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【紙の本で読むべき名作選#29】真に労作というにふさわしい「戦国大名勢力変遷地図」で電子書籍を越えてゆけ!

戦国大名の勢力圏分布図というと、高校の日本史の教科書や参考書に収録された地図がイメージされる。このような地図では、1か国以上を統治する戦国大名については、その勢力圏が着色されて表現される一方、戦国大名という名にふさわしくない中小勢力については、家名だけが表記され、勢力圏が特定されることはない。(中略)本書では、稗貫氏や田村氏のような中小勢力まで勢力圏を特定して着色するように努めた。(日本実業出版社 戦国大名勢力変遷地図(外川淳):8ページ)

この↑言葉が、いかに本書が労作であったかを物語っています。

著者が強調しているとおり、本書の特徴は「勢力図をハッキリと直線で区切り、色分けること」。ありがちな戦国時代の勢力図というやつは、「どこまでが〇〇家で、どこからが●●家の領土だったのか、ハッキリと線を引けない曖昧な地域」については点線で表現して逃げたりするのですが、本書は「曖昧な地域については著者の推測を混じえてすら、とにかくハッキリと日本全国に線を引き、色分けをしたこと」。

それゆえ、見やすさ、わかりやすさという点では同類の書の中でも破格の良書になっています。

戦国時代が好きな人にはよく伝わる芸の細かさが随所にありまして、私が感動したのは、現在の岡山県(備中)だけで以下の細かさ!

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ちっぽけな地方勢力についてもできるだけ省略しないという意気込みが伝わってくるのでした。

こういう本を手元でパラパラめくってみると、歴史についても「いろいろと思い違いをしていた」ことに気付かせられたりするのが面白い。

たとえば九州の戦国勢力図。

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私は長らく、鹿児島の島津家というのは戦国時代の最初から強豪だったものと誤解していましたが、領土的にはそんなに大きくない状態からのスタートだったのだな、と気づかされ。そもそも大友家が一時は九州でこんなに優勢だったのですねー。

などなど、眺めているだけで勉強になるのは、まさにこういう、ビジュアルに強い紙の本の特権ではないでしょうか?

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子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!