ライカはじめました②
(つづき)
楽しい半分。不安半分。
そんな気持ちと一緒にライカを持って町を歩いた。
いままで当たり前だった夜の撮影や暗い場所での撮影も諦めるしかなかったり、どんな風に撮れているかすらわからないままにシャッターを切る日々。
そして、現像、現像、現像。
僕が夢見たあの写真が現れることはなかった。
当時の僕はいったい何を求めていたのだろう。
目の前にいる人の最高の瞬間を写真に収めること?
写した写真を見た人たちの笑顔を作ること?
写真に写る子供たちがおとなになったとき、この町で生まれたことを誇りに思ってくれること?
僕が写真を写す意味。
それをすべて忘れてしまっていたのだと思う。
ライカに求めたのはきっと素晴らしい瞬間を収めた写真などではなく、誰かに認めてほしい。そんな気持ちだった。
当時、一部の人からの誹謗中傷や心無い噂などのネガティブな言葉に心が引っ張られてしまい、本当に心から応援してくれている人や心配してくれている人の言葉が信じられなくなってしまっていた。
自分の写真すらも信じてあげられなかった。
そして、僕はカメラを首から下げることすらしなくなった。心のどこかでは、上手く撮れないライカのせいにして。
京都で過ごした最後の2ヶ月。
ほとんどシャッターを切っていなかったことに気付くまで僕には2年近くの時間が必要だった。
たくさんの後悔がある。
本当に写したかったあの瞬間がネガに残っていなかったこと。会いたかったあの人に会いに行けなかったこと。もう会うことができないこと。
もっと写したかった。心から。
残されたネガが教えてくれたことは、
上手いとか下手じゃなく、かけがえのない瞬間を残すことの大切さ。
もう巻き戻せない時間(とき)がそこには写っていた。
会いたい人に会おう。
そして、写し続けよう。
これが僕の最初のLeicaストーリー。
大切な写真とともに少しずつ語っていければと思っている。
新しいLeicaとの日々を。
(つづく)
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