見出し画像

案件確度が高まり売上の見通しが立つ!?把握しておきたい『BANT情報』

こんにちは。BtoBマーケターです。
私はこれまで中小規模のBtoB事業会社に複数在籍し、マーケティング業務に従事してきました。

その実務経験の中で、疑問に思い直面したこと、試行錯誤したことやその解決策、「BtoBマーケティングあるある」を、noteでまとめていきたいと思います。

今回は、【BANT情報】についてまとめます。

画像1

◆BANT情報とは?

BANT(バント)情報とは、確度(見込み度合い)を判断するための条件のことで、「Budget(予算)」「Authority(決裁権・権限)」「Needs(必要性)」「Timeframe(導入時期)」の4つの条件の頭文字の略語です。

BANT情報はBtoB(企業間取引)領域の営業活動を効率的に進めるために重要です。予算、決裁権・権限、必要性、導入時期の4つの情報を得ることで、案件の見込み度を精度高く測定できるからです。

※「BANT情報」の他にもより詳細な「SCOTSMAN(スコッツマン)情報」というのもあります。
「Situation(立場)」「Competitors(競合)」「Opprrtunity(条件)」「Timeframe(導入時期)」「Size(規模)」「Money(Budget)(金額、予算)」「Authority(決裁権・権限)」「Needs(必要性、要望)」の8つの頭文字の略語です。

画像2

■「Budget(予算)」

商品やサービスを導入するための予算を確保できる可能性があるのか。

BtoBの場合、個人の財布ではなく会社の財布から導入費用が捻出されますが、年度末には次の期の予算がほぼほぼ決まっていますので、現状の予算感と併せて期のスタートがいつからかなどの情報も得られるとアプローチするタイミングが明確になります。

画像3

■「Authority(決裁権・権限)」

BtoBの場合、商品やサービスを導入する際には社内で稟議申請が必要です。

アプローチ可能な見込み客が社内の稟議申請においてどのポジションにいるのか、つまり、稟議申請をする立場なのか、申請を受け承認する立場なのか、最終承認する決裁権のある立場なのかといった情報を把握した上で接触することが大切です。

例え決裁権がない現場担当者であっても、導入の必要性を強く感じてもらい、稟議申請の承認に必要な情報を提供することで(時間はかかるかもしれませんが)導入の確度は高まるはずです。

といったように、接点のある見込み客(リード)が稟議申請においてどのポジションにいるのかを把握し、そのポジションごとに応じたアプローチをすることは大事なポイントです。

画像4

■「Needs(必要性)」

必要性を感じているのは現場担当者だけか、部門としてか、会社としてか、といった形でニーズの強さがどの程度かをより明らかにする必要があります。

併せて、解決したい課題を認識しているが、解決するための具体的な方法や手段にピンと来ていない『ニーズ』の状態なのか、それとも、課題を解決する具体的な方策・手段を求めている『ウォンツ』の状態なのかという点も確認する必要があります。

つまり、必要性を感じているのはその企業内でどの程度いるのか、また具体的に欲しい段階なのか、まだそれほど具体的ではなくフワッとした段階なのかを明らかにしたいところです。

※ニーズとウォンツに関しては下記記事をご覧ください。

画像5

■「Timeframe(導入時期)」

希望・想定している導入時期を確認します。「来年度中」といったおおまかな時期感ではなく、「来年度の第2クォーター中」「来年度の〇月までに」といったように、より具体的に情報として把握することが求められます。

つまり、「Budget(予算)」を把握することで提案する予算感が定まり、「Authority(決裁権・権限)」が把握することで導入決定≒稟議承認を得るためのキーマンや関係者といった「押すべき」対象が判明し、「Needs(必要性)」を把握することで案件確度が高まり、「Timeframe(導入時期)」が把握することで「押すべき」タイミングが明らかになります。

総じて、BANT情報を得ることができれば、受注確度の精度が高まり、営業担当のある種の「思い込み」に拠らないより客観的な見込み客・案件管理が実現します。

※BtoBの購買特性や稟議文化については下記記事をご覧ください。


画像6

◆BANT情報を得るメリット

BANT情報を得ることによるメリットは下記が挙げられます。

■受注までのボトルネックや次とるべき活動が明確になる

BANT情報を得ることで、受注に辿り着くためにどんなハードルがあるのかが具体的になります。そのため、案件ごとに次の活動が明確になります。

■組織的な営業戦略の立案がスムーズになる

個別の案件状況などが明確になるため、組織的な営業戦略の立案がスムーズになります。

■アプローチすべき対象の精度が上がる

人当たりがよく話好きな担当者だけど、稟議を申請してくれるわけでもなく、申請の承認フローにも入っていない=決裁権の無いという方もいます。

営業組織に人的リソースが豊富にあるのであれば、良好な関係を築くためにこういった方とのコミュニケーションに時間をかけるのも良いですが、限定的、少人数で営業活動をしている場合は、時間の割き方には調整が必要になります。

※マーケティング領域で似たようなケースとして、こちらから配信するメール内のページURLをすべてクリックして閲覧してくれているが、確認してみると、導入確度が高まっているわけでも能動的に情報収集しているわけでもなく、ただ受信したメールをくまなくチェックする方だったということも経験としてありました。
こういったケースは「スコアリングの罠」と捉えていました。

※あとはセキュリティの観点でメール内URLをシステムがチェックするので、送るたびにすべてクリックされるという企業もあったと記憶しています。

BANT情報を得る際のポイントとしては、直接お会いしてのヒアリングが望ましいと考えています。社内のセンシティブな情報となるのでメールなどでは質問せず、聞く際にも形式ばって聞かないというのがBtoBのお作法なのかなと。

画像7

◆マーケティングにとってもBANT情報は大切

営業活動の中で取得できる・活用する機会の多いBANT情報ですが、最終目的を売上増としている(ことの多い)マーケティングにとっても関係のないことではありません。

マーケティング側としても、見込み客を獲得し、その見込み客からBANT情報を得られれば、そのBANT情報に基づいた受注確度の高いアクションを効率よく起こせますので有益な情報です。

なので、BANT情報は得ておきたいところなのですが、「いつころ」「どれくらいの本気度で」「いくらくらいの」商品 or サービスを導入する予定で、稟議申請上の「キーマン」は誰々で・・・という情報はとてもセンシティブなので、社外の人間に大っぴらに教えられないケースが多いです。

そこで、マーケ側が得ることができる、BANT情報に間接的につながる情報が重要になることもあります。

対象のWebへの来訪履歴メールを用いたナーチャリングによる動的な情報スコアリングの数値などと過去の受注傾向と照らし合わせれば、ある程度の重要度を判別する目算は立つはずです。
(ですが、上述のような「罠」もありますので注意が必要です)

とはいえ、マーケティングで得られるのは、あくまでBANT情報の「周辺情報」ですので、どうしても限界があります。なので、セールス、マーケティング、また組織構成によってはカスタマーサクセスなどが受注、売上アップに向けて連携してアクションしていく体制があるのが望ましいと言えます。

画像8

◆最後に

BANT情報を得ることによって案件の受注確度がよりクリアになります。

そして、マーケティングの領域として、Webへの来訪履歴やナーチャリングによる動的な情報をベースにある程度はBANT情報を「推察」できると思いますが、断定的なことはやはり当人に確認しないと得られない情報であるため、時には、セールスやカスタマーサクセスなどと連動して得ていく必要があると考えています。

画像9


BtoBマーケターより。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?