【紙の本で読むべき名作選#11】「サダト最後の回想録」で電子書籍を越えてゆけ!
アンワル・ア=サダトという、エジプトの大統領をご存知でしょうか?
ビジネス書の名著として有名な『七つの習慣』でも言及されている人物なので、そちらのラインから名前を知っている方も多いかもしれません。
エジプト革命を指揮し、第四次中東戦争を指揮し、シナイ半島返還とイスラエル単独和平を成し遂げてノーベル平和賞を受賞した、怪物的な政治家です。
平和賞受賞者とはいえ、イギリスに対するテロや、反対派への弾圧、イスラエルへの軍事攻撃など、さまざまな武力行使も指揮しているので、我々日本人の基準からみると善人とは思えないかもしれませんが、私は10代の時にこの人物の伝記を読んだことで、「中東圏の政治家というのは凄い」と圧倒された次第。
そのサダト最晩年の回想をまとめたのが、こちらの本です。
私はこの本がとても好きで、英語版も買って、書棚に揃えております。
何がそんなにいいのかと言うと、第七章ですね。
男の人生には、どうしても自分自身と真摯に向き合い思索せねばならない時が、二つある。戦争の時と、投獄されている時だ。
という意味のことが、第七章の冒頭にあります。若い頃に逮捕され、食事もろくろく与えられない、害虫だらけの牢獄に監禁された時、彼はひたすら自己の内面と向き合い、自分の生きる意味や、生きている間に為したいことを、徹底的に吟味していたそうです。そして牢獄から解放された後は、政治の道を歩み、反対者からの脅迫も物ともしない強靭なリーダーに大成したわけです。
ありがたいことに日本に生まれた私は、「戦争の時」も「投獄されている時」もこれまで迎えたことはありませんが(!)、ただひたすらに自己の内面と向き合う時間を時には作るべし、というテーゼには、ひたすら共感し、できるだけそのように生きたいと心がけています。
このニュアンスは、女性には特に伝わりにくい話かもしれませんね、、、。ただし、中東の政治家というのは、これほどの生き死にスレスレの極限状態で意思決定を下し続けている人もいるのだと知ることは、良いか悪いかではなく、「世界の現実」として、知っておくに越したことはないと思います!
今度の読書対象として、この「サダト最後の回想」を手に取り、エジプト大統領の激動の生涯に触れてみるなど、いかがでしょうか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?