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雨宮処凛さん著『自殺のコスト』を読むとどんなに辛くても「死なずに生きて逃げたほうが正しい!」と気づく、これは労作

ゲテモノ本ではありません。大人が知っておくべき、社会知識の本です。過去事例から、「自殺すると、後に残された人にはどれだけの負担が残るのか」を細かく調べた、お金の本です。

ある人が自殺すると、これだけのお金が剥ぎ取られる、という事例の丹念な検証本。鉄道会社からの請求、事故物件にされた大家からの損害賠償、生命保険会社からのなんだかんだの「支払い拒否」なども絡み、どえらいことになる。

一人が自殺しただけで、これだけハゲタカのように、請求書を持った有象無象が攻めてくるのだ。彼らの方も必死で一円でも巻き上げようとしてくるわけで地獄絵である。

こんな奴らに金を払ってたまるか!と思うと、責任感の強い人ほど、自殺は割に合わないと思い、この知識は抑止力になるのではなかろうか!

というわけで、私なりの結論。

どんなに辛いこと、苦しいことがあっても、「自殺して責任をとる」なんてのは、ナシである。「死んで詫びたほうがマシでは?」というようなことがあっても、「自殺したらこんなにたくさんのところから金をむしりとられるので、アホらしいから死ねません」となる。たとえばどんなに仕事で辛いことがあっても、自殺されるよりはバックレてくれたほうが、まずは家族や親族のため、結局は世の中のためなのだ!

だからとりあえず何事も、まずは生き延びましょう。死ぬよりは、生きたままとりあえず逃げましょう!そしてもし親しい人に追い詰められている人がいたら、「どうにもならないなら、逃げちゃっていいよ!」と言えるようになりましょう。

少なくともこの本に書かれていることを知識として持っておくだけで、「卑怯と言われようと何を言われようと、死ぬよりは生きてどこかに逃げるほうが絶対に周りにとっても正しい判断」と自信がつくでしょう。

労作であり、かつ、見事な「現代日本人のための啓蒙書」と思います。結局、カネ、カネ、カネ。日本社会に対する見方も一段、変わることでしょう。


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