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デザインでも、WEBでも、プロダクトでもなく「実感」を納品する仕事

有形無形の様々を納品する仕事があるのがうちの会社。
無形なんなん?ってなるとコンセプトや裏側で走る戦略とか。
昨日、今日の出張では「実感」を納品しにいってる。

もちろんプロジェクトに関わる制作物は作っている。
オーダーの半分くらいが制作物であり、戦略だ。
残りの半分は、その地域の持続可能性を育てること。つまり、現地の人たちだけで出来事を作っていけるようにしていく必要があると判断した。

多くの仕事がオーダーされた依頼の期待に応える形で納品分を作っていく。
僕らの会社の場合、「どうしよう」というタイミングからのコミットが多いのでアンサーは様々だ。毎回、制作プロセスを変えていくのもうちの癖だが、今回は「現地の人と作る」という宣言をする。

デザイナーも現地の人。撮影も現地の人。言葉も現地の人。
ぜーんぶ、そこの人。だって、僕らは京都に住んでいる。そこの人じゃない。
プロジェクトが終わればいなくなる人だ。遊びに行くけどね。
なので大切なのはスーパーいかしたデザインとか、超ハイテクなWEBサイトとか、そういうものじゃない。一番大切なのは「私たちが作った」という実感だ。

プロジェクトの最初に流れていた不安と落ち込んだ空気が1年ほどかけて徐々に変わってきた。目に見えて変わったなと思うのは笑顔が本当に増えた。ネガティブな心配からの真剣な顔じゃなくて、どうしたらもっと良くなれるかの真剣な表情があった。ちょっと感動してしまった。お通夜みたいな最初の会議を思い出したら胸が熱くなる。

普段、信頼するデザイナーやエンジニア、カメラマン、コピーライターとチームを組んで完璧なものを目指す。でも、今回はそうしなかった。現地の人が作るからね。部外者の僕らが作ると「作ってもらったもの」になる。クオリティは確かに高いかもしれない。けど、その先に何が残るのか考えてしまった。結局納品物しか残らないなと結論づけた。そして、それがその地域にとって本当に必要としているものか考えると、そうじゃないよなと思ったのだ。

いつも通りやれば、時間も半分くらいで終わる。請求もすぐに立てれる。のに、それをやらないあたり、経営が下手なんだけど、誰か仕事くれ。いやでも、それじゃ今回納得できないと思った。ではどうやって現地の人と良い物を作っていくか。そうだ、いつも組んでるみんなを先生として呼ぼう!と決めた。

最初は「言葉のワークショップ」でコピーライターに自分の言葉で書くことを教えてもらった。自分たちで言葉を紡いでしっかり現地で起きてることを伝えれる力が地域につけば、自分たちの言葉でしっかり発信していけるはず。夜はそのままべらぼうに呑んで仲良くなる。僕の仲間がこの地域の仲間になる。関係人口が増加する。そして、先生としてつながり続けてくれる。

そして、昨日と今日は「写真のワークショップ」をカメラマンと一緒に2日間みっちり実施した。自分たちで作った商品を自分たちで撮影できる地域。商品カットもシズルカットも、人物も、風景も。光と影の話から、セットの組み方、現像の仕方まで。先生が最初に「マニュアルで撮りましょう。撮影するのはカメラじゃなくて、みなさんです」っていう言葉にグッときた。そう、あなたたちが撮るんです。夜はいつもどおりべらぼうに呑んで、男たちは盛り上がり漁港で二次会。誰もあまり記憶がない。夜の貸し切り大浴場で僕もカメラマンも寝落ちして死の危険性を感じたのが良い思い出。

次は広報の先生を呼ぼうかと思っている。
自分たちの言葉と自分たちで撮影した写真で伝える。
今ここまできた。そして、どの二つも確実にみんなに自分たちでできる実感を与えている手応えがある。自分で出来るって嬉しいよね。その喜びが追い風になる。誰にも邪魔されずに突き進める。それは力がついたんじゃなくて、そもそも持っていたんです。先生たちはそれをひょいと掴んでみんなに見せてくれている。ほらできた!いいじゃん!おいしそう!

そうやって、自分は今どんな武器をもっているかを初めて自覚できる。
僕らは東京や京都という圧倒的密度の街にいて、それが当たり前に起きてる。
でも密度の薄い地域では、そういうやりとりは極端に減る。それは実感を得る機会を減らしてしまい、自分たちでどうやればいいか分からなくなる。僕だって住んでる場所が京都じゃなかったら同じことになると思う。どう踊っていいかわからんないだもん。でも都会には踊ってる奴がいっぱいいる。それみて、なんとなくこうかな?で踊り出して覚えていったものだ。

なので僕らは先生連れて、キャッキャする。
呑んで踊って、そうそううまいじゃん!っていう。本当にうまいから、言えるんだけど。今年の終わりくらいには自分たちがやってきたことが自信に変わってるんじゃないかな。去年を想像して、この1年の変化を喜び分かち合いたい。最高の乾杯になると思う。それまで一緒に踊り続けよう。

いい疲労感でぐっすり眠れそう。
それではお休み。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。