その人になる。
僕は老人ホームで働いている。
ここ最近はグチ投稿が多かった。
だいたいが人間関係。
#さすがですアドラーさん
しかし、noteで吐き出す、
つまり文章にすると
自分がどんなことで悩んでいるのかが
文字通り目に見える。
文章にすること自体が難しくて、
それがまた楽しかったりするので、
これからも絶賛グチ吐き投稿は続きます。
#よろしければお付き合いください
とはいえここ最近は
本当に文句ばっかり書いていたので…
ここらで、
【介護やってて良かった瞬間】を
書いてみたいと思う。
介護職に興味を持ってもらえれば、最高です。
ある入居者さん。
とっても小柄なおばあさま。
仮にKさん、とする。
Kさんは自宅に一人おられたんだけども
認知症状が進んでしまい、
一人で外出しては戻れなくなり、
出先で転倒しては警察の保護を受ける
を、繰り返していた。
息子さんがたまらず同居するが、
5分、目を離したとき
階段から転げ落ちた。
大怪我には至らなかったものの、
在宅生活を続けるのは難しい
と判断されるのも仕方なかった。
緊急でショートステイを探され、
うちに入居の問い合わせが。
ショートステイ先の採血などで
わかったんだけども
低栄養になっておられ、
病院で治療するべきか、
迷われるほどだった。
でもそのうち食事も取れるようになり、
逆に動き出してしまい、
ベッドから度々転落されるようになる。
一旦は落ち着いたので
うちへ入所することになったが、
ご入居されたからといって、
認知症状が良くなるわけではない。
むしろ、移り住みの害
リロケーションダメージと呼ばれる
環境の変化から、悪化することも多い。
Kさんもそうだった。
入居してしばらくは
ベッド上でおられることが多かったが
体調が安定するにつれ、
活発になっていかれた。
転落は想定されたので
低床のベッドにしていたが、
やはり転落してしまい、
結局、大腿部を骨折してしまった。
病院では、
骨自体が脆く、手術は適応でない。
保存治療、つまり何もしないとなり、
立つことできなくなる。
移動は車椅子となられた。
また、極度の貧血、
低栄養も改善が乏しく、
いわゆる看取りでの受け入れ、
という話となった。
寝たきりの設定の環境。
食事は楽しみのため一日一食にし、
ご家族がお持ちになる、
お好きなものをメインで提供。
ベッド、褥瘡(床ずれ)予防のエアマット、
背もたれがリクライニングできる車椅子。
などなどを整えていった。
迎えた退院後、
おむつはずし、と呼ばれる行為が
見られるようになる。
これ自体は、何もおかしなことではなくて。
認知症状があられる方にしては、
なぜかゴワゴワするもの(オムツ)が
股間部に巻かれている。
↓
気持ち悪い。
↓
外す。
↓
排泄物が広がる。
↓
汚れが広がる。
↓
どうにか自分でしようとする。
↓
広がる。
↓
…
の繰り返しとなる。
外す心理はわかっているが、
これがなかなか防ぐのが難しい。
だって今までトイレに行ってたのに、
『はい、おむつに排泄してください。』は、
理解が追いつかないんだと思う。
病院では拘束されていたので、
おむつを外すことどころか
自由に手を動かすことすらできなかった。
Kさんは立つことができないので
トイレには行けない。
ベッドの横にポータブルトイレを置いて
排泄を試みるけども、でない。
ゴワゴワが嫌なら紙パンツだけ、
布のパンツにパットだけ、
など色々試した。
どれも一瞬は効果があるのだが、
どんどんとおむつを外すのが上手くなっていく。
最終的には、
車椅子に座ったまま、
ズボンを履いたままで、
オムツだけを短時間で外せるようになられた。
#テーブルクロス引きのよう
Kさんはどんどんと動けるようになっていく。
体調面の改善は喜ばしいことなんだが、
いかんせんおむつが…
ベッドの上できれいにおむつを外し、
下が裸になっているのを見つかると、
ちゃんと恥ずかしがられる。
#乙女
なんで外すのか?と聞くと、
『トイレに行きたいんかなぁ?』
と。
#いや聞かれても
またいつも右側の車椅子のブレーキを外され
動こうとされる。
聞くと、『部屋まで行こうとおもって』と。
排尿後に残尿測定をすると、
200から300ml程度が測定されたので、
泌尿器科に受診して、
内服調整してもらう予定。
難しいが何もしないと、
一日中おむつを外されてしまい、
毎回布団や衣類まで
汚染が広がってしまっていた。
職員さんも大変。
その辺りでふと、
【Kさん、もう看取りじゃなくね?】
と気づいた。
だってムッチャ元気やん。
ご飯も一食めっちゃ食べるし。
そこからKさんの生活を想像していく。
ご飯も食べれる。
自分で動ける。
でも一日一食にさせられてて、
動けない車椅子に座らされている。
かなり、イライラしちゃうんじゃなかろうか?
気付いてからは、
食事は三食に。
食べれる分を食べてもらう。
いわゆる寝たきり用の車いすなどは
もう今のKさんには不要。
そして、
『部屋まで行こうと思っちゃう』ぐらい
普段から動こうとされるなら、
どんどん動いてもらおう!
と、自走できる車椅子に変えたら…
劇的におむつはずしが軽減した。
原因は、…正直分からない。
活気が有り余ってしまっていた。
イライラが募っていた、のかもしれない。
だけども、
やっぱりその人に憑依して考えるっていうのは、
有意義だな事だなぁ…と身に染みた。
憑依というとオカルトめいたものに
聞こえてしまうかもしれないけども、
いたってリアルな話。
考えられるだけ自分ごととして考える。
ということ。
それができれば、
先日記事に書いた看護師さんも
そんな思考にはならないと思うんだけど。
これはあくまでも一例で。
他にももっと、介護をしていて
小さな嬉しいことはあって。
おんなじぐらい課題もあって。
毎日一生懸命になっても飽きない。
それが介護職です。
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