「スペインに行ったことがないスペイン語講師」の著したスペイン語本の内容にすこぶる共感した話
「スペイン本国に行ったことがあるスペイン語教師と、行ったことがないスペイン語教師では、前者のほうをみんな信用するよね。でも、それで本当にいいの?」
うーん、言われてみれば、たしかに、そうですね。
「フランス語の教師なら、フランス本国に行ったことありますよね?」「ドイツ語の教師なら、ドイツに留学してますよね?」という無言のプレッシャーがありますが、
「その言葉が話されている本国に行ったことがある人のほうがいい教師ってわけでもないよね」。たしかに。
だいいちその理屈では、極端な話、障害や病気で自分では自由に動けない方は、どんなに勉強しても良い語学教師にはなれないということになっちゃう。でも、そんなことはないですよね。
その理屈に切り込んできたスペイン語関連書を見つけたので、紹介します!
『語学の西北』の著者の方は、ひたすら南米派なスペイン語教師!
著者の方は、「意図したわけじゃないけど、南米の国にばかり縁があって、スペイン語教師なのにスペイン本国には行ったことがない。でもそれって別にいいよね?」と主張する、剽軽な方。
この本はスペイン語の専門書というよりも、著者の方のキャラクターを前面に出した、「スペイン語に関すること」および「語学を学ぶこと」一般についての雑学集・エッセイ集というところです。共感できる人と、できない人とに、分かれるかもしれません。
でも、この方は「スペイン本国のことはよく知らない」かわりに、南米の事情にはめちゃくちゃ詳しいです。
それもそのはず、南米ペルーに留学していたという、これはこれで珍しく興味深い経歴を持っている方なのです。
停電・断水が日常時、それでいて人々はおおらか、という家庭にホールステイしていた経験談だけでも、とても力づけられる内容です。
どうやら南米でも「言葉のなまり」から出身国を当てる遊びがあるらしい
この本によると、ペルーに何年か住んだ後に、南米の別の国へ旅行すると、まだ自己紹介もしていないうちに「最近のペルーの景気はどうなの?」と声をかけられるそうです。言葉遣いで、どこの国に住んでいるのかがわかっちゃうそうなのですね。
この話に関連する面白い動画も見つけました。
「登場する人たちの話すスペイン語の訛りから、どこの国の方かを当てよう!」なオモシロ動画ですね。
日本のバラエティ番組でも、「言葉や雰囲気で、なんとなくどこの出身か当ててみよう」なんて遊びがありますが(もちろん、差別的にならない、「地域差」への愛のある範囲で!)それと同じですね。
残念ながら、私のスペイン語のレベルでは聞き分けはできませんでしたが、雰囲気は伝わる動画です!※四番目の方については、みんな、「あ、これはカンタン、アルゼンチン人だね!」と盛り上がるのは、アルゼンチンのスペイン語ってそんなに特徴的なんでしょうか...?
「そもそもスペイン語ってのはスペイン本国だけのものじゃないんだ」という主張に共感!
この本では、こんなことが言われています。
「だいいちスペイン語って言っても、もはやスペイン本国のものじゃないんだ。○○国のスペイン語、○○国のスペイン語、と、いろいろあるんだ。その多様さをむしろ知ってほしい」
「そもそも言葉って、そんなふうに、多種多様に広がっていくことが面白いんじゃない?」
「そういう意味では、スペイン語っていう呼称をやめて、『英語』みたいな、具体的な国名が入らない呼称にしたほうがよいかもしれませんね」
聞けば聞くほど、スペイン人の方はムッとしそうな話ですが(あとイギリス人の方も?w)、言わんとしていることは、よくわかります。
「語学をマスターする」という道は、もう少しおおらかで自由でよいのでは?
「語学をやるなら、その国に一度は行かなくちゃ」
「読み書きができても、その国に行ってネイティブの人と徒手空拳で意思疎通ができなくちゃ、語学名人とは言えないよね」
などなど、語学に関してだけはどうしていろいろと不自由な「こうでなきゃ」プレッシャーがあるのかとは、私も常々疑問でした。
「英語のメールのやりとりは得意だけど、英会話は下手なの、笑」「TOEICでの点の取り方は教えられるので、TOEIC対策教師はできますが、実際のコミュニケーションはたいしたことないです、笑」などなどの、「笑」の部分の余裕が、すごく大事じゃないですか?
私も、このnoteでお話ししているとおり、「一つの言語を極めるよりも、生涯にできるだけ『ある程度はできる』言語を増やしたい」というモチベーションで生きている人間ですが、
それゆえに、個々の言語(とくに英語)を実際に使う場に行くと、どこにでもいる「おせっかいな達人」に「お前はたいしたことねえな、フフン」みたいな扱いを受け、不愉快な思いをします。面倒なので、最近は、わざと英語ができない人のふりをして集団に紛れて黙っていることすらあります。これはこれでよくないですが、、、。
この本の著者の方も、もしかしたらスペイン語教師の間で、「お前はスペイン語教師なのにスペイン本国には行ったことがないそうだな、フフン」と言われたような不愉快な思いがあったのではないか、と余計な邪推をしてしまうほど、「スペイン本国を知らないスペイン語教師」をしつこく肩書きとして名乗ってくる本なのですが、スタンスとしては、おおいに共感した次第なのでした!
子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!