農家、箱推し
突然ですが「生産者の顔」、見たいですか?
最近、透明な袋に詰められた野菜のラベルに「スズキシゲノブ」とか「タナカトシアキ」とか知らないおじさんの名前が書かれていることが増えた。道の駅に行けば、さらにそのおじさんの顔写真まで貼り付けてあったりする。たいがい無表情。「生産者の顔」が見える農作物、だと言う。
そういうことじゃないんだよな〜、と思ってしまう。まるでスズキ某さんにすべての責任を押し付けているみたいだ。
なぁんか苦しい。
もちろん顔を出してもいいくらい安全な野菜を作ってますよってことなんだろうけども…。
でもそれって、カタチだけになってない?
名前と顔、載せときましたよ、それでよろしいんでしょ?っていうやっつけ感を感じる。(めんどくさい消費者ですまないとは思っている)
わたしが知りたいのはスズキ某さんが育てたというキャベツは入り口付近で陳列されているキャベツと何が違うんですか、ということであって、名前や顔じゃない。そもそも、日本のスーパーに並ぶような野菜は、どれもかなり新鮮で安全で、生産者の努力や結晶だ。スーパーでも、品質管理は徹底されている。外国では、というと主語が大きすぎるので、少なくともわたしが見た限り、オーストラリアでは腐った野菜と新鮮な野菜が同じ場所に並んでいることはザラにあった。韓国、台湾、ベトナム、カンボジアも然り。
名前が書いてあるからと言って、どこかの誰かの顔写真が貼り付けてあるからと言って、その野菜の価値がかわるだろうか。他人の名前や顔が、野菜を選ぶきっかけになるんだろうか。なるんだろうな。実際にそういうラベルのついた野菜には、根拠のない安心や新鮮さがただよっているから。
ずっと抱いてきた違和感に、ひとつの解決策を提示してくれた農家がある。
その名も…
チームしんすけ農場
(兵庫県姫路市豊富町神谷990)
オタク用語に詳しくない方に向けて、タイトルを手短に説明すると、箱推しとは「グループ自体が好き」という意味。
ここからは推し語りになりますので悪しからず。
♢
推しとの出会いは、以前住んでいた家から徒歩5分のスーパー。週一回の買い物で、地元野菜を販売するコーナーを必ずチェックしていたわたしは、艶々とひときわかがやくトマトを発見する。
姫ファーストトマト
姫フルティカトマト
どちらも中玉の真っ赤なトマト。透明なビニールの手提げ袋に入って売られていてミニトマトと普通のトマトの間くらいのサイズが10個以上入っていた。700円〜1000円ちょっとだったと記憶している。
とにかく果肉がしっかりしていて、フルティカトマトのほうはすんごく甘い!
フルーツトマトのような甘さというよりも、本来のトマトらしい酸味にうまく調和した甘さだと感じる。
生命力に満ち溢れていてパンっとハリのある皮に、味の濃い果肉。ゼリー状の部分が少なく、どぅるんを感じないトマトのジューシーさ。
桃太郎とまと、カゴメ高リコピントマト、シュガートマト、フルーツトマト、今までオーソドックスなトマトは大体食べてきたけど、どのトマトより好みの味だった。
というか、「トマト」の味がした。
え〜、トマトの味ってあの水っぽい酸っぱいのでしょって、もし、もし、思ったなら、どこかの直売所に行って採れたてトマト食べてきて!できればしんすけさん(友だちか?)のトマトがいいけど、通販はしていないので…。
話を戻して、しんすけ農場さんがどんな解決策を示してくれたのかというと…
ラベルにちょこっと解説つき〜!!
(こういうのをブランド化っていうのだろうか)
ね、親切でしょう。スーパーの入り口付近に陳列されている有象無象との差別化が上手でしょう。
(注)ここでは農薬の是非については議論しない。農薬のおかげで、わたしたちの豊かな食卓が成り立っていていて、農薬は悪だとか、正しいとか、そう簡単な話ではないと思っている。
見て欲しいのは、農薬減に取り組んでいるところではなく、このラベルからこだわっていることがわかる、ということ。前回の推し農家記事でも紹介したが、やっぱりわたしは生産者の「こだわり」にひかれるらしい。熱意、と言ってもいいかもしれない。こだわっているということはそれだけプライドをもってやっているってことだ。
名前を書くからには、消費者に何をアピールしたいのかを明確にする。少なくともこのラベルは、やらせじゃない。顔写真や、フルネームが載ってなくたって、絶対おいしいやん!ってなる。
きっかけはこのラベルと、艶やかにかがやくトマトたちだったが、推しポイントはこんなもんじゃない。しかしここに書くには長くなりすぎるので、一旦切ります!ということで、カバー写真にジェラートを使った理由は次に持ち越し。
次回、会える、推し農家!
姫路市の公式チャンネル、10:08からチームしんすけ農場さん。でもこの動画見てもしんすけさんのトマトのおいしさはなかなか伝わらんのよ(涙)
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