見出し画像

2年ぶりの帰郷に思うこと。

朝5時に起床し、夜10時に寝る。
制限のないGWを利用し、約2年ぶりに故郷である富山で過ごした。

新幹線かがやきを下車し、改札を出て駅の中を見れば、全く見慣れない景色が広がっていた。路面電車と地鉄路線を活用し走行しているポートラムの乗り場を探すのに苦労した。昔は駅の外に乗り場があったのだが、見事に駅構内を貫通し、富山駅の北と南を繋いでいる。5月とは思えない寒さに歯をガタガタ言わせながら、まるで他所から来た旅行者の如く挙動不審な装いで乗車する。

新幹線下車時に撮影。
富山地方鉄道 富山港線(路面電車)ポートラムとは車両の名前で、他にもセントラムやサントラムがある。


今の実家は私が幼少期から小学6年生まで過ごした場所だ。その頃の私は多感な時期で、家族や近所に平気で迷惑をかけるような、とてもヤンチャな子供時代で、恥ずかしながらその恥部とも言える痕跡は今も残っているのだから目も当てられない。
私の母も祖母も、一度話し始めると相手のリアクションを問わず、物凄い勢いで話し続けるマシンガントーカーなので、私はただひたすらその言葉の弾丸を浴びながら黙って頷くだけである。こちらから話題を提供しても応えてくれないことがほとんどだからだ。ただ思うのは、家族の誰一人として大きな病気に罹ることなく元気に生活していたことには心から安心した。

私が実家で暮らしていた生活といえば、朝・昼・晩の食事に風呂付きで、洗濯物を出せば洗い終わって畳まれた状態で渡されるような、高級ホテルさながらのサービス提供を毎日受けていた。どれほど恵まれた環境であったかと知るのは、家を出て一人暮らしを始めてからだ。そこで感謝を覚えられるか否かで、その後の人生を大きく左右するのではないかと思う。家族であれ、自立した者は子供の頃と同じように、無償で何かを与えられて当たり前ということはない。親孝行というものは、そういった考えから生じるのではないかと思う。

幼少期の頃から食べさせてもらっていた鰻重。これを家族にご馳走できるくらいにはなったと。

翌日、高校生の頃からの友人2名と再会。富山に帰省すると必ず訪れる居酒屋へ。物凄い人気のお店で、予約が取れたのは奇跡だというから、しっかりと押さえてくれた友人には感謝しかない。次回からは余裕を持って帰省日程を伝えようと心に誓った。

訪れたのは、富山駅から徒歩5分の場所にある醍醐プレミアム。店員が元気よくて良き。

鮮魚と日本酒が好きな人からすれば天国のような場所で、富山の地酒をはじめとした日本各地の有名な銘酒が揃う。今回だけで飲んだ日本酒は以下の通り。

  • 富美菊酒造『羽根屋』(富山)

  • 新政酒造『No.6』(秋田)

  • 富久千代酒造『鍋島』(佐賀)

  • 高木酒造『十四代』(山形)

  • 林酒造『林』(富山)

  • 三浦酒造『豊盃レインボーラベル』(青森)

他にも飲んだような気がするが正直うる覚えである。日本酒を知っている人なら「えっ?」と思うものもあるのではないだろうか。これほどのラインナップを一つの場所で飲める場所はなかなか貴重だと思う。ちなみに、清都酒造『勝駒』はしっかりとリカーショップでお土産として購入済みである。
徳利に注いでもらい、それを3人で分けてお猪口でいただくというスタイルなので、まさに試し飲みである。一見「そんなに飲んだの?」と思われがちだが、酔っ払うこともなくスイスイと飲めてしまうのが銘酒たる所以である。

富山湾が誇る鮮魚たち。奥にあるのはホタルイカの唐揚、右にあるのは白エビの造り。
『十四代』は奮発した。まるで体に吸い込まれていくような飲み口。

私がクラフトビール好きであることは友人二人もよく承知しており、富山市総曲輪にクラフトビールを提供するお店があると聞き赴くことに。なんとこの場所は子供の頃に訪れた西部デパートの跡地であるというから驚きであった。
7種類のクラフトビールがあり、私がそこから選んだのが志賀高原ビール『ゆる2ブルWheat』Alc.7.5%、IBU(苦味指数)43で、Imperial India Wheat Aleだ。小麦麦芽と大麦麦芽のみを利用し、アメリカンホップ3種類を主体にオーストラリア品種も加えた4種類のホップを使っているとのこと。強烈なホップの香りと、小麦ならではのマイルドな飲み口……なのに後味はドライで、柑橘とトロピカルな味わいである。まあつまり、私が大好きなやつだ。
他にも富山で製造したクラフトビールもいただきたかったが、流石にお腹いっぱいということもあり一杯だけとなった。次に訪れた時は他のも楽しんでみたい。あと店員との距離が近いカウンタースタイルなので、他のお客は店員と語り合っている様子も微笑ましかった。こちらの会計時には「True Tearsの話してましたよね?あれは富山が誇る神アニメですよね」と言っていたので個人的に好感度が爆上がりである。

総曲輪BASE。中は横丁のようなスタイルの酒場が集っている興味深い場所。
『ゆる2ブルWheat』友人は「見た目オレンジジュースみたい」と言っていた。

帰りの途中で富山市唯一の繁華街である桜木町の中にある、ラーメン幵(けん)に入るというカロリー過多コースへ突入。明らかに煮干しを売りにしているラーメン屋さんなのに、私はなぜか富山ブラックを注文するという、完全に他所からやってきた旅行者と化していた。
ちなみに桜木町は私がまだ社会人なりたての頃に、大人の処世術を学んだ思い出深い場所だったりするのだが、詳しくは割愛する。

久々に食した富山ブラックは大変(濃い)美味しゅうございました。


そして、今まさに東京へ向かう帰りの新幹線の中でこの記事を書いている。
こうして振り返ってみると、富山という故郷があり、迎えてくれる家族があり、美味しいお酒と魚をいただける場所を用意してくれる友人たちには、感謝の気持ちしかない。今となっては恵まれた故郷での生活は私にとって非日常であり、都会での生活は日常となっている。過去に当たり前であったことは、今や当たり前ではないという現在を噛み締めながら、これからの未来を強く生きていこうと思ったのであった。

この記事が参加している募集

休日のすごし方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?