【読書好きとしてのノウハウ公開#12】ハイジャックされた機内でドストエフスキーを読むこと
今回は私自身のノウハウではありませんし、そもそも普通はあり得ないシチュエーション(そう願いたい)での読書のあり方とはなりますが、
「読書によって人生観が変わったハナシ」としていちばん好きなエピソード、日野原重明先生の話を紹介させてください!
そもそも日野原重明先生が、
よど号ハイジャック事件にたまたま巻き込まれ、
人質にとられていたというだけで、凄い話です。
その膠着状態の中、犯人グループが「人質に本を貸す」と言い出し、
それならばと手を挙げた日野原先生に
貸し出された本が『カラマーゾフの兄弟』だったというのも凄い
そして『カラマーゾフの兄弟』をハイジャック下の飛行機の中で開いた日野原先生が、
「いのちとは何か、死とは何か。そのとき私は深く考えたのです」と医師としての使命に開眼した
というエピソードが凄い。
そもそも『カラマーゾフの兄弟』は、赦しと人類愛の小説。日本刀を持った過激派に人質にとられている中で「人類愛」を語る本を開くというシチュエーションに私はいたく感動したものでした。
本当に強力な小説は、読む人を奮い立たせ、何らかの使命感に目覚めさせる力もある。
そういうエピソードとして私は日野原先生の話を受け止めました。
※このエピソードは『生き方教室』という本の第二章「よど号事件で生き方が変わりました」に細かく書かれています
ともかく日野原重明先生という人は、「百歳まで現役でいられるための健康法を語るやさしいおじいちゃん」だけではない!
戦争体験、よど号ハイジャックの体験、そしてたくさんの患者の死を看取った体験から語られるコトバは、まさに生と死の極限を見続けた人のコトバとして重みに溢れ、私たち後発世代にも重大なキーワードを投げかけてきてくれるのでした。
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