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目先の欲求を優先してやるべきことを先延ばしにしてしまう!?『現在志向バイアス』


■現在志向バイアス(現在バイアス)とは?

「先延ばしをしたがる心理」

現在志向バイアス(現在バイアス)とは、将来得られる利益よりも、現在得られる利益を優先する心理的傾向のことです。

多くの人間は、将来の大きな利益(遅延報酬)と、目の前の小さな利益(即時報酬)を天秤にかけると、後者を選択する傾向があります。
この心理傾向は「先延ばしをしたがる心理」とも言えます。

これは、未来の自分のために実行した方が良いと思っていても、現在の目先の欲求を優先してしまい、本当に必要な前者の事柄を後回しにしてしまう傾向と言い換えることができます。

◆提唱したのは?

ダニエル・カーネマン 氏が実証・提唱

この『現在志向バイアス(現在バイアス)』は、行動経済学の第一人者であるダニエル・カーネマン 氏が行動実験により実証・提唱されました。

■自制できるかどうかが人生を左右することを明らかにした『マシュマロ実験』

有名な『マシュマロ実験』(マシュマロ・テスト)

スタンフォード大学の心理学者であるウォルター・ミシェル 氏が、1960年台後半~1970年台前半にかけて実施した『マシュマロ実験』(マシュマロ・テスト)が有名です。

部屋に入ってもらった被験者の4歳の子どもの目の前にマシュマロを1つ置きます。

そして「このマシュマロを食べてもよいけど、15分食べるのを我慢したらもう1つマシュマロをあげるよ」と告げて、部屋に子どもを一人にする。

つまり、被験者の子どもには次の選択をしてもらうわけです。

●今すぐマシュマロを1つもらう
●15分後にマシュマロを2つもらう

合理的に考えると、15分我慢してマシュマロを2つもらうのが得策と言えますが、この実験の結果は、約3分の2の子どもが我慢できずにマシュマロを食べてしまいました。

追跡調査も実施

この実験には続きがあり、十数年後に成長した被験者に追跡調査を行いました。

追跡調査では、当時我慢できずにマシュマロを食べてしまった子どもたちには、対人関係が上手くいかず、ストレスに弱く、自分に自信が持てない傾向が見られました。

一方、食べずに我慢できた子どもたちは、成績優秀でストレスに強く、自分に自信がある傾向があったとされています。

この実験結果から、人間の発達において自身の感情を抑えるという「自制心」が、人生の成功につながるカギであることが明らかになりました。

セルフコントロールや自制心の重要性を説く際、この実験は例え話(メタファー)としてよく用いられています。

■発生するメカニズム

いろいろな観点から『現在志向バイアス(現在バイアス)』が発生するメカニズムが挙げられます。

◆行動経済学における『双曲割引』モデル

「遠い将来なら待てるが、近い将来ならば待てない」

●今すぐ10万円もらえる
●1週間後に10万1,000円もらえる

このような2つの選択肢がある場合、一定数「今すぐもらえる10万円」を選ぶ人はいますが、合理的に考えると「1週間後にもらえる10万1,000円」を選ぶ方が得策であり割合としては多くなる傾向があります。

●1年後に10万円もらえる
●1年1か月後に10万1,000円もらえる

しかし、追加して次の質問をしてみると「1年1か月後に10万1,000円もらえる」という選択肢を選ぶ割合が多くなります。

最初の質問の「今すぐ or 1週間後」の場合は1週間待つことを避けましたが、「1年後 or 1年1か月後」となると1年後であろうが、1年1か月後であろうが変わらないという思考になります。

この「遠い将来なら待てるが、近い将来ならば待てない」という現象を表した関数を行動経済学では『双曲割引』と呼んでいます。

「今すぐ得られる利益」と「1週間後に得られる利益」とでは大きな差を感じますが、「1年後に得られる利益」と「1年1か月後に得られる利益」ではほどんど差を感じなくなるというわけです。

◆目の前に迫った欲求の方が価値が高いと感じる

目先の欲求の方が重要性が大きく感じやすい

将来得られる利益のための活動よりも、目先の欲求に負ける・優先して「(将来得られる利益のための活動を)先延ばし」をしてしまうのは、目の前に迫った欲求の方が価値が高いように感じてしまうからです。

期限が遠くにある「将来」と目の前にある欲求を比較すると、目先の方が重要性が大きく感じやすくなってしまうというわけです。

◆コストと報酬に時間差がある

コストを積み重ねても報酬を得られるまで時間がかかる

さらに先延ばしの原因として「コストと報酬に時間差がある」ことも挙げられます。

例えば、1年後の合格に向けて受験勉強をする場合、「勉強」というコストを積み重ねても「合格」という報酬を得られるまでには1年かかり、しかも確定した報酬では(合格するかどうかは)ありません。

一方、「スマホゲームを楽しむ」という報酬は「スマホゲームをする」というコストだけで今すぐ・確実に得ることができます。なので、目の前の欲求や報酬に負けやすくなってしまいます。

◆不明瞭な未来と確実な今の違い

「今・現在」を大切にする思考

太古の人間は1年後に生きている保証はありませんでした。飢餓や野生生物に襲われるかもしれません。そのため「今・現在」を大切にするという思考は至極当たり前と言えます。

現代を生きる人間も本質的には同じです。1年後・5年後・10年後、自身が健やかな日常を過ごせるかどうかは誰にも保証することはできません。

といったことから、未来を変えるための長期的な目標は、目の前の短絡的な欲求に負けやすい傾向があるわけです。

■現在志向バイアスと現状維持バイアスの違い

保守的か?欲求的か?

現在を「志向する」バイアスと現在を「維持する」バイアスということで、似ている印象のある2つのバイアスですが、それぞれ意味が異なります。

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