自分の考えは正しく多くの人も同じと思い込む『フォールス・コンセンサス効果』
■『フォールス・コンセンサス効果』とは?
フォールス・コンセンサス効果(false consensus effect)とは、自身の意見・考え、行動が常に多数派と同じであり正常であると思い込む、認知バイアスのひとつを指します。
つまり、自分の意見や判断は常に正しく、他人も自身と同じ思考や行動をすると見なす心理事象のことで、周囲が合意してくれていると勝手に思い込むことから『偽の合意効果』『総意誤認効果』とも呼ばれています。
■フォールス・コンセンサス効果の由来
フォールス・コンセンサス効果は、スタンフォード大学の社会心理学者であるリー・ロス氏が、1970年代後半に実施した調査結果をもとに提唱したとされています。
◆リー・ロス氏の実施した実験
被験者である学生に、「サンドウイッチマン(体の前後に広告のボードを掛けて宣伝する人)」の恰好をして、キャンパスを歩き回るよう依頼。
依頼を引き受けた学生と断った学生を2つのグループに分けて、「同じことを別の学生に頼んだら引き受けてくれると思いますか?」と質問。
その質問に対する回答結果は以下のようになりました。
依頼を引き受けた学生のうち・・・
・「ほかの学生は引き受けてくれる」と答えた割合・・・60%
・「ほかの学生は引き受けない」と答えた割合・・・40%
依頼を断った学生学生のうち・・・
・「ほかの学生は引き受けてくれる」と答えた割合・・・30%
・「ほかの学生は引き受けない」と答えた割合・・・70%
「依頼を引き受けた学生」は、ほかの学生も自身と同じように引き受ける(60%)と考える傾向があり、その一方で「依頼を断った学生」は、ほかの学生も自身と同じように引き受けない(70%)と考える傾向がありました。
この実験結果によって、フォールス・コンセンサス効果の「他人も自身と同じ思考や行動をすると見なす」心理傾向があることが明らかになりました。
■フォールス・コンセンサス効果の発生する要因は2つ
この『フォールス・コンセンサス効果』は、複数人で議論する際によく発生します。
そのグループ内で得られた総意が、さらに大きな集団での考えと同様と思い込む・信じ込む傾向が強くなります。
この心理事象の発展形として、グループで得られた合意が正しくない・適切でないと指摘されたとしても、そのグループメンバーは、グループの合意に沿わない意見を述べる人間が間違っていると見なす傾向があります。
フォールス・コンセンサス効果が発生する要因としては、『利用可能性ヒューリスティック』と『自己奉仕バイアス』があると言われています。
◆発生要因①:利用可能性ヒューリスティック
利用可能性ヒューリスティックとは『想起ヒューリスティック』とも呼ばれ、自分が入手しやすい情報や、思い出しやすいデータに頼って意思決定してしまう経験則を指します。
人間にとって、何か意思決定をするたびに「考える」のは脳にとって大きな負担になります。
そのため、「最短で最も効果の高い(と思われる)方法」を、自身の過去の経験や記憶、近しい人の口コミや見聞きしたニュース情報などから呼び出し、その情報を優先的にして判断します。
結果として判断は素早く思考負担は軽減できますが、一定の偏り(バイアス・思い込み)が生じることも。
◆発生要因②:自己奉仕バイアス
自己奉仕バイアスとは、成功したときは「自身の能力によるもの」、失敗したときは「自身ではどうにもできない外的な要因によるもの」と思い込むことを指します。
何かに成功した際には自信につながるというプラス面がありますが、失敗した際には外部の自身では制御不能な状況的な要因と考えてしまうため、自助改善ができず同様の失敗を繰り返してしまうというマイナス面があります。
■フォールス・コンセンサス効果が発生しやすいシーンとは?
フォールス・コンセンサス効果が発生しやすいシーンは以下の2つが挙げられます。
◆親しい間柄で生じやすい
自身の経験や考えを共有しようとする際、まず共有する候補として浮かぶのは家族や友人などの親しい間柄の人たちとなります。
そういった身近な人たちとは、日々価値観を共有することが多いので、自身と同じように思考や行動をすると思い込みやすくなります。
◆自身と同様のカテゴリーに所属する間柄で生じやすい
価値観を日常的に共有することが多いという点で考えると、同じ企業に所属するメンバー間においても、生じやすい心理事象といえます。
■フォールス・コンセンサス効果の発生により生じる弊害と予防策&対処法
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BtoBマーケターより。
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