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#9 オリバー・ストーン オン プーチン

こんにちは!
ロシアのウクライナ侵攻が始まってもう2ヶ月以上が経ってしまいましたね。終戦は年内に治れば早い方だという報道を見ました。

今回と次回は、ロシアにまつわる作品をご紹介しようと思います。と言っても、なぜこの戦争が起きたのか、ということやエネルギー問題については多くの方が色々な形で発信されているので、ちょっと違う観点から書いてみようと思います。
まずはこちらから…

※今回は2作とも映画ではありません

オリバー・ストーン オン プーチン

ハリウッドを代表するアカデミー賞®受賞映画監督オリバー・ストーンは、約2年以上にわたり、現ロシア連邦第4代大統領ウラジーミル・プーチンに、いくつものインタビューを重ねた。インタビューには、テーマもリミットもない。プーチンのプライベートな部分、政治家としての部分、共産主義の下で過ごした幼少期から権力を握るまでにのぼりつめた現在まで。また、彼が築いてきた米大統領との関係性など、様々な事柄について語りつくされている。ストーンは、アメリカがプーチンを敵視する中、アメリカ人インタビューアーとして、あらゆる出来事に対するロシア及びプーチンの考えの真相を徹底的に追求している。全4回で構成された“平和と善意”を求める濃密なドキュメンタリー。(C)2017 Komandir, LLC. All rights reserved.
Amazon Prime Video

あらすじのとおり、現在ウクライナを攻撃している張本人プーチン大統領に、有名な映画監督オリバー・ストーンがインタビューをするドキュメンタリーです。おそらく2015年前後頃の収録だと思います。

プーチンの生まれ育った環境の話に始まり、政治家になり大統領に就任する過程や、その時々で何を考え選んだのか、ということについてオリバー・ストーンが質問を投げかけていきます。面白いのは、その時ロシア(ソ連)という国がどんな環境・状況だったか、他国との関係はどうだったかということにも適宜触れられていくので、プーチンという人物が生きてきたロシアという国とその歴史的事情について知ることができます。

私はチェチェン戦争など知らないことがいくつかあったので、調べながら見ましたよ。

語弊を恐れずに言うと、率直な感想は「このオジサン(プーチンね)、かっこいい」ということ。
オリバー・ストーンは一般的な質問だけでなく、「多くのアメリカ人はあなたについてこう思っている」というヒヤっとする質問も堂々と投げかけていきます。それに対して、全く動じず、感情をあらわにすることもなく、自分サイドの意見を淀みなく返答します。時にはジョークにして返す場面さえもありました。

一国の、しかも複雑な歴史と事情を抱えた大国の大統領。敵国の有名映画監督だろうとひるまない。むしろ2年にも及ぶインタビューを許可しているなんて。そんな貴重な映像をAmazon Primeで見れるのってすごく贅沢ですよね。他の国の首長でも珍しいと思いますが、そのなかでもアメリカ人⇒ロシア大統領ってより貴重なのでは、と思います。

(個人的には、おじ様のニコっとする笑顔が好きなので、プーチンとオリバー・ストーンが談笑してるのを見るとキュンときますね(いや、大真面目なドキュメンタリーなんですよ、ほんとに)。
でもプーチンの現在の容姿と比較しても、若さとエネルギッシュさでかっこよく見えちゃいます。)

世界の見方を変えてみる

このドキュメンタリーを見ていて思い出したことがあります。私にとってはわりと深めに考え方に影響をした出来事です。

たしか大学のオープンキャンパスでの模擬授業だったと思います。ある国際政治経済の教授がスライドに世界地図を映しました。私たち日本人がよく見る日本が中心にあって上に北極がある地図です。
それをこう見たらどうですか?と言って、
ちょうど中国目線でアメリカが見える向きにくるっと回したんですね。

そうするとどうなるか。
結論を言うと、いかにアメリカにとって日本列島が大事な存在なのかがよーく分かります。
太平洋を挟んでちょうど砦のようになるんですね。

遠く離れたアメリカにとって中国を攻めようとした時に、日本は燃料の補給基地にもなるし、もしかしたら交渉材料にも、壁にもなる。
同時に日本にとっては、大国アメリカに守ってもらう口実にもなります。

まだ未熟で歴史を"流れと用語をただ覚える科目"だと思っていた高校生の私は、「他人(他国)の目線になる、その立場になって物事をみるってこういうことなのか」とビビっと衝撃を受けたのをよく覚えています。今思えば地政学の基礎というか、心得だったんですね。
(もちろんこの大学のこの先生のいらっしゃる学部を受験して入学しましたよね笑)

それ以来、ニュースでただ表面的に取り上げられる事柄を鵜呑みにせず、悪者にされている側の事情にも関心を向けるようになりました。
このドキュメンタリーはまさにそんな目線になれる作品なのではないでしょうか。

インタビューの中でプーチンはメディアで見聞きする情報とは異なる「ロシア側の主張」を答えます。こうわざわざ文字にすると当たり前のことなんですが。
人間は自分の都合で物事を考えるから、プーチンとロシアに都合の良い見方でしかないんですよね。(逆を言えば、私たちが安易に見聞きできる情報は、我々サイド(欧米・日本・マスメディア)に都合がいい情報だけってことでもあります)

一定の知識がないとプーチンの言葉が世界共通の常識であるかのような勢いで頭に入ってきます。そりゃ、あの時戦争を仕掛ける十分な事情があったんだね、という風に…
特にオリバー・ストーンもインタビューアーという立場で、議論しにロシアに乗り込んでいるわけではないので、アメリカやヨーロッパ諸国の意見と違う見解を述べられても否定や反論はしません。

自分が持っている価値観や知識があって、そこに逆だったり遠い立場の人間の主張を知った時にどう考えるか。答えのない問いです。
このドキュメンタリーを見ながらその両方を行ったり来たりしてみるのも面白いと思います。

周りを海に囲まれて、ほとんどその中だけでわちゃわちゃと歴史を紡いできた世界でも珍しい変遷を持つ日本に生まれ育った私たちにとっては、
戦争で領地を取り合うことで歴史を紡いできた大陸の国々の価値観を理解するのはすごく難しいと思います。
理解できなくても触れてみる、しかもそれをプーチン自身の言葉から知れるこのドキュメンタリー、ぜひ見てみてください!

さいごに

いかがでしたでしょうか。
こんな重たい記事を書いておいて、2作目は……先にお伝えしますが、コメディタッチのドラマです。
なんなら史実にはあんまり忠実ではないようです笑

次回も気軽に読んでいただけると嬉しいです!

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