それとはちょっと印象が違います。少なくとも美形であることで逆説的な笑いを取りにきている感じではないです。和人形の懐にポケカが刺さっているのはちょっとした小ボケ。

 浅からぬ繋がりがあると思っているのですが、そもそもこの展示施設のコンセプトに「他所で廃棄されることになった展示物を譲り受けて展示している」というものがあり、その中には全国に点在していた秘宝館が含まれている様です。よく見るマネキンと違い卑猥に造形された「秘宝」が白日のもとに晒され埃や植物に覆われている姿に、退廃主義がなんやかんやで耽美主義に合流していく何かを感じますし、単純にスケベがウケるサブカルに寄っていっているだけにも思います。

 かと思えば「大仏殿」なんてエリアもあり、巨大な聖徳太子像や仁王像なんかも展示されています。仁王像と馬頭鬼・牛頭鬼は他から譲り受けたものだそうな。その他にもお社があったり地球外生命体の展示があったり、展示の一つ一つをじっくり見ていたらとても1日では足りないと思います。空調も無い、というか全体的に温室の様な作りになっているので、いろんな意味で長居は危険だと感じました。


 廃墟めぐりとパラダイス探訪を兼ねた旅行のつもりで立ち寄ったのですが、想像以上に芸術的で毒の強い場所でした。あまり写真には残さなかったのですが、全国の閉鎖した秘宝館から取り寄せた展示物を並べたエリアはエグみが強くてちょっと受け付けないレベル。上記のHPに詳細はあるので、気になる人は覗いてみてください。

 これを退廃的な芸術と呼ぶのか、卑俗なサブカルチャーと呼ぶのか、パラダイスと呼ぶのか。人によって受け取り方は様々だと思いますが、どれかが刺さる人には刺激的な場所だと思います。ただ個人で訪問する分にはいいですが、複数人で行く場合は嗜好性が合う仲間内で行かないととんでもない空気になりそう。

【撮影情報】
カメラ:X-T5
レンズ:Sigma 18-50mm F2.8 DC DN
撮影場所:静岡県 まぼろし博覧会
撮影日:2024/08/12

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