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お産と自閉症 病院出産の問題

SBSK自然分娩推進協会では、代表の荒堀憲二(産婦人科医師)よりメルマガを配信しています。
今回は、2024.05.17配信のメルマガ内容です。

前回に引き続き、「自閉症の子どもたちと”恐怖の世界”」(白石勧著 花伝社)より。
※白石さんの書籍を割愛し結論を中心にお伝えしています。詳しく知りたい人、文献も見たい人は原著書をご覧ください。Amazonでも購入できます。


これまでに分かったこと

  • 「母親への信頼は刷り込みである。刷り込みがないと信頼がおけず、母親への甘えもなく、傍にいても安心できず不安が生じ、さらには恐怖を感じるようになる。恐怖のために同一性に固執し孤立する」

  • 「鳥の刷り込みは、母親を特定するだけではなく、自分が属する種や、仲間の種や、繁殖相手の種を特定する機能があることが分かっている。また、自分の種への共感能力が生まれるという機能がある」

  • 「哺乳類でも、早成種であるキリンの子やカバの子だけではなく、晩成種であるネコの子も生後早期に刷り込みが生じている」

  • 「人間の赤ちゃんも刷り込みによって頼るべき母親を特定している。したがって、自閉症の子どもに母親への信頼が生まれていないのは刷り込みの障害が原因である」

  • 「出産直後から母子同床であれば、刷り込みに障害が生まれる余地はない。それで、団塊の世代に自閉症の子どもはほとんどいない」

  • 「生まれたばかりの赤ちゃんを新生児室に隔離したのが、自閉症になった原因である」

今回は病院出産に関する問題です。

3-3. 病院出産

■ 産婦人科病院

産婦人科病院のホームページには、ホテルのような豪華な食事やエステがうたわれている。
しかし、赤ちゃんは出産直後から新生児室に入れられている。

新生児室は感染症を予防する目的で導入されたが、現在の日本の多くの病院では出産した母親への支援がおもな目的になっている。

ある病院のホームページには、「母子別室でゆっくりできて良かった」という、投稿が載っていた。

しかし、大野明子(1999)から引用する。
大野が経験したお産は寂しくて悲しいお産だった。そして、「これじゃない」という思いが残った。
大野は東大の理学部で地球科学の研究をしていたが、理想のお産を目指して産科医になった。

「お産後の一週間は、赤ちゃんとお母さんのリズムができる、とても重要な時間です。この期間、赤ちゃんとお母さんが、夜も昼もかたときも離れることなく、べったりくっついてすごすことは、おっぱいをはじめ、その母子のペアの相互関係や子育てがスムーズにスタートするために必要です。・・・それは、赤ちゃんとお母さんの双方が、本来なにより望んでいることでもあります。」(p.263)

新生児は昼も夜も関係なく1日に8~12回もオッパイを飲む。

母子同床で24時間育児を病院でおこなっていれば、赤ちゃんのことが良くわかるようになっているだけではなく、24時間育児のやり方も学ぶことができる。

母子同床の赤ちゃんはほとんど泣かない。赤ちゃんがほとんど泣かなければ、自宅に帰ってからの子育てが楽になる。

母子別室でゆっくりできて良かった」という投稿は、病院が良かったというよりは、自宅での子育てが大変になっているということを物語っている。

母子別室の病院は母親を支援しているように見えるが、実際は子どもが自閉症になる原因になるだけではなく、自宅に帰ってからの子育てが大変になり、産後うつや赤ちゃんへの虐待を生む原因になっているのである。

■ 赤ちゃんにやさしい病院

赤ちゃんを新生児室に入れない母乳育児を重視した「赤ちゃんにやさしい病院」がある。

世界には「赤ちゃんにやさしい病院」が15000ほどあるが、日本には100もない。

国立岡山病院は、1991年にユニセフから「赤ちゃんにやさしい病院」の世界の第1号として認定された。
院長だった山内逸郎(1992)は、「現在、世界中の病院・医院などのしていることは、赤ん坊にとって『やさしい』どころか『厳しすぎる』ことが多くて、あまりにも『ひどすぎる』ことで満ち満ちている」(p.219)と書いている。

山内の母乳育児のための3.5カ条を紹介する。

1生まれて30分以内に初回授乳をする。吸えない赤ちゃんもいるので、乳頭をなめさせるだけでもよい

【2】生まれて24時間以内に少なくとも7回、できれば8~12回以上授乳をする

【3】母子同室は当然で、母子同床ならなおよい

【3.5】陣痛が起きたら乳管を開通させておく(初乳が乾いてつまっていることがある)

新生児は誕生後1~2時間ほどは、はっきり目覚めている。
新生児覚醒状態のあいだに初回の授乳をすれば、赤ちゃんはお母さんの匂いを刷り込む
赤ちゃんがお母さんの顔を見れば、お母さんの顔を刷り込む
お母さんが赤ちゃんに話しかければ、赤ちゃんはお母さんの声を刷り込む
そして、赤ちゃんは自閉症にならない。これが、人類が長い間おこなってきた自然の姿である。

■ 分娩台

日本には、赤ちゃんとお母さんの関係を重視して母子同床にしている病院もあれば、赤ちゃんを新生児室に長時間入れている病院もある。
母乳を重視している病院もあれば、母乳にこだわらない病院もある。

様々なタイプの病院があるが、誰もが病院を信じていると思う。
私(※白石氏)も自閉症の研究をするまでは病院を信じていた。

しかし、大野明子の本のタイトルは『分娩台よ、さようなら』である。

重要なことは、仰臥位は非生理的で、分娩にとって不利な体位だということです。仰向けでの分娩は、重力に逆らい、天井に向かって子どもを産み上げるお産です。相当無理な努力を要します。(p.237)

母親が分娩台の上で仰向けになって出産するのは、医者にとっては楽な姿勢なのだろう。しかし、母親には拷問のようなものである。出産が長引き、難産の原因になる。さらに、赤ちゃんに供給される酸素の量も減少し、赤ちゃんの異常の原因にもなる。

お産の体位を自由に選べるフリースタイルのお産だと、仰向けで出産するお母さんはひとりもいない。

現在の病院出産は、母親は分娩台の上で仰向けになって赤ちゃんを産むので難産になりやすい。そのあげく、出産後の休息が必要だと母親はひとりで寝かされ、赤ちゃんは新生児室に入れられる。

そして、一部の赤ちゃんが自閉症になった。


(以上白石さんの本から要旨を伝えています。立場によっては異論もあるかも知れませんが、指摘はどれも納得できます)

次回は自閉症予防についてです。


白石氏の電子書籍の目次は以下のとおりです。
※なお、本記事は白石氏の了承のもと公開しております。

第一部 自閉症の原因と予防
  第1章 自閉症の原因
  第2章 刷り込み
  第3章 新生児室
  第4章 自閉症予防の5カ条
第二部 自閉症の正しい理解と支援
  第5章 自閉症の正しい理解
  第6章 後期発症型の自閉症
  第7章 恐怖症の治療
  第8章 恐怖症の治療と教育


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