介護職のススメ


僕は老人ホームでケアマネージャーとして働いてる。

入居者さんの、生活を支える計画を立てる仕事。



ちょっと前から、
左膝が痛い様子の入居者さんがいる。
記憶障害があるので、なぜ痛くなったのか、
詳細はわからなかった。


何度かこけていて、
数ヶ月前に骨折。

手術して歩けるようになって、
でも不安定だから見守って、
だいぶ動けるようになって、
また転倒してしまって…
今は部屋の中は這って動いている。


痛いこと、歩けないことを忘れて動いてしまう。

安静にしてくださいね〜と声をかけても、
あんまり意味はない。覚えられないから。

なので、動いてもなるべく怪我をしないように、
考えて考えて、配慮することになる。

なぜ動くのか?

お手洗いか?
寂しいのか?
お腹空いてるのか?
耳が聞こえにくいからか?

じゃあ、こうしてこうして…。
と、対策を練る。


ご家族にも、
『これこれの対策をしますが、それでも動いてしまわれるのを縛って止めるわけにはいかないので、お怪我の可能性があるのは、ご理解下さい。』と
断りを入れなければならない。


介護は基本的に、拘束は虐待になるのでできない。

市に届を出せば絶対できないわけじゃないけど、
緊急性、非代替性、期限、をクリアする必要があり、まずやらない。

その方の命を守るために、
治療のために拘束せざるを得ないことがある
医療とは違い、

介護は生活を支えるためのもので、
生活を守るために縛る、
は、イコールにならないので。

なので、関係性ができていないご家族とかだと、
『施設入れてるのに、転倒するってどういうことですか?!』
みたいな意見を聞くこともある。

一瞬なんですよ、こけるのって。
ずっと横にいてるわけじゃないですし。


ご家族へ。
絶対にこけない方法は、
絶対にベッドから動かない事です。

外に出たら車に轢かれるかもしれない…
と思うなら、ずっと家のベッドの上にいなはれ。


あ、また悪い口が…


この方のご家族は、断然理解のある方。

転倒リスクを理解した上で、
動けるようになるために、
協力してくれている。




葛藤がある。

動けるようになってほしい。
でもこけて欲しくない。

前にも多分書いたことがあるけど、
介護には、正解がない。

いや、どんな仕事にも正解がないのかもしれないけども、

何せ、生活を支えるという仕事だから、
余計に『これが満点の対応』というのがない。

歩いてもらうのが良いけども、
移動の自立、自分の好きな時に自由に動く、
という点で考えれば車いすでだって良い。

極端に言えば、自分の部屋の中なんか、
這って動こうがその方の勝手。



正解がない分、

いろーんな視点で、
いろんな道具で、
いろんな人に助けてもらいながら、

その方の生活が、
ちょっっっとでもマシになるように、
グチャグチャに悩んで、決断する。


介護ってそんな仕事。


楽しいですよ。



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